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粛清! サキュバスにレクイエムを?


 レリルは追い詰められた。緊急脱出用の秘密兵器として、高い金で買ったロケットはおもちゃだった。そして、出入り口の前には殺意のオーラを放っているシアンたちがいる。レリルはサキュバスだが、戦闘に関しての訓練とか特訓とかしてこなかった。


 と……とにかくこいつらが中に入らないようにしないと!


 シアンたちの潜入を防ぐため、レリルは急いでおもちゃロケットの扉をセロハンテープで固定した。しかし、セロハンテープではシアンたちの潜入を防ぐことはできなかった。


「んなもんで私たちが困ると思ってんのかクソビッチがァァァァァァァァァァ!」


 シアンは蹴って扉を破壊し、セロハンテープを持って奇声を上げるレリルに近付いた。


「覚悟しろよクソビッチ。テメー、よくもベーキウのファーストキスを奪いやがったな。主人公のファーストキスを奪うのは基本メインヒロインなんだよ。若作りしたサキュバスが奪っていいもんじゃねーんだよ。理解したかクソビッチ!」


 シアンは魔力を解放し、レリルの首を掴んだ。レリルは手足をじたばた動かし、何とかシアンの手をどかした。だが、何故か床は濡れていて、水がレリルの体に触れた瞬間に凍った。


「ヒギィィィィィ! 何で水が? 何で急に凍るの?」


「わらわは火、水、雷、風の魔力を自由に操ることができるのじゃ。ただのエルフの美少女かと思っていたら大間違いじゃ!」


 魔力を解放していたクーアが、怒鳴るようにこう言った。怒鳴り声を聞いたシアンは、少し呆れながらこう呟いた。


「美少女じゃなくておばさんじゃないの」


「シアン! 今の言葉聞こえたぞ! そんなことより、このクソビッチに制裁を与えるのじゃ!」


 殺される。そう思ったレリルは体内の魔力を放出し、急いでこの場から逃げようとした。運よく、魔力を放出した際に体にまとわりついていた氷が破片となって、シアンとクーアを襲ったため、隙を作ることができた。


 うっしゃー! 天は私に味方したー!


 逃げることに成功したと思ったレリルは、猛スピードで逃げようとした。だが、突如目の前に闇でできた剣が突き刺さった。


「逃がすと思う?」


 レリルの前にいたのは、怒りのオーラを発するキトリだった。キトリはレリルが何かやって逃げるだろうとあらかじめ予測し、動いていたのだ。腰を抜かしたレリルは後ろに下がろうとしたのだが、後ろからは鬼のような形相でレリルに向かって走ってくるシアンとクーアの姿があった。


「逃がすかクソビッチィィィィィ!」


「お前は跡形もなくこの世から消滅させてやるぞォォォォォ!」


「キャァァァァァァァァァァ! 私は死にたくなァァァァァァァァァァい!」


 命の危機を察したレリルは、大急ぎで立ち上がって猛スピードで走り出した。シアンたちも走る速度を上げてレリルを追いかけたが、レリルの方が逃げ足は上だった。


「クソッ! 逃がしたか」


「今度会った時は確実に仕留めてやる!」


 走り去るレリルを見て、シアンとクーアは悔しそうにこう言った。




 ベーキウは精神的に疲れた体を何とか動かし、シアンたちの元へ合流していた。


「皆、とりあえず無事……まぁ無事か」


 ベーキウの言葉を聞いたシアンたちは鬼の形相から愛くるしい美少女のような顔になり、ベーキウに抱き着いた。


「ベーキウ! 本当に無事でよかった!」


「ファーストキスは奪われたけど、それ以外変なことをされなくてよかった!」


「心配したの……本当に……本当に……」


「ごめん、あの変態たちに捕まったのは俺の警戒が甘かったからだ。気を付けるよ」


「ベーキウは悪くないよ。悪いのはあのクソビッチだから」


 と言って、シアンはベーキウに抱き着いたままキスをしようとした。そのことを察したクーアはシアンの後ろの髪を引っ張った。


「イッダァァァァァ! 何するのよおばさん!」


「ファーストキスは奪われたが、セカンドキスは渡さん!」


「そんなことをしたらベーキウが精神的にもっと傷付く! 最初はクソビッチ、二回目はクソババアからキスをされたら精神崩壊するって!」


「何を言うかクソ勇者! お前を倒して、ベーキウのセカンドキスはわらわがもらう!」


「セカンドキスは私がもらうのよ!」


 その後、シアンとクーアは魔力を解放し、喧嘩を始めた。バカなことを始めたシアンとクーアを無視し、キトリはベーキウに近付いた。


「どうかしたか?」


「サキュバスに何かされたから、体の異変を調べてるの」


 と言って、キトリはベーキウの服を脱がした。一通りベーキウの体を調べたキトリは、安堵の息を吐いた。


「よかった。無事よ」


「そうか……」


 キトリの言葉を聞いたベーキウは、少しほっとした。その後、喧嘩を続けるシアンとクーアの方を向いてこう言った。


「おーい、戻るぞー」


 ベーキウの言葉を聞いたシアンとクーアはすぐに喧嘩を止め、ベーキウとキトリの元へ向かった。




 リフトの町の宿にて。ベーキウは風呂に入りながらレリルの騒動のことを思い出していた。


「大変な目にあったけど、とりあえず無事でよかった……かなぁ……」


 そう呟き、ベーキウは大きな息を吐いた。もし、自分がもっと強く、危機管理能力があればこんな騒動が起きなかったのだろうと思った。


「とにかく……強くならないといけないな……今より……もっと」


「そうだね。ベーキウには素質があるから、もっと強くなるかもしれないね」


「ああ。シアンの言う通りだな。へ?」


 異常に気付いたベーキウは、すぐに横を振り向いた。そこにはいつの間にかシアンが座っていた。


「やっほー」


「やっほーじゃねーよ! いつの間に風呂に?」


「ちょっと前まで。いやー、何か考えてるベーキウの顔もカッコイイねー」


 そう言いながら、シアンはベーキウに近付いた。この時、ベーキウはあることに気付いた。シアンはタオルを身に着けていないと。


「オイオイオイオイ、タオルはどうした? 体を隠さないといけないんじゃないか?」


「ベーキウだったら、私の生まれたままの姿を見ても怒らないわよ。むしろ大歓迎」


「小娘のちんまりとした裸体を見ても、誰も興奮せぬぞ! お前の裸を見て興奮するのはロリコン野郎だけじゃ!」


 と、生まれたままの姿のクーアが勢いよく扉を開き、風呂場に入ってきた。ベーキウは声を上げて驚き、シアンは石鹸を手にしてクーアに向かって投げる構えをしていた。


「私のコンプレックスを堂々と言い放ったわねクソババア! だったらこっちも言ってやるわ! ババアの裸を見て興奮する奴はこの世にいないわよ!」


「ざーんねーんでしたー! 歳はとっても、見た目は美少女! 世の中にはなぁ、実年齢はあれだけど、見た目が良ければ興奮する変態野郎がいるのじゃ! それよりも! さっさとベーキウから離れろーい!」


 クーアは飛び込むような体制でベーキウとシアンの間に割り込んだ。だが、飛込に失敗したクーアは天井に頭をぶつけ、そのまま落下した。


「何やってんだか……」


 失神したクーアを見て、ベーキウは呆れてこう言った。そんな中、丁寧に体にバスタオルを巻いたキトリが入ってきた。


「はぁ、今度はキトリ? ベーキウの横は渡さないわよ。変なことをしたら、このおばさんのようになってもらうわよ」


「そんなバカなことはしないわよ。今気付いたのよ、ベーキウの下半身にサキュバスの紋章が浮かんでいるかいないのか分からないって」


 この言葉を聞き、ベーキウは急いで股間を手で隠しながら立ち上がった。


「わお! 足の筋肉もすごい!」


「シアン……もう少しまともに俺の体を調べてくれ」


 ベーキウは足を見て興奮するシアンに対し、こう言った。その時、いつの間にか我に戻ったクーアがベーキウの尻を見ていた。


「ベーキウって結構なプリケツじゃのう。ヒヒヒヒヒ……お兄さん、いい尻してるじゃねーの」


「気持ち悪いことを言うな!」


 クーアの言葉を聞いたベーキウは、急いで尻も隠した。そんな中、クーアは何かを見つけた。


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