敵対する奴に秘密がばれたら結構厄介
夜に出かけるベルリアの姿を見たゴガツは、部下を引き連れてその後を追いかけていた。変な森のモンスターに襲われたり、罵倒されたりしたが、ゴガツは偶然出口を見つけた。急いで出口へ向かい、安堵の息を吐いた。
「よかったー、あのままだったら、変態共がいる森の中で死ぬところだったわー」
ゴガツはそう言いながら周囲を見回した。モンスターがいるかもしれないと言われているが、そのような気配は一切なかった。デマ何だろうと思いつつ、周囲を歩いていると、ゴガツはベルリアの声を聞いた。瞬時に物陰に隠れたゴガツは、憎きベルリアがどこにいるか調べ始めた。そんな中、ゴガツの部下が近付いた。
「ゴガツ様」
「ヒッギャァァァァァ!」
ゴガツは悲鳴を上げながら後ろに振り向き、部下たちの顔を見た。
「何だ、あんたたちか。今、ベルリアがいたから何をやっているのか調べてんのよ」
「え? ベルリアがいたんですか? こんなヘンテコなところで?」
「ほら、あそこよ」
ゴガツの部下はゴガツが示す方向を見て、誰かと楽しそうに会話をするベルリアの姿を見た。
「ありゃま、本当だ」
「あんな笑顔をするなんて。よほど気のいい相手と話しているんですかねー」
部下はそれぞれの感想を呟いたが、ゴガツはベルリアの会話相手が誰なのか調べるべく、身を乗り出した。
「あいつ、誰と話してんのよ? あーもう、木とか邪魔して見れないわねー」
などと、ぶつぶつ文句を言いながら周囲を見回した。しばらくして、ゴガツはアグレリオの姿を見つけた。
「ヒ」
「ゴガツ様!」
「ここで悲鳴を上げたらばれます!」
部下たちは急いでゴガツの口をふさぎ、急いでその場から去った。森の中、ゴガツは誰もいないことを察して悲鳴を上げた。
「ピッギャァァァァァァァァァァ! 今の何? とんでもなくでかい毛むくじゃらがいたんだけど!」
「ゴガツ様、もしかしたらあいつが昔から言われているモンスターかもしれません」
「はぁ? あれが? だとしたら、確かにモンスターだって言われても反論できないわね」
冷静になったゴガツは呟くと、あることに気付いた。
「あれ? どうしてベルリアの奴はあんなバケモンと仲良さげに話しているのよ?」
「そりゃー我々も知りません」
「ベルリアってケモナーですかね?」
部下の返事を聞いたゴガツは少し呆れ、ため息を吐いた。
「あいつの性癖なんてどーでもいいわよ。それよりも、いい情報を手に入れたわ」
「え? ベルリアがケモナーってことですか?」
「だーかーらー! あいつの性癖をばらしても特に意味がないでしょうが! あの化け物を誘惑して仲間にして、ベルリアを成敗してもらうのよ! さーて、明日早速動くわよ!」
ゴガツが声を上げた時だった。ゴガツのことをビッチと叫んだ変態が現れた。
「お前に一つ言っておこう! お前みたいなふしだらなビッチが何を言っても誰も話を聞かないぞ! 悪い奴の話など、誰も耳にしない!」
「うるせェェェェェ! 部外者の変態不審者は黙って消えろォォォォォ!」
ゴガツは変態不審者の股間を強く握り、悶絶させた。その後、股間を抑えてうずくまった変態不審者に飛び蹴りを浴びせ、とどめのパイルドライバーを仕掛けた。
翌日の夜。ベルリアは再びアグレリオの元へ向かっていた。その横には、ベーキウたちがいた。
「別についてこなくていいのに」
「危険な森だから、何かあったら嫌だからさ」
ベーキウがこう言うと、ベルリアは少し顔を赤くしてこう言った。
「別に……あの森に住むモンスターなら倒せるほど強いし……」
ベルリアの顔を見たクーアは、挑発するような口調でこう言った。
「お前、イケメンのベーキウにかっちょいいこと言われたからちょーっと照れておるじゃろ? じゃがのー、ベーキウはわらわの彼氏だからのー」
この言葉を聞いたシアンはクーアの右頬に飛び蹴りを仕掛け、キトリはクーアの左の脇腹を肘で強く突いた。同時に攻撃を受けたせいで悶絶するクーアを無視し、シアンはベルリアに近付いた。
「あのババアの言うことなんて聞かなくていいから。大体あいつの言うことは嘘だからねー」
「ババアって……私と同じように生徒として動いているけど……」
「若作りしたいのよ。見た目はJKだけど、中身はクソババアだからねー」
シアンは笑いながらこう言ったが、後ろから魔力を開放したクーアの火炎攻撃が襲った。
「だーっはっは! 丸焦げにしてやったぞー! ちったー年寄りをいたわれ!」
黒焦げになったシアンはすぐに立ち上がり、クーアに襲い掛かった。
「よくもやってくれたわねクソババア!」
「上等じゃ! ここでお前を倒して、ベーキウとニャンニャンしてやるのじゃ!」
その後、何度目かのバカ二人の喧嘩が始まった。呆れたベーキウたちは、バカ二人を置いてアグレリオの元へ向かった。
一方、ゴガツは別ルートでアグレリオの元へ向かっていた。ゴガツの横にいる部下は、笑みを浮かべるゴガツにこう言った。
「考えましたねゴガツ様。別ルートであの化け物のところへ向かうって」
「私も同じことを考えましたが、怖くて実行に移せませんでした」
「だから何もできないのよ! 己の欲望を満たすためには行動あるのみよ! さて、そろそろ出口よ」
ゴガツがこう言うと、本当に目の前に出口が現れた。ゴガツたちは外に出て、アグレリオの姿を探した。
「さーて、この衣装で誘惑できるかしらねー」
と言って、ゴガツは身に着けているジャケットを脱いだ。ジャケットの下は、逆バニーの衣装だった。その姿を見たゴガツの部下たちは一斉に鼻血を出し、後ろに倒れた。
「萌えェェェェェェェェェェ!」
「あー、超高性能カメラを持ってくればよかった!」
「眼福! 眼福でござる!」
「あー、生きててよかったー」
「どうよ? 八割スッポンポンの女が現れたら、どんな男も秒でイチコロ、あそこがカッチンチンよ! これで言うことを聞くはず!」
ゴガツは高笑いしながらアグレリオの元へ向かった。アグレリオは突如響いたゴガツの高笑いを聞き、驚いて毛を逆立てた。恐る恐る周囲を見回すと、逆バニー姿のゴガツが猛ダッシュで近付いてきた。
「噂でお聞きしましたーん! あなたに話したいことがあるんです!」
「ギャァァァァァァァァァァ! 新手の露出狂だァァァァァァァァァァ!」
みだらな姿のゴガツを見たアグレリオは興奮するどころか恐怖に脅え、ゴガツから逃げ始めた。ゴガツはそのことに気付かず、アグレリオを追いかけた。
「どうしたんですの? こんな姿の美少女が話を聞いてくれって言っているんですよー!」
「こんな姿の美少女の言うことなんて聞くはずないだろう! 君には常識がないのか!」
「常識などどうでもいいんですよ! あなたも私のこのエロい姿を見て、実はあそこがカッチンチンになっているんでしょ?」
「脅えて萎えている! 頼むから私に近付かないでくれ、帰ってくれ変態さん!」
興奮するどころか脅え、逆に変態と言われたゴガツは足を止めた。この姿で誘惑すれば話を聞くだろうと思った自分のことをバカにした。
「クソッたれ! あーもう、こうなったら次の作戦で……」
「次の作戦?」
と、ベルリアがゴガツを見下すような目でこう言った。ゴガツは恐怖を感じ、ゆっくりとベルリアの方を振り向いた。ベルリアはため息を吐き、ゴガツの頭を掴んだ。
「お前、どうしてここに?」
「ぱ……パパ活」
「あっそう。じゃああの森の中でやってきな!」
ベルリアはそう言うと、ゴガツを森の中に向かってぶん投げた。ベーキウとキトリは悲鳴を上げながら飛んでいくゴガツを見て、何をしたかったんだあいつと心の中で思った。
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