ゴガツファンクラブとの激突
謎の男、スケハチの言葉を聞いたベーキウたちは戸惑いつつも授業に参加していた。おとぎ話のような話を真実として語っても、誰も信じないだろう。そう言っていたスケハチの言葉を聞き、ベーキウは心のどこかでその通りだと思っていた。この旅でベーキウはいろいろな非現実的な光景を目の当たりにした。発情する人魚姫、空を飛ぶじゅうたん、今回のアグレリオと同じように呪いをかけられた少女。自分自身が体験したから本当だと思うのだが、なにも経験していない第三者からしてみれば、おとぎ話のように感じると思ったのだ。
そんな中、授業が終わった。シアンたちはすぐにベルリアの元へ向かい、話をした。
「アグレリオのこと、校長先生に話したの?」
「いやーそれが、スケハチっておっさんが話しても無駄だって言ったから話してないのよねー」
と、クーアがため息を吐いてこう言った。その言葉を聞いたベルリアはうつむいて呟いた。
「やっぱりそうよね、古の時代に呪われた王子様が生きているなんて、皆信じないもんね」
「そこなのよね。優しいモンスターと言うか、王子様だって言っても、昔から根付いた話はなかなか忘れられないからね」
キトリの言葉を聞いたシアンは頷いた。クーアはベルリアの肩を叩き、こう言った。
「放課後、図書館で呪いに関するあれこれを調べるのはどうじゃ?」
「アグレリオと会った日から、ずっと図書館で調べたわ。うちの町の図書館もそうだけど、隣町の図書館も出向いて調べたけど、そんな本はなかったわ」
「あ、もう調べてたのね」
クーアはため息を吐いてこう言った。そんな中、女生徒の悲鳴が響いた。そのすぐに悲鳴を上げた女生徒がベルリアの元へ駆け寄った。
「助けてベルリア様! へんたいふしんしゃさんたちが近くの廊下を練り歩いています!」
その言葉を聞いたシアンは嫌そうな顔をし、廊下を出てへんたいふしんしゃを確認した。女生徒の言う通り、上半身裸で下半身は下着姿のへんたいふしんしゃさんたちがいた。
「うわァァァァァ! マジで変態が廊下を練り歩いてるゥゥゥゥゥ!」
シアンの叫び声を聞いた変態共は、シアンの方を見て笑みを浮かべた。
「あいつは勇者パーティーのシアンだ」
「あいつを捕まえて、何が何でもゴガツ様の下僕にさせないと」
「うひひひひひ。ゴガツ様で童貞卒業か。こんなうれしいことはない!」
変態共は笑みを浮かべつつ、シアンに襲い掛かった。シアンは迫る変態の一人の顔を蹴りとばし、別の変態に激突させた。
「あんたら何? いきなり襲い掛かってくるなんて!」
「俺たちはゴガツ様の下僕! あんたをゴガツ様の下僕にさせるために参った!」
「さぁ、大人しくあの人の下僕になるんだ!」
変態たちの言葉を聞き、シアンは嫌そうな顔をした。
「えー? あのぶりっ子キモ女、何考えてんのよ? あんな腹黒そうなクソビッチの下僕になんかなるわけないでしょーが」
シアンの言葉を聞き、変態共は騒ぎ始めた。
「ゴガツ様をバカにしたな!」
「あの人は美しい! ただただ美しい! あんな人がクソビッチなんてこと、あるわけないだろうが!」
「ゴガツ様を侮辱したこと、一生後悔するがいい!」
怒った変態たちは、シアンに襲い掛かった。だが、途中でキトリとベルリアが乱入し、変態たちに攻撃を仕掛けた。
「私たちに用があるみたいね」
「もう、変な騒ぎを起こさないでよ」
キトリとベルリアは目の前にいた変態を蹴り飛ばし、別の変態を睨んだ。シアンは安堵の息を吐きつつ、キトリとベルリアに近付いた。
「助かったわー。あいつら気持ち悪いから一人であれ全部相手にするとって考えたら、鳥肌が立ってたのよー」
「ゴガツの親衛隊ね。あいつら、たまに騒動を起こすけど……今回は何の目的でバカをしたのだか」
「こいつら、私たち勇者パーティーに用があるって言ってたわ。ゴガツの下僕にさせるとかどうだかって」
呆れてため息を吐きながら、シアンはこう言った。キトリは再び立ち上がる変態たちを見下すような目で見て、こう言った。
「これ以上私たちに近付かないで、変態」
その目を見た変態たちは突如顔が赤くなり、もじもじし始めた。
「どどどどうしよう、幼子が汚物を見るような目で拙者たちを見てるでござる。何故だろう、何故か心が揺れ動く」
「バカなことを言うな親衛隊百二十三番。我々の女神はゴガツ様ただ一人。たとえ幼子でもゴガツ様の魅力には……あ、あの子の方がかわいいかも」
「ペチャパイだけど、それなりにエロい!」
変態共が自分を見て発情していることを知ったキトリは、気持ち悪さのあまり顔が青くなり、代わりにクーアを廊下に押し出した。
「何するんじゃキトリ! わらわがあの変態たちを相手にしろって言いたいのか!」
「そうよ! あいつ、私が罵倒したのに喜んだのよ! しかも発情したし! 気持ち悪いから代わりに戦って! おえ」
心底変態たちを嫌がり、気持ち悪がっているキトリを見たクーアは、ため息を吐いて変態たちに近付いた。
「おい、頭のねじがぶっ飛んだいかれた退学寸前の変態共。あのクールなキトリがマジでお前らのことを嫌がって感情をあらわにしたんじゃ。鏡で今のお前らの姿を見せてやろうか? そんな姿で発情したら誰だって嫌がるじゃろうが」
クーアはそう言ったが、変態共はクーアを押しのけてキトリに会うために教室に入ろうとした。無理矢理教室に入ってきた変態たちを見て、キトリは大声で悲鳴を上げた。
「キトリ様! 我ら新たなる女神よ!」
「我らの愛を受け取ってください!」
「いやァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!」
変態共がキトリに近付こうとしたその瞬間、騒動を察したベーキウとゴールドエイトがやってきた。
「キトリ! 大丈夫か!」
ベーキウはキトリに抱き着こうとした変態を蹴り飛ばし、キトリに駆け寄った。変態共は泣きながら近づいてくるゴールドエイトを見て、おどおどとしながら後ろに下がっていた。
「お前たちィ! そんな恰好で何をしているんだ! このバカチンがァァァァァァァァァァ!」
ゴールドエイトは近くにいた変態の顔に向かってビンタをし、そのまま別の変態たちにビンタを続けた。ゴールドエイトの活躍を見ながらベーキウはあれでいいのかと冷や汗をかく中、キトリはひたすら涙を流していた。
「ベーキウ、あいつら本当に気持ち悪い。私を見て発情するなんて思ってもいなかった」
「怖かったろ。確かにあれを見たら、誰だって怖がる」
ベーキウはそう言いながら、優しくキトリの頭を撫でた。その光景を見ていたシアンとクーアは、悔しさのあまり目から血の涙を流していた。
その頃、ゴガツは教師を半裸にさせて四つん這いにさせ、その上に座っていた。
「あいつらからの連絡がないわね。ねぇ、何かあったと思うから探ってきなさいよ」
と、ゴガツはブリーフ一丁の変態たちにこう言った。変態たちは豚のような鳴き声を上げながら、教室から出て行った。その後、ゴガツはため息を吐きながらスマホを触り始めた。
「あーあ、なんだか嫌な気分。連チャンでパパ活して荒稼ぎしよっかなー」
そう言って、夜の相手を選び始めた。そんな中、椅子にされている教師がこう言った。
「ゴガツ君、こんなことをするのは止めなさい。君はどうしてこんなことをするんだ?」
「私がやりたいからよ。私が一番偉く、私が一番美しいからよ。豚は黙ってろ!」
教師の言葉を聞いて腹が立ったゴガツは、教師の後頭部を蹴り始めた。痛さのあまり声を上げる教師を見て、ゴガツは高笑いしていた。
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