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自称ライバル現る


 何かを知っている少女、ベルリアから話を聞き出すため、ベーキウたちは生教育実習生、転校生としてアマザラシ高等学校に潜入することになった。最初は超イケメンであるベーキウの存在を知った女子生徒がベーキウを見るため、ベーキウがいる教室に集まっていた。教室の中にいる生徒は、集まってひそひそと話を始めた。


「おい、また女子たちが集まってるよ」


「あの人が原因だろ。あんなイケメン見たら、女子たちはキャーキャー騒ぐって」


「いいなー。俺もあのくらいイケメンになりてーよ」


 そんな話をしていると、呆れてため息を吐いたベルリアが廊下に近付き、女子たちにこう言った。


「ごめん、そろそろ休み時間が終わりだから戻ってくれない? 他の人に迷惑なのよ」


 ベルリアの言葉を聞いた女子たちは、大人しくベルリアの言うことを聞いて去って行った。その様子を見た男子たちは感心した様子だった。


「さすがカリスマ」


「男子よりも女子の人気が高いのもなんとなく理解できるぜ」


「イケメン女子ってのは、ああいうのを言うんだなー」


 男子たちは話をしていると、チャイムが鳴った。生徒たちはすぐに自分の席に座ったのだが、次の授業の担当教師が現れない。生徒の一人が次の授業の内容を見て、驚きの声を上げた。


「やばい! 次の授業ってゴールドエイト先生じゃん!」


「え? げぇっ! そうだった! いつものあれをやんないと、あの人授業に出ないんだよなー」


 生徒たちは嫌そうな表情をして、外に出て行った。その様子を見たシアンは近くにいた生徒に話を聞いた。


「次って確か現代国語だよね? どうして外に出るの?」


「ゴールドエイト先生の悪癖。シアンさんたちも外に出れば分かるわ」


 生徒の言葉を聞き、ベーキウたちは不思議に思いつつも生徒たちと一緒に外に出て行った。




 近くの土手にて。広い所にゴールドエイトが一人で立っていた。そして大きく息を吸ってこう言った。


「三年B組!」


 この言葉を聞いたベーキウは動揺したが、近くにいた生徒がこう言った。


「この後、全員でゴールドエイト先生の名前を叫ぶんですよ」


「何でそんな変なことを?」


「噂だと、昔やってた学園ドラマのオープニングを元ネタにしたらしいけど……とにかくゴールドエイト先生の名前を叫んでください」


「分かった」


 ベーキウがこう言った後、生徒たち全員がゴールドエイトの名を叫んだ。そして、生徒たちは一斉に走り出し、ゴールドエイトに近付いて胴上げを始めた。


「はっはっは! いつもの恒例行事をやったとこで、授業を始めよう! さぁ、皆は知って教室に戻ろう!」


 そう言って、ゴールドエイトは笑いながら走って行った。その様子を見たクーアは呆れた表情をしていた。


「何がしたいんじゃあのバカは?」


「ドラマに深く影響を受けているのね。単純な人ほど、深く影響を受けやすいと言うか……」


 クーアの横にいたキトリも呆れ、ため息を吐いた。




 その後、結局ゴールドエイトの授業は十分ぐらいしかやらなかった。こんな先生で大丈夫かと思いつつ、シアンは休み時間を使ってトイレに向かっていた。用事を済ませて教室に戻ろうとすると、一人の少女が近付いてきた。


「あの、勇者のシアンさんですよね?」


 明るい声を聞き、シアンは振り向きつつ返事をした。そこには、作られたような笑顔をした少女が立っていた。


「そうですけど、あなたは?」


「私、ゴガツ・ナガーノって言います。以後、お見知りおきを」


「ええ……まぁ」


 ゴガツの底抜けの明るさを察し、シアンは戸惑いつつもゴガツと握手をした。


 このゴガツ・ナガーノと言う少女、かわいらしい笑顔をしているのだが、本性はとんでもない女である。自分が気に入らないことがあれば、どんな手を使ってでも自分の思い通りにしようとする超が付くほどのわがまま女であり、男好きで気に入った男がいれば彼女がいようが嫁がいようが関係なしに横取りすればいいと考えを持つとんでもない女である。


 このとんでもない女だが、自分がアマザラシ高等学校で一番かわいくて人気があると勘違いしている。だが、実際はゴガツよりもベルリアの方の人気が高く、信頼度も高いのだ。


 ベルリアめ、勇者を利用してでも目の上のたんこぶであるあの女をこの学校から排除してやるわ! 今に見てなさい、ケーッケッケ!


 と、心の中で悪い笑みを浮かべながら、ゴガツはシアンに話を続けた。


「あなたたちの話は聞きました。ベルリアさんから何か話を聞き出そうとしているんですね」


「まぁそうだけど」


「私、お手伝いしましょうか? 私の力ならなんとかできると思いますぅ」


 ゴガツは両手をグーにし、口元に持ってきてぶりっ子するような仕草でこう言ったが、それを見たシアンは汚物を見るような目をしていた。しばらくして、シアンはため息を吐いてこう言った。


「手伝ってくれる気持ちはありがたいけど、これは私たちの問題。あまり他の生徒に関わらせたくないの。ゴメンね」


 と言って、シアンは去って行った。拒否されたゴガツは茫然としたが、去って行くシアンを見てこう思った。


 作戦は失敗したか。まぁいい。勇者パーティーは他にもいる。そいつらにベルリアをぎゃふんと言わせるように仕向けないと。


 そう思ったゴガツは、目を光らせた。




 次の授業の休み時間。一応教育実習生のため、ベーキウは教師の仕事をしていた。その仕事を終えてシアンたちと合流するために廊下を歩いていたのだが、そこにゴガツが近付いた。


「せんせー! ベーキウせんせー!」


 と、萌えキャラっぽい声を出しながらゴガツはベーキウに近付いたが、別クラスの生徒であるゴガツが近付いてきたため、ベーキウは戸惑った。


「えーっと……君は?」


「私、別クラスのゴガツ・ナガーノと言います! 実は、せんせーに言いたいことが……」


「告白はノーセンキューじゃァァァァァァァァァァ!」


 叫び声を上げながら、ベーキウの背後から現れたクーアがゴガツに飛びかかり、そのままキャラメルクラッチを決めた。


「あっがァァァァァァァァァァ!」


「何じゃ貴様は? わらわのベーキウに近付くでない!」


「力もない生徒にキャラメルクラッチを仕掛けるのは止めなさい」


 クーアの暴走を察したキトリが、大きなはりせんを持ってクーアの頭を叩いた。その後、地面に倒れたクーアの頭を強く踏み、キトリはゴガツに近付いた。


「ごめんね、女子高生のコスプレをしているおばさんが迷惑をかけて」


「え……ええ」


「キトリ! わらわはコスプレではないぞ! 本当にこの学校の生徒じゃ!」


「期間限定でね。で、あなたは……」


 この時、キトリはゴガツの雰囲気を察し、変な物を見る目になった。


「あなた、何を考えているか分からないけど、あまり私たちに近付かないほうがいいわよ」


「え? どうしてですか? 別に近づいてもいいではありませんか」


「さっき言ったように、私たちはある事情があってこの学校の生徒として活動してるの。用を終わらせたら次の場所に旅立つの」


「そ……そりゃー知ってますけど」


「ぶりっ子しながらベーキウに近付いて何を話すつもりか分からないけど、あまり変なことを考えないでね」


 キトリはそう言うと、文句を言うクーアの髪を引っ張りつつ、ベーキウと一緒に去って行った。キトリに自分の腹の内を気付かれた。そう思ったゴガツは舌打ちをした。


「勘のいいガキね。あいつみたいなガキはほんと嫌いだわ! あーもう。むしゃくしゃするー!」


 そう言いながら、ゴガツは携帯電話を取り出し、多数いる浮気相手から誰を相手にしようか考え始めた。


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