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禁足地にいる獣の秘密


 迷ったジャオウたちは、決して入ってはいけない廃墟に迷い込んでしまった。その結果、変な獣に襲われる羽目になった。ジャオウは迫る獣を見て、大剣を構えようとした。だが、何かを感じ取ったジャオウは手を止めた。


「ちょっと! どうして手を止めてんのよ! 攻撃されるわよ!」


 何もしないジャオウを見て、レリルは大声で叫んだ。獣はジャオウに接近し、頭を下げた。


「やはり何もしないか」


 頭を下げる獣を見て、レリルは驚いて口を開けて目の前の光景を見ていた。アルムはレリルに近付き、こう言った。


「あの獣から殺気が感じられなかったんです。もし、本気でジャオウを攻撃するつもりなら、殺気があるはずですし、両手の爪も立てています」


「そ……そうなのね」


 レリルは緊張の糸が切れ、その場に座った。獣はレリルを見て、レリルの方にも頭を下げた。


「皆さんには迷惑をかけてしまい、本当に申し訳ございません」


「あら、意外と丁寧……つーか人の言葉が喋れるのねあんた」


「それには俺も驚いた」


 ジャオウは驚いた様子を見て、獣に近付いた。


「ここはあんたの住処か? だとしたら、謝るのは俺たちの方だ。勝手にあんたの住処に入ってすまない」


「いいってことです。私の存在を知らなかったってことは、迷ってここにたどり着いたんでしょう?」


「ええ、まぁ……」


 ジャオウは迷子になったことを少し照れながら返事をした。その後、獣は近くにある大きな石の上に座った。


「あなたたちに危害を加えることはしません。ですが、今後私に関わると大変なことになると思いますから、ここは大人しく下がってください」


「いや。そういうわけにはいかなくなった。何か事情があるのだろう?」


 ジャオウはそう言って、その場に座った。レリルはジャオウの悪い癖が始まったと思い、呆れてその場に座った。




 その後、獣はジャオウたちに過去のことを話した。


「私の名前はアグレリオ。古の時代に存在したノザラシと言う名前の国の王子でした」


「王子? あんた、その身なりで王子なの?」


 王子と聞いて、一番驚いたのはレリルだった。アルムは興奮するレリルを抑え、アグレリオに話を続けるように促した。


「私は人間でした。ですがある日、国にやってきた意地の悪い魔女が私に呪いをかけ、こんな姿にしてしまったのです」


「そりゃー酷い話ね。で、その魔女はどうなったの?」


「国の討伐隊が倒しました。ですが、彼女の命を奪っても、私の呪いが解かれることはありませんでした」


 アグレリオの話を聞いたアルムは、酷い話だと内心思った。ジャオウは咳ばらいをし、アグレリオにこう聞いた。


「なぁ、呪いを解く方法は見つからないのか?」


「はい。私もいろいろと試しましたが、どれも不発でした。その結果、私は何十年、何百年もの間、この姿で生きてきて、この目で故郷の国が亡びるのを目撃しました」


「国が滅びた? 一体何があったんですか?」


「内乱と戦争です。教科書に載らないレベルの小さな戦争や争いが多発し、そのせいでノザラシは滅びました」


「酷い話ね……」


 この時、レリルは察した。軽く百歳は超えているアグレリオは、どうしてピンピンしているのか気になったのだ。


「ねぇ、どうしてあんたは死なないの? たとえ呪いにかかったとしても、寿命があるはずよ」


「魔女の呪いのせいです。人を獣に変え、体の成長を止めてしまうのです」


「つまり、あなたは歳を取らなくなったってことですね」


 アルムの問いに対し、アグレリオは頷いた。ジャオウはしばらく考えた後、アルムとレリルにこう言った。


「とりあえず、俺たちでできることをしよう。自然のエメラルドは後回しでも大丈夫だろう」


「本当に大丈夫だか……」


 ジャオウの言葉を聞いたレリルは、呆れてため息を吐いた。




 その一方、シアンとベルリアの戦いは激しくなっていた。ベルリアは傷を負いながらも、立ち上がってシアンに挑み、シアンは格下相手にちょっと手加減して戦っていた。


「うォォォォォ!」


 ベルリアはボロボロになったヨーヨーをシアンに向けて放ったが、シアンは光の剣でヨーヨーを弾き、ベルリアに接近した。


「またその技? 何度も同じ技が通用すると思わないでよね!」


 と言って、シアンは手加減してベルリアの腹を殴った。ベルリアは嗚咽しながらも顔を上げ、シアンを睨んだ。


「その根性だけは認めるけど、世の中根性だけじゃ勝てない相手がいるのよ」


「うるさいわね……戦っている最中に説教する余裕があるのね」


「まーね。格下相手だから余裕があるのよ」


 シアンはそう言うと、息を切らすベルリアに近付いた。


「これ以上痛い目を見たくなければ、知っていることを教えなさい。教えてくれたら、これ以上攻撃することはしないわ」


「勝った気で……いないでよ!」


 ベルリアはグラウンドの砂を手にし、シアンの目に向かって投げた。シアンは高く飛び上がって砂をかわし、ベルリアの背後に着地した。


「こざかしい手を使うと思ったわ。そんな手を使っても私に勝ちたいのね」


「そりゃそうよ! あいつのこと、誰にも教えたくない!」


「あいつのこと? やーっぱり何か知っているのね。じゃあ絶対に勝たなくちゃいけないわね」


 シアンは笑みを浮かべながらこう言ったが、校舎の方から教師らしき男性が泣き叫びながらやってきた。


「やめなさァァァァァァァァァァい! 喧嘩なんて、やめなさァァァァァァァァァァい!」


 その男性を見たベルリアは、嫌そうな顔をしてこう言った。


「げぇっ、ゴールドエイト先生」


「ゴールドエイト? すごい名前ね」


 シアンは近付いてくるゴールドエイトを見て、ちょっと引いた。そんな中、ゴールドエイトはベルリアの胸元を掴み、ビンタをした。大きなビンタ音が響き渡り、シアンは驚いて声を漏らした。


「このバカチンがァァァァァ! 理由は知りませんが! 喧嘩なんてやっちゃいけましェェェェェェェェェェん! そこのあなたも!」


「え? 私?」


 動揺するシアンだったが、その前にゴールドエイトはシアンの胸元を掴み、ビンタをした。


「このバカチンがァァァァァ! あんた、どうして私の生徒と喧嘩することになったんですか? 断ることもできたじゃありませんかァァァァァァァァァァ!」


「いや、私は一年、ゴールドエイト先生は三年B組担当ですよ」


 ベルリアは小さな声でこう言ったが、興奮しているゴールドエイトにはその言葉が届かなかった。


「言いなさい! あなたの目的は何ですか! どうして喧嘩なんてするんですか? このバカチンがァァァァァァァァァァ!」


 と言って、再びシアンにビンタをした。このままだとシアンの両頬がヒマワリの種をため込んだハムスターのようにぱんぱんに膨れ上がると思い、ベーキウとキトリは急いでゴールドエイトに近付いた。


「ちょっと! 落ち着け!」


「これ以上暴力を振るうと、警察呼ぶわよ!」


「呼べるもんなら呼びなさい! 私はねぇ、生徒のために! こうやってぶつかりながら教えているんですよォォォォォ!」


「体罰が許されたのは昔の話だ! 今、教師がそんなことしたら問題になるだろうが!」


「問題じゃありましェェェェェェェェェェん! 痛みを知らずに子供が育ったら、他人の痛みを知らない非情な子供になります! 痛みを知ること! それが優しさの第一歩なんですよォォォォォ!」


 と言って、ゴールドエイトは羽交い絞めにしたベーキウを背負い投げし、地面に倒した。その後、ベーキウの上にまたがりベーキウにビンタを始めた。


「このバカチンが! このバカチンが! このバカチンがァァァァァァァァァァ! 人の痛みを知りなさァァァァァァァァァァい!」


 大声を上げて暴れ出したゴールドエイトを見た他の教師たちは、慌ててゴールドエイトを止めに入った。だが、一部の教師はバカチンと言われながらビンタをされた。


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