まぁめでたしめでたしな感じでね
ルーシィは思い出していた。過去に自分が興味本位で洞窟の中に入り、そこの中にあったランプに手を触り、中に吸い込まれたことを。それを今、何もかも思い出していたのだ。
「ご……ごめんなさいお父さん。私、お父さんの言うことを聞かなくて勝手に……」
ルーシィは慌てて謝り出したが、ドレミーファは涙を流し、ルーシィを抱きしめていた。
「いいんだ……私も悪かったんだ。ずっと見つけられなくてすまなかった……」
と言って、ドレミーファは泣き始めた。王はその様子を見て、安堵の息を吐いてベーキウたちにこう言った。
「しばらくは二人きりにさせてあげよう。積もる話もあるだろうし」
「それもそうね。今、治療も終わったから」
治療を終えたシアンは、手足を動かしてこう言った。
その後、戦いによって大きなダメージと深い傷を負ったベーキウたちは、しばらく城の中で休むことになった。
「まさか、ここで一緒に休むことになるなんてね」
「そうだな」
ベッドの上で横になっているシアンとジャオウは、ため息を吐いてこう言った。その一方で、ベーキウは乱れたナース服を身に着けたクーアの治療を受けられていた。
「ベーキウ。下の方はどうじゃ? 少しはわらわに身も心も任せろ」
「そーいうのはスケベ野郎たちを相手にやりなさい」
シアンはそう言って、光の魔力を使ってクーアに攻撃をした。攻撃が当たった場所はクーアのケツ。ケツから火が出たことを察したクーアは、慌てて手ではたいて火を消そうとした。
「あちゃちゃちゃ! ギャァァァァァァァァァァ! わらわのパンツに火が付いたァァァァァ!」
「あんた、水の魔力が使えるんでしょ? それで消せばいいでしょーが」
呆れた表情のシアンはそう言った。クーアは水の魔力でケツの火を消したが、浮かない顔をしていた。
「ぐぐ……お前のせいでケツの一部が丸見えになってしまったではないか!」
「自業自得よバカババア。動けないベーキウに発情する暇があるなら、さっさと私たちの治療をしなさい」
シアンの言葉を聞いたクーアは舌打ちをし、ジャオウに近付いた。
「どうして俺に近付く?」
「わらわの試したい技があるんじゃ。なーに。治療の技術を応用したから、上手くやればすぐに傷が治るはずじゃ」
「おい待ってくれ。あんたの言うことは信じられない」
「何を言うか? 敵同士ではあるが、何度か共闘したではないか」
「動けない仲間に発情して色仕掛けをするような奴を信用できるか」
「ごちゃごちゃ言うな。とりあえずその仮面を外すぞー」
と言って、クーアはジャオウの仮面を外そうとした。その時、買い物袋を持ったキトリが部屋に入ってきた。
「何やってるのおばさん? たとえ敵でも、動けない状態で襲うのはプライドが傷つかないの?」
「誤解するなキトリ」
「誤解? じゃああなたまさか、ジャオウ相手に発情して……」
「それも誤解じゃ。新しい治癒術を溜めそうと思ってな」
「だったら自分でやりなさい。ごめんなさい、うちのパーティーの年増が暴れちゃって」
キトリは闇の魔力を使い、クーアを窓から投げ捨てた。そんな中、本を読んでいたベーキウがキトリにこう聞いた。
「そうだ。ジャオウの仲間のアルムとレリルはどこ行ったんだ?」
「ルーシィのところにいるわ。ルーシィのことが気になるみたい」
キトリの返事を聞いたシアンは、納得した表情でこう言った。
「確かに気になるわね。戦いが終わった後、私たち治療のためにすぐに動いたから。あれから何日経ったんだっけ?」
「確か三日だ。俺も気になるな。運動がてら、様子を見に行くとするか」
ジャオウはそう言うと、杖を手にして起き上がった。立ち上がったジャオウを見て、自分も動けるのではないかと思ったベーキウとシアンも杖を使って起き上がった。
「おお。動けた動けた」
「でもまだ体の節々が痛いわねー。完全に動けるまでは時間がかかるかも」
「さて、ルーシィのとこに行こう」
会話を終え、ベーキウたちはルーシィの元へ向かった。
ルーシィは庭でドレミーファやアルジームと話をしていた。
「しかし、あんな危険なランプがあったなんて知らなかったよ、俺」
「私もだ。あの洞窟は、いろいろな物あったのだな」
「はい。ですが、今は崩壊して中を見ることができませんが」
ルーシィは子供用のコップでお茶を飲んでこう言った。アルジームは小さく笑い、口を開いた。
「それがいいよ。もし、昔の人の宝があるって言ったら、欲張り共が危険な洞窟に向かうことになるから」
「アルジーム君が言ってた通り、守り主がいるから、手にすることはできぬと思うが」
「確かにその通りです」
三人が話をしていると、上からクーアが降ってきた。アルジームは驚いて後ろに下がり、地面の中に顔を突っ込んだクーアにこう言った。
「何やってんだ?」
「落とされた。キトリの奴、わらわは勇者パーティーの中では一番の年長者じゃぞ。年寄りは丁寧に扱えと言われなかったのか?」
「治療しますか?」
おどおどしながらルーシィがこう言ったが、クーアは首を振って答えた。
「大丈夫じゃ。こんな傷かすり傷じゃ。秒で治る」
そう言うと、ベーキウたちがやってきた。
「ルーシィ、体の調子はどう?」
シアンがこう聞くと、ルーシィは立ち上がって答えた。
「はい。何ともありませんが、体は子供のままです」
「ランプの中にいたせいで、成長が止まったみたいね」
キトリの言葉を聞き、ルーシィは頷いた。そんな中、アルムとレリルがクッキーと紅茶を持ってきた。アルムは立ち上がって歩くジャオウを見て、驚いた表情を見せた。
「ジャオウ、歩いても大丈夫なの?」
「ああ。まだ体は痛むが、少しは動かないとな」
ジャオウがそう答えると、クーアは満面の笑みを浮かべるレリルの顔を見て、気持ち悪そうにした。
「どうしたんじゃお前? そんなに満面の笑みを浮かべて気持ち悪いぞ」
「まぁそりゃーねぇ」
そんな話をしていると、パンジーが従者を連れてやってきた。奇麗なドレスを着て、いつものおてんば娘の雰囲気がなかったのだ。そんなパンジーを見たアルジームは思わず立ち上がり、緊張した表情をした。
「アルジーム、そろそろ答えを言ってくれる?」
この言葉を聞いたベーキウ、シアン、ジャオウはなんのこっちゃと思い、首をかしげた。何も分からないベーキウたちを見て、何かを知っているキトリが近付いてこう言った。
「戦いが終わった後、ベーキウたちは疲れてすぐに眠っちゃったでしょ?」
「ああ。確かにそうだ。あの後の記憶がないからな」
「実はあの後、戦いの勝利を祝って派手な宴会があったのよ」
「いいなー、私も参加したかったなー」
羨ましそうにシアンがこう言ったが、キトリは宴会のことを思い出してため息を吐いた。
「大変だったのよ。あのババアとニンニクサキュバスが酒を飲みまくって悪い酔いして、アルムのズボンを下ろしたり、兵士と野球拳をしたり、テーブルの上でストリップショーみたいなことをしたのよ」
「わらわ、そんなことしたっけかなー?」
「私も全然覚えてなーい」
と言って、バカ二人は何かをごまかすように笑い始めた。バカ二人を無視し、キトリは話を続けた。
「バカ二人が悪酔いして騒ぐ中、間違えてお酒を飲んだパンジーが無理矢理アルジームを抱いたのよ」
「は……はぁ?」
その言葉を聞いたベーキウたちは、思わず驚きの声を上げた。ベーキウはアルジームの方を振り向いたが、アルジームは顔を赤くして目をそむけた。
「だってさ、仕方ないじゃん。迫られたら……ねぇ」
「いいのか、そんなんでいいのかお前?」
ベーキウは呆れてこう言ったが、パンジーはアルジームの顔をじっと見て、答えを待っていた。
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