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今時レトロなヤンキーなんて存在するはずないのにね


 ジャオウは絡んできたヤンキーたちを秒で倒し、呆れた表情をしていた。


「お前たち、自分の力を知ってから喧嘩を売れよ」


 倒れているヤンキーたちは、静かに返事をして気を失った。アルムはため息を吐きつつ、ジャオウに近付いた。


「とりあえずどうする? アマザラシ高等学校って場所に向かってみる?」


「そうだな。ただ、ちょっと目立ちすぎたかもしれん」


 ジャオウの言葉を聞いたレリルは、別のヤンキーたちが自分たちを囲んでいることを知り、声を漏らした。


「あいつら、どーして自分たちよりめっちゃ強い敵に喧嘩を売ろうとするのよ?」


「若気の至りだと思います」


 アルムがこう言うと、別のヤンキーたちはジャオウに襲い掛かった。




 その頃、シアンたちは何とかアマザラシ高等学校の近くに移動していた。


「あー、やはり電車とバス移動は面倒じゃのー」


「仕方ないじゃない。移動手段がそれしかないんだから」


 腰をさするクーアを見て、キトリがこう言った。シアンはスマホを手にし、周囲を見回した。


「ここから歩いて数分のところにアマザラシ高等学校があるみたい」


「そうか。だが……何だこの町は?」


 ベーキウが周囲を見回すと、壁には落書きだらけ、学生たちは木刀や鎖分銅を手にして歩いていた。それを見たクーアは笑ってこう言った。


「何じゃあいつら! 昔の学園ドラマを見た影響であんなへんてこなコスプレをしとるのか? 今時あんなヤンキーファッションを見ても誰もかっこいいとか思わないって!」


 と、禁句に近いことを言い放ってしまった。その言葉を聞いたヤンキーたちがベーキウたちを睨み、ゆっくりと歩いて近付いた。シアンはクーアの頭を叩き、こう言った。


「あんたがバカなことを言ったから、バカなことになったじゃないの」


「あーいすいましぇーん」


「真剣に謝る気はあるのかお前はァァァァァ!」


 シアンがクーアにアイアンクローを仕掛ける中、ヤンキーの一人がベーキウにこう言った。


「おい、俺らのファッションに文句があるのか?」


「俺はない。あんたらが好きなように服を着ればいい」


「私も同意見」


 ベーキウとキトリはこう言ったが、シアンのアイアンクローを抜けてクーアがこう言った。


「じゃがのー、第三者の視点からしてみれば、お前たちの衣装はダサいぞー。清潔さも感じないし、リーゼントもそこまで伸ばしたら逆に邪魔じゃないのかー?」


 クーアの言葉を聞いたヤンキーの額に青筋が走り、クーアに近付いて殴り掛かった。


「このガキ! よくも俺のハートを傷付けたな!」


 迫る拳を見て、クーアはシアンを盾にした。


「見た目がごつい奴は精神と心が弱い。外見を気にする前に、己の弱い内面を強くしたらどうじゃ?」


 クーアの言葉を聞いてヤンキーは動揺したが、鼻血を垂らしながらシアンはクーアの腰を掴み、バックドロップを仕掛けた。


「このクソババア、よくも私を盾にしてくれたわね? この痛み、何倍にして返してやるわ」


「ちょうどいい所にお前がいたからいけないんじゃ。だから盾にしたんじゃ」


「そんな理由で人を盾にするなァァァァァ!」


 シアンは地面に埋まったクーアの股に向かってかかとを落とした。クーアは両足を使ってシアンの攻撃を防ぎ、無理矢理地面から頭を引っこ抜いた。


「クソ勇者。お前のかかとがわらわのバー〇ンを貫くとこじゃったぞ」


「あんたの腐ったバー〇ンを貫いても嬉しくないわよ。むしろ、そのまま頭まで貫いてやるわよ」


 シアンとクーアがにらみ合いをする中、ヤンキーが間に入った。


「俺のことを無視するんじゃねぇ! クソガキが、ぶっ殺してやる!」


「お前は邪魔だ!」


 シアンとクーアは同時に叫びながら、ヤンキーに攻撃を仕掛けた。攻撃を受けたヤンキーは宙に浮かび、そのまま某聖闘士な落ち方で落下した。その後、シアンとクーアの喧嘩が始まった。


「あーあ、また始まった」


「本当にしょうがない奴ら」


 呆れたベーキウとキトリはシアンとクーアの喧嘩を見ていたが、ヤンキーの仲間がベーキウたちを囲んでいた。


「おい、俺らの連れをやったのはお前らか?」


「すいません。今、俺の仲間が喧嘩をしてるんで、邪魔しないでもらえます?」


 ベーキウが冷ややかな目でこう言うと、その目が気に食わなかったヤンキーがベーキウに殴りかかった。


「この野郎! そんな目で俺たちを見るな!」


 ベーキウやヤンキーの攻撃をかわし、攻撃を外してバランスを崩して転倒するヤンキーを見下した。


「おいおい、弱いのに威勢を張るなよ」


「こ……この野郎!」


 ヤンキーは立ち上がってもう一度ベーキウに殴りかかったが、キトリが闇の魔力を使い、ヤンキーのベルトを斬った。ベルトが斬られたことにより、ヤンキーのズボンは落ち、履いていた萌え系のキャラのイラストが描かれたトランクスが丸見えになった。


「おわァァァァァ! 見ないでェェェェェ!」


 そのヤンキーは顔を赤くしながら、路地裏に隠れた。ベーキウとキトリの力、そしてこんな状況でも喧嘩を続けるバカ二人を見たヤンキーたちは、いろんな意味で驚き後ろに下がった。


「何だあいつら? 強すぎる、おかしすぎる」


「かかわらない方がいいかもしれん」


「逃げよう」


 ヤンキーたちが逃げようとしたその瞬間、ヨーヨーが飛んできて、ヤンキーたちに命中した。


「なっ! あのヨーヨーは!」


 驚くヤンキーたちを見て、また変な展開になるのだろうと予測したベーキウは、疲れ果てた表情をした。しばらくして、ヨーヨーを手にした少女が現れた。


「お前ら、またよそ者に絡んでんのか。いい加減にしろよ、バカ野郎」


 その少女はヨーヨーを構える仕草をし、ヤンキーたちにこう言った。ヤンキーの一人は動揺しつつも、大声で叫んだ。


「うるせぇ! 俺たちは今から帰るとこなんだ! 言っとくが、こいつらは強いぞ! 肉体的にも精神的にも!」


「そうかい。だが、騒動を起こそうとしてたのは確かだろ?」


 少女は睨みながらこう言うと、ヤンキーの一人に向かってヨーヨーを投げた。ヨーヨーはヤンキーの額に当たり、大きな音を鳴らした。


「あがっ!」


「少しは痛い目見なよ。またバカをやったら、血祭りにあげるからな」


 少女がこう言うと、ヤンキーたちは逃げて行った。ヤンキーたちが逃げたことを察し、シアンとクーアは喧嘩を止めた。


「何かあったの?」


「誰じゃあのヨーヨーの少女は?」


「俺も知らん」


 ベーキウがシアンとクーアにこう返事をする中、ヨーヨーの少女はベーキウに近付いてこう言った。


「あんたら、こんな治安の悪い場所に何の用だい? 物好きだとしても、こんなところに立ち寄るもんじゃないよ」


「私たち、アマザラシ高等学校に用があるの」


「あの学校に?」


 アマザラシ高等学校と聞いた少女は、眉を動かした。その様子を見たクーアはあることを察し、少女に近付いた。


「あんた、もしかしてその学校の生徒か? だったら話が速い。わらわたちを案内してくれんか?」


「素性も知らない連中に学校のことを教える筋はないね」


 と言って、少女は去ろうとした。シアンは急いで先回りをし、自分の顔を指差してこう言った。


「ねぇ、私の顔見たことない?」


「ないよ」


「ニュースとか新聞とか見ないの?」


「ニュースと新聞? ああ、あんたら勇者パーティーか。生で見ると、あんたガキっぽい顔をしてるわね」


 この言葉を聞いたシアンはちょっとイラっとしたが、気を取り直して言葉を続けた。


「私たちは怪しいもんじゃないわよ。だから、学校のことを教えてくれたら嬉しいなーって」


 シアンは笑顔でごまをすりながらこう言ったが、その少女は変な物を見るような目で、シアンを見ていた。


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