見た目がいい人の言うことは誰も信じるんだよね
ゴガツは色仕掛けでアグレリオを誘惑し、自分の手下にしてベルリアを倒そうと考えたが、逆にアグレリオから変態と言われた挙句、ベルリアに尾行がばれてしまった。翌日、ゴガツはベルリアの隙を突いては襲おうと考えたが、その前にベルリアがゴガツの殺気に気付き、振り向いてアイアンクローを決められた。
「今すぐ体育館裏に行くわよ」
「あ……はひぃ……」
小さく悲鳴を上げつつ、ゴガツは返事をした。
そんでもって体育館裏、ベルリアは木刀の先端をゴガツの目前に付けてこう言った。
「昨日のこと、誰かに話したらボコボコにするから」
「分かりましたー。誰にも言いませーん」
「あんたの言うことは信じられないけど……まぁいいわ。だけどもし誰かに告げたら、容赦なくボコボコにするからね」
ベルリアは恐ろしい目つきでゴガツにこう言って、去って行った。ベルリアが去った後、恐怖で気が抜けたゴガツはその場に座り込んだ。後ろからこっそりと様子を見ていたゴガツの部下たちは一斉にゴガツに近付いた。
「ゴガツ様、大丈夫ですか?」
「まずい、恐怖のあまり失神寸前だ!」
「今なら乳揉んでもばれないかなー」
「多分ばれないでしょ。それじゃ、俺は左を」
「じゃあ俺は右」
「いいなーお前ら。じゃあ俺たちもどさくさに紛れてさわさわしようぜー」
部下たちがバカなことをしようとしたのを察したゴガツは、部下たちに向かってアッパーを放った。部下たちが悲鳴を上げながら地面に落下した後、ゴガツは大声でこう言った。
「どさくさに紛れて私の体を触ろうとするんじゃねェェェェェ! 触りたければ金払え!」
「いくらですか?」
部下の一人が財布を取り出してこう言った。ゴガツは呆れつつ、話を続けた。
「バカなことやってんじゃないわよ! ほら、さっさとモンスターの話を学校中にばらすわよ!」
「そんなことをしたらボコボコにするって言ってたじゃありませんか」
「約束を守らないと泥棒の始まりですよー」
部下からは反対の声が上がったが、ゴガツは部下を睨んだ。
「私の言うことは、はいか了解で答えること。あんな奴の言うことなんて死んでも聞くもんですか!」
「性格悪いですねー」
「うっさいわね! じゃああんたらはどうして私の部下になったのよ?」
部下は質問を聞き、しばらく考えてこう答えた。
「かわいいから」
「体がエロいから」
「タイプだから」
「頼めばタダで抱かせてくれそうだから」
「周りがやっているからそのノリで」
話を聞いたゴガツは、ため息を吐いた。
「どいつもこいつも自分の欲望しか考えてないじゃない。つーか、一人だけ変な答えの奴がいたけど……まぁいいわ。とにもかくにもモンスターのことをばらすわよ!」
ゴガツは生きのいい声を上げたのだが、部下たちはあくびをして適当に返事をした。
その後、ゴガツがばらしたアグレリオの情報はあっという間にアマザラシ高等学校に広がった。生徒たちはあんな危険なモンスターがいるなんて怖いよ怖いよーとか、これじゃあ外に歩けない、やばいよやばいよなどと話をしていた。アグレリオのことを理解しているベーキウたちは動揺しつつ、利用している宿泊室に集まった。
「アグレリオのことが学校中で話題になっているわね」
「ゴガツの奴、アグレリオの話を学校中にばらしたわね」
キトリとシアンがこう言った。一方で、クーアはうなり声を上げながら何かを考えている様子だった。
「わらわたちでアグレリオのことを正直に話すか? あいつは無害なモンスターだって」
「止めた方がいい。どうしてそんなことを言えるんだって言われたら、どうやって答える?」
ベーキウの質問を聞き、クーアは問いに悩んだ。もし、自分たちがアグレリオと会ったと周りが知ったら、どうして早く倒さないのかと言われて面倒なことになるからだ。
「面倒じゃのう。あのビッチ、ベルリアを超えるためなら何でもするのう」
「ずるがしこい性格ね。あれでよく部下の人たちはついてくるわね」
キトリがこう言うと、宿泊室の扉が開き、外にいた別の先生たちが部屋の中に入ってきた。
「勇者様! 大変です! モンスターの話が学校中で話題になっています!」
「生徒たちの話を耳にしているわ。でも、すぐに動くのは危険だからもう少し待ってからでも……」
「何かあったら大変です! 今すぐ会議があるので、参加してください!」
先生はこう言った後、無理矢理シアンの手を引っ張って会議室へ向かった。残されたベーキウたちは厄介なことになったと思いつつ、ため息を吐いた。
会議室。先生たちがモンスターをどうするかで話をしていた。話が熱中する中、ゴールドエイトが叫んだ。
「静かにしなさい! 皆が別のことを言ってたら話がまとまんないでしょうが! 早く結論を出すためには、皆で協力しないといけないでしょうが、このバカチンがァァァァァァァァァァ!」
と言って、先生たちにビンタをするために席に立った。ゴールドエイトにビンタされると察した先生たちは、悲鳴を上げながら会議室中を走り回った。そんな中、オーガツカだけは眠っていた。ゴールドエイトは眠っているオーガツカに目を付け、近付いた。
「皆が真剣に会議をしている中、眠ってんじゃないよこのバカチンがァァァァァァァァァァ!」
オーガツカにビンタをしようとしたゴールドエイトだったが、途中でオーガツカが目を開け、ゴールドエイトの手を止めた。
「静かにしてくださいよゴールドエイト先生。騒いでいたら余計話がまとまんないでしょうが」
オーガツカの言葉を聞いた他の先生は、同調するような視線をゴールドエイトに浴びせた。ゴールドエイトはしゅんとして自席に座った。そんな中、シアンが会議室に入ってきた。
「あ、どーもどーも。勇者です」
シアンは頭を二度下げ、空いているオーガツカの横の席に座った。シアンが席に座った直後、オーガツカが小声でこう言った。
「大変なことになっているけど、なんかあったら俺が止めるから」
「は……はぁ」
オーガツカの言葉を聞き、シアンはこの人を信じていいのだろうかと思った。
会議室の外にいるゴガツは、話し声が聞こえる会議室を見て笑みを浮かべていた。
「うっひっひ、話題になってるわねー」
アグレリオのことが大きく話題となり、作戦通りになっていると思ったゴガツは笑みを浮かべていた。そんな中、部下の一人が口を開いた。
「どうしてこんなことをしたんですか? モンスターを倒しても、ベルリアを倒さないと意味ないような気がしますが」
「嫌がらせよ。あのモンスターとベルリアは仲良しこよし。理由はどーでもいいけど、とにかくあいつに嫌がらせをしたいのよ! あのモンスターの息の根を止めたら、あいつはどんな顔をするんでしょーねー? あー、想像しただけで笑えるわー!」
と、外道なことを言ってゴガツは笑い始めた。ゴガツの笑い声を聞きながら、部下たちは話をした。
「俺たち、この人に付いて行っていいのかなー?」
「俺はとにかくこの人の顔が好みだから、付いて行ってるだけ」
「この人、結構なビッチって聞いたから、金払えば相手してくれると思ってねー」
「で、相手してくれたのか?」
「全然」
「堂々とパパ活してるって言っているし、この人結構頭のねじぶっ飛んでんのかなー?」
「まぁとりあえず俺たちとヤらせてくれるなら俺は文句言わないけどさー」
部下の話を聞き、イラっとしたゴガツはこう言った。
「分かったわよ! そんなに私とヤりたければいつか相手にしてくれるわ!」
「いつかっていつですか?」
部下の質問を聞いたゴガツは、少し考えてこう言った。
「いつって……そりゃーいつかに決まっているでしょうが!」
返事を聞いた部下たちは、互いの顔を見合わせて頷いた。その後、ゴガツを担いだ。
「ちょっと、どこに行くのよ? 手を放しなさい」
「いつか? それは今日です」
「ゴガツ様、今日は楽しみましょう!」
部下たちはそう言って、ゴガツをどこかに連れて行ってしまった。
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