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荒い剣技がキトリを襲う


 クーアやキトリ、アルムとレリルが目の前の敵と戦う中、ベーキウとシアンはグレトールがいるランプに向かって走っていた。


「あいつを壊せば、何とかなるはず!」


「ああ! 早く壊さないと!」


 ベーキウとシアンはそう話をして急いで走っていたが、ランプから新たな敵が現れ、行く手を阻んだ。


「グッ! クソッ!」


「邪魔をしないでよ!」


 現れた敵を斬り倒しながら、ベーキウとシアンは先に向かって走った。だが、敵は次々と現れる。


「どれだけの敵を出すつもりだ?」


「あいつ、もしかして無限に敵を出すつもりじゃないでしょうね」


「無限か……厄介な敵だな」


 攻撃を止め、背中合わせになったベーキウとシアンは会話をしていた。そんな中、ジャオウが高く飛び上がり、ランプに向かって大剣を振り下ろした。だが、この渾身の一撃でもランプは壊れなかった。


「やはり壊れぬか!」


「そんな攻撃が通用するか! 死ね!」


 ランプの中から、敵が現れてジャオウに攻撃を仕掛けた。ジャオウは攻撃を防ぎつつ、ベーキウとシアンの近くに着地した。


「隙を見て攻撃したが、やはりどんな攻撃を仕掛けてもあのランプは壊れない」


「諦めないで。必ずあいつを壊す方法があるはずよ!」


「それまで、こいつらの相手をしないとな」


 ベーキウとシアンの言葉を聞き、ジャオウは頷いた。そして、三人は次々と現れる敵に向かって走り出した。




 キトリは剣を使って戦う敵を相手に苦戦をしていた。


 動きがかなり速い。目で追えるけど、動きが間に合わない!


 心の中で、キトリはそう思っていた。そんな考えが顔に出ていたのか、キトリの顔を見た敵は小さく笑い始めた。


「おいおい、苦戦しているようだねぇ」


 敵が口を開いたことを察し、キトリは驚いた。


「あなた、喋れるのね」


「俺が人の言葉を理解してないって思っていたのか? 心外だねぇ。生まれたばかりでも、人の言葉はちゃーんと理解することができるよ」


 と言って、敵は攻撃を仕掛けた。キトリはバリアを張って防御し、後ろに下がった。


「またそれ? 何度も同じバリアを張ってると、見切っちゃうよ?」


「うるさい口ね、そろそろ閉じたら?」


「悪いが俺、バドルはマシンガントークの名人だ。開いた口はなかなか閉じないぜっと!」


 バドルはキトリに向かって剣を投げた。キトリは飛んできた剣を叩き落としたが、地面に激突した瞬間に剣は消滅した。


「消えたと思って一安心したかい? 悪いが俺は魔力に似た力を使えるんだぜ!」


 そう言うと、バドルは砕け散った剣の破片を操り、手元に寄せた。剣の破片はバドルの手に集まり、剣の形に戻った。


「どうだ? 驚いたか?」


「子供だましの手品みたいね」


「子供だましねぇ。そんなこと言われるのは心外だよ!」


 バドルは勢いを付けてキトリに接近した。素早くキトリに向かって剣を振り下ろしたが、キトリは闇の剣を作り、攻撃を防御していた。


「へぇ、あんたも魔力で剣を作れるの?」


「そうよ。あなたと同じことができるのよ」


「だからそんなに驚かないのか」


 叫び声をあげ、バドルはキトリを蹴り飛ばそうとした。だが、キトリはバドルの足の動きに合わせてジャンプし、バドルの足に向かって蹴りを放った。


「グバッ!」


 蹴りを受けたバドルは後ろに吹き飛んだが、すぐに立ち上がった。


「いってーなー。俺の顔を蹴るなんてひどいことをするじゃねーか」


「あんたは人じゃない。化け物よ。化け物の頭を蹴るのにためらう必要はないわ」


「ひっでーなー。差別だ差別。差別するような奴は死ね!」


 魔力を開放したバドルは、周囲に剣を生み出してキトリに向かって走り出した。


 一本だけじゃなく、大量に!


 無数の剣を見たキトリは驚き、少しだけ動揺した。その隙にバドルはキトリに接近し、力を込めて剣を振り下ろした。


「シャァッ!」


「ぐっ!」


 キトリは攻撃を防御したが、宙に浮いていた剣がキトリに向かって飛んできた。直撃を避けるため、キトリは体を動かしたのだが、剣先はキトリの左肩をかすった。


「外したか。まぁ次がある」


 バドルは無数の剣を動かし、キトリに向かって放った。キトリは飛んでくる剣を叩き落としたが、目の前に剣を構えたバドルが近付いていた。


「終わりだ!」


 と言って、バドルはキトリに向かって剣を振り下ろした。キトリは攻撃をかわしたが、バドルの剣の動きは途中で予想外の動きをした。


「なっ!」


 変な動きをしたため、キトリは驚きのあまり動きを止めてしまった。そして、バドルの斬撃がキトリに命中した。




 アルジームがベーキウたちの援護に向かった後、ルーシィは胸騒ぎを感じていた。パンジーに抱かれていたルーシィだったが、パンジーの腕から降りて走り出した。


「ちょっと! ルーシィちゃん!」


「嫌な予感がします! やっぱり、私も助けに行きます!」


 と言って、ルーシィは走って去って行った。パンジーが後を追おうとしたのだが、ドレミーファが止めた。


「王女はここで待機しててください。ここは私が行きます」


「大臣! でも、あなたの魔力はあまり強くないわ! 助けに行っても……」


「役に立つかどうかは分かりません。ですが、娘がああやって戦地に行ってしまった以上、後を追うのが親の役目です」


 ドレミーファの言葉を聞き、パンジーは黙った。王はパンジーの肩を叩き、何を言っても無駄だと言うように首を振った。パンジーが頷いた後、王はドレミーファの顔を見てこう言った。


「ドレミーファよ、これは命令だ。何が何でも戻ってこい」


「分かりました。では、行ってまいります」


 ドレミーファは頭を下げた後、急いでベーキウたちの元へ向かった。




 キトリは荒く呼吸をしながら、不敵な笑みを浮かべているバドルを睨んでいた。


「おーおー。服をバッサリ切っておっぱいポロリってさせたかったんだけど……やっぱりガキの乳見ても嬉しくねーなー。お前貧乳かよ」


「悪かったわね!」


 と、荒い動きでキトリは蹴りを放った。だが、バドルの一閃を受けて大きなダメージを受けたキトリの動きは鈍かった。バドルは難なく蹴りをかわし、キトリの尻に向かって回し蹴りを放った。


「ああっ!」


「ガキのケツ蹴っても、面白くねーなー」


 倒れたキトリを見下し、バドルはこう言った。その後、苦しむ様子のキトリを見て、バドルは笑い始めた。


「ギャハハハハハ! 苦しそうだねぇ、ハンデやろうか? 三分間待ってやるぜ!」


「三分間も?」


「ああ。三分だ! きっちり三分だ! 俺様はその間、カップラーメンの用意をして待っててやるよ! グレトールさん、カップラーメンとお湯を用意してくれよ!」


 バドルの言葉を聞いたグレトールは、呆れたようにこう言った。


「お前、作った親に対し偉そうな態度をとるなよ」


「いいじゃないっすか! あんまり気にしないでくださいよ!」


「うーん……まぁいいや、とりあえず敵の一人は倒せそうだし」


 会話を終え、バドルはグレトールが用意したカップラーメンにお湯を注ぎ、苦しむ様子を見せるキトリを見て笑みを浮かべていた。


「お前を殺したら、俺は優雅にカップラーメンでも食って、その後お前の仲間をぶっ殺してやるよ。先にあの世で待ってな、後で仲間と再開させてやっからよー」


 と言って、バドルは笑った。だが、そのすぐにキトリは地面から闇の衝撃波を発し、周囲の物を吹き飛ばした。


「あ……俺のカップラーメンが!」


 宙に舞うカップラーメンを見て、バドルは悲鳴を上げた。バドルは急いでカップラーメンを受け取ったが、二回目の衝撃波がカップラーメンに命中し、粉々に破裂した。


「あああああ! 楽しみにしていたカップラーメンが! このガキ、許さねーぞ!」


 バドルはキトリを睨んだが、攻撃を受ける前より強く、恐ろしい魔力をキトリから感じ、背筋から悪寒を感じた。


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