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そりゃーねぇ、元ネタと話が同じだったらいろいろと問題でしょうよ


 ベーキウたちはとんでもない状況になったと思い、ドレミーファの方を見ていた。話を聞いたルーシィは困った表情をして、アルジームの方を向いた。ルーシィの視線に気付いたアルジームも、どうすればいいのか分からず、困っていた。


「うーん……数年前って……ドレミーファ大臣、いつの話なんですか?」


 シアンがこう聞くと、ドレミーファは静かに語り始めた。




 二十年前、ドレミーファは一人娘のルーシィと一緒に、デカアシダチョウに乗って砂漠を走っていた。母親を早くに亡くしたルーシィのため、ドレミーファは休日の時には必ずルーシィと一緒に過ごすようにしていたのだ。だがその日、ドレミーファはデカアシダチョウにえさをやるためにほんの一瞬だけ、ルーシィから目を外してしまった。そのほんの一瞬で、ルーシィは消えてしまったのだ。


 その後、ドレミーファは一人娘を絶対に探し出すため、あらゆる手段を使った。しかし、その願いは叶うことはなかった。




 話を聞いたレリルは、ルーシィに近付いた。


「ねぇ、ルーシィって言ったわよね」


「うげぇ、ニンニク臭い」


 この言葉を聞いたレリルの額に、青筋ができた。レリルでは話にならないと察したジャオウはレリルの代わりにルーシィに尋ねた。


「君、昔の記憶はあるか?」


「昔……ですか」


 ジャオウの質問を聞き、ルーシィは昔のことを考えた。だが、困った表情をした。


「すみません……何も思い出せません。どうして私がこの力を持ったのか、どうしてこのランプの中にいるのか全然思い出せません」


 ルーシィの返事を聞いたベーキウたちは、ざわつき始めた。そんな中、何かを思いついたクーアはランプに近付いた。


「それならこいつに聞けばいい!」


 ランプを持ったクーアを見て、シアンはこう言った。


「こいつって、ランプのこと? ランプが人の言葉をしゃべるわけがないでしょうが」


「それは普通のランプの話じゃ。こいつは不思議なランプ。何かしらの力を込められた変なランプじゃ。人の言葉を理解しているかもしれんじゃろうが」


 そう答え、クーアはランプを叩き始めた。クーアの案に乗ったレリルもランプに近付き、ランプをこすり始めた。


「早く何か言いなさいよ! 黙ってばかりだと、ハンマーでぶっ叩くわよ!」


「そんなんでは脅しにならん! こいつの中に汚水をぶち込むとか精神的に嫌そうなことをすれば脅しになるじゃろうが!」


「そりゃーそうね! ねぇねぇ、下水道処理区域ってどこ?」


「あわわわわわ! 待ってください! 私はそこに戻るんですよ! 下水をぶち込んでランプの中を臭くするのは止めてください!」


 バカなことをしようとしたクーアとレリルを止めるため、ルーシィが両腕を振り回しながら近づいた。




 ざわつきが激しくなる中、ベーキウはシアンとキトリ、近くにいたジャオウとアルムを手招きした。


「なんか変な話になっちまったな」


「そうね。でも、あの子が本当に大臣の娘なのかしら?」


 シアンがこう言うと、キトリはルーシィを見てこう言った。


「だとしたら、大人になっているはず。行方不明になったのは、今から二十年前って言ってたから」


「もしかしたら、ランプの中にいたから成長が止まったとか……」


 アルムの一言を聞き、シアンたちははっとした表情をした。


「可能性はあるわね」


「行方不明になったのは、あのランプにいたから……」


 ベーキウはそう言うと、アルジームに近付いた。


「アルジーム、お前はどうやってあのランプを手に入れたんだ?」


「今、パンジー王女や王様と話をしてたんだ。ベーキウたちにも伝えておくよ」


 そう言うと、アルジームはランプを手に入れた経緯を話した。話を聞いたジャオウは、少し考えてこう言った。


「あのランプが怪しいな。守り主が知らないと言っていたから……」


「俺もそう思う。いわれるまで思ってなかったけど、ちょっと調べる必要があるな」


「私、調べてみる」


 と言って、パンジーはランプを手にしてベーキウたちの元に戻ってきた。シアンはランプを見て、あることを察した。


「さっきまで、クーアとニンニクサキュバスに殴られてたのに、傷一つないわね」


「ああ。ちょっと失礼」


 ジャオウは軽く力を込めてランプを叩いた。甲高い金属音が響いたが、傷が付くことはなかった。


「魔力を少量込めて叩いた。石程度の大きさなら、粉々に砕ける力だが……それでも固いな」


「やっぱり、不思議な力が込められているんだ」


 アルムはそう言って、ランプをじっと見つめた。そんな中、王様がアルジームにこう言った。


「そうじゃ。願いは三つまでかなえられるのだろう? 一回目は君が変装をするため。まだ残り二つ願いをかなえられる。なら、そのうちの一つを使ってルーシィを開放させよう」


 その言葉を聞いたベーキウたちは、ナイスアイデアと一斉に叫んだ。アルジームはクーアとレリルの相手をしているルーシィに近付き、こう言った。


「ルーシィ! 二つ目の願いはお前を開放することだ!」


 アルジームの声を聞いたクーアとレリルは、同時にアルジームに向かってドロップキックをはなった。


「何を考えておるのじゃ貴様! ルーシィが元に戻ったら願いが叶えられないじゃろうが!」


「私にも叶えたい願いがあるのよ! それを叶えるまで待って頂戴!」


「バカ野郎! バカの願いよりルーシィを開放することが最重要でしょうがァァァァァァァァァァ!」


「勇者シアン、手を貸す!」


 魔力を開放したシアンとジャオウは、一斉にクーアとレリルに攻撃を仕掛けた。攻撃を受けて外に飛び出した欲張り共を無視し、アルジームは改めて口を開いた。


「じゃあ……ルーシィを開放してくれ!」


「私の開放ですか……私のために、願いを使うのですか?」


「ああ! もし、お前がドレミーファ大臣の娘なら、絶対に救いたいからな!」


 アルジームの言葉を聞き、ルーシィは涙を流しながら頷いた。


「では二つ目の願い、私の解放です!」


 と言って、ルーシィは魔法陣を発した。その時だった、アルムが手にしているランプから禍々しいオーラが発し、宙に浮いたのだ。


「うわぁっ!」


「う……動いた!」


 突如動いたランプを見て、ベーキウとアルムは驚いて後ろに倒れた。周囲がざわつく中、ランプから声が聞こえた。


「その願いを叶えるのは無理だな」


 ランプの声を聞いたシアンは、怒鳴り声をあげてランプに近付いた。


「何よ偉そうに! 願いを叶えるのはルーシィよ! あんたじゃないわよ! つーかあんた何様よ!」


「私は魔人、グレトール。ランプの中に住んでいる魔人」


 ランプの中にいる魔人、グレトールは静かにこう言った。シアンは剣を持ち、ランプのふたを無理矢理開けようとした。


「出てきなさい! 魔人だか何だか知らないけど、さっさとルーシィを開放しなさい!」


「無理だね」


 返事を聞いたアルジームは、急いでルーシィに近付いた。


「なぁ、魔人って何のことか知ってるか?」


「全然分かりません! と言うか、ランプの中は私一人だけかと思っていました!」


 ルーシィの言葉を聞いたグレトールは、小さく笑いながらこう言った。


「はっ。バカなガキの前に姿を現すことなんてしないよ」


 グレトールがこう言うと、不思議な力を発してシアンを吹き飛ばした。ベーキウとキトリがシアンを受け止め、宙に浮くランプを睨んだ。


「結構やばそうな奴だな」


「ええ。激しい戦いになる予感」


 ベーキウとキトリはそう言うと、魔力を開放した。ジャオウはアルムに近付き、こう言った。


「俺たちも戦うぞ。幼い子供を支配する魔人とやらを、確実に倒す」


 ジャオウの言葉を聞いたアルムは頷き、ナイフを手にした。


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