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洞窟の中にあった物


 グラサンモグラとの戦いに乱入した巨大蛾のモンスター、モンスラーヤは相手の動きを封じる鱗粉をばらまき、グラサンモグラの動きを止めて食べてしまった。確実にモンスラーヤを倒すため、クーアが発案した作戦が始まった。


「確実に倒さないとね」


 と言って、キトリはバリアを消した。モンスラーヤはこのタイミングで動き出し、鱗粉を発した。そのことを確認したクーアは、モンスラーヤに向かって火の魔力を放った。


「わらわの記憶によると、あいつの鱗粉にはそれなりに発火作用がある。それを利用して、火を使って爆発を起こせば、あいつにダメージを与えると同時に、鱗粉をかき消すことができる!」


「それなりに知恵があるんだな。助かった」


 ジャオウは大剣を構えてこう言った。レリルはジャオウに魔力を注いだ後、ジャオウの肩を叩いた。


「ほら行ってきなさい! 奴が爆発のダメージを受けて動けない隙に、パパっとやっつけて!」


「ああ」


 ジャオウは返事をした後、急いでモンスラーヤの元へ向かった。モンスラーヤは爆発のダメージを受けて動けず、鱗粉を出すこともできなかった。


 倒すなら、今しかない!


 心の中でそう思ったジャオウは、大剣を振り上げ、モンスラーヤに向かって勢いを付けて大剣を振り下ろした。大剣の刃はモンスラーヤの頭に直撃し、モンスラーヤの甲高い悲鳴が響いた。


「うるさいわねー。金切声みたいな悲鳴ねー」


「だけど、この一撃は効いた」


「多分終わったじゃろ」


 クーアたちがこう言うと、モンスラーヤの声はしばらくして小さくなり、次第に聞こえなくなった。ジャオウは大剣の先端でモンスラーヤの体を突いて、動くかどうか調べた。


「動かない。完全に倒したようだ」


 ジャオウの言葉を聞いたクーアたちは、歓喜の声を上げた。ジャオウはクーアたちに近付いて、息を吐いてこう言った。


「まだ終わっていないぞ。下に落ちたアルムたちを助けねば」


「そうね。早く助けに行きましょう」


 その後、会話を終えたジャオウたちは、ベーキウたちが落ちた穴に向かって飛び降りた。




 ベーキウたちとは別のルートに落ちてしまったアルジームは無事であった。


「がァァァァァ! 尻がいてェェェェェ!」


 落下時に尻を強打したアルジームは、尻を抑えながらその場でもがき苦しんだ。しばらくして、尻の痛みが治まったのを感じたアルジームは立ち上がり、周囲を見回した。


「うわー、俺一人になっちゃったよ。どうしよう、出口あるかなー?」


 そう呟きながら、アルジームは歩き始めた。しばらく歩くと、アルジームはきらきら光る何かを見つけた。それが気になったアルジームは、急いでそこへ向かった。そこに落ちていたのは、金貨だった。


「昔の金貨か。なんでこんなところに?」


 その時だった。突如周りに霧が発生し、人の形になった。それを見たアルジームは、悲鳴を上げて後ろに倒れた。


「うわァァァァァ! 化け物だァァァァァ!」


「我はこの宝石の洞窟の守り主。古の時代から、我を作った主が宝を守るために作られた存在」


 守り主の話を聞き、アルジームは安堵の息を吐いた。


「何だ、こいつを守っているのか。落ちてたから、落とし物かと思ったよ」


「何? 我が主の宝を奪ったのか?」


「拾っただけだよ。あんたの主人の宝だったなんて知らなかった。これ、返すけどどうすればいいの?」


 アルジームをじっと見ている守り主は、しばらくしてアルジームにこう言った。


「お前は周囲が呆れるほどの正直者だな」


「え? どうして分かったんだ? 確かに周りから、お前は本当に嘘が嫌いだなって言われるけど」


「我は人の心理や考えていることが分かるのだ」


「じゃあ、エロいことも考えたらすぐにばれるってこと?」


「そういうことだ。金貨は地面の上に置いてくれ」


「そんなんでいいの? 宝と言う割には、扱いが雑すぎやしないか?」


「大丈夫だ。それに、金貨の一枚まで我がちゃんと管理をしている。この洞窟に宝があると知った欲深き愚か者が盗んでも、すぐにわかる」


「へー。すげーなあんた」


 アルジームはそう言うと、あることが気になったので、こう聞いた。


「この洞窟にいて結構長いだろ? 出口知らないか? それと、俺と知り合いの勇者パーティーって言う強い人たちが無事かどうか知りたいんだ」


「出口はある。あそこだ」


 守り主は、大きな岩の階段の上にある光を指差してこう言った。アルジームは礼を言ったが、苦い顔をしてこう言った。


「出口は分かったけど、他の皆は大丈夫か?」


「お前が言った勇者パーティーと言う連中は大丈夫だ。それに、その者たちも別の出口を見つけるだろう」


「無事なんだな。とりあえずよかった」


 アルジームは再び安堵の息を吐き、階段に向かって歩き始めた。


「それじゃあ俺は行くよ。あんたも元気でな」


「少し待て。お前みたいな正直者は初めて見た。お前にいくつか宝をやる」


 この言葉を聞き、アルジームは慌てて手を振った。


「そんな、大丈夫ですよ。俺は宝のためなんかにここにきたわけじゃ……」


「いいから持っていけ。お前のことが気に入ったんだ」


 と言って、守り主はアルジームにじゅうたんと金色のランプを渡した。それらを見たアルジームは、戸惑いながらこう聞いた。


「ありがとう。大事に使うよ」


「使ってくれ。そうだ、軽くこの道具の説明をしよう。そのじゅうたんには不思議な力があり、自由に飛べる。それと金色のランプは……この洞窟に落ちてたものだ」


「落とし物か。いいのか? 持ち主に返さなくて」


「何年もあったから大丈夫だろう。まぁ、大事に使ってくれ」


 守り主はそう言うと、姿を消した。アルジームは戸惑いつつも、出口に向かって歩き始めた。


 外に出たアルジームは、じゅうたんを上に広げてその上に座った。


「自由に飛べるって言ってたけど、本当かな? にしても、座り心地最高だな。こんな高級品貰っていいのかな?」


 その時だった。じゅうたんは突如赤く光り出し、上に浮いたのだ。


「うわぁ! 本当に浮いた! でももう少し下がってくれ。落ちると死ぬから」


 その言葉を聞いたじゅうたんは、アルジームの言う通りにゆっくりと下に下がった。


「すげぇ、本当の不思議なじゅうたんだ。でも、これは何だろう?」


 アルジームは落とし物のランプを手にし、調べてみた。適当にこすっていると、突如口の方から煙が発した。


「おいおい、何だよこれ? 今から何が起きるんだ?」


 不安な気持ちで、アルジームは小さく呟いた。しばらくして、煙の中から身長百二十センチくらいの五歳くらいの女の子が現れた。髪はドリルのようなツインテールで、薄い茶色だった。


「あれ? うわわわわ!」


 女の子は悲鳴を上げながら、じゅうたんの上に落ちた。アルジームは不安になり、女の子に近付いた。


「な……なぁ、大丈夫か?」


 アルジームがこう聞くと、女の子は泣き出した。


「ふわァァァァァ! やっとお外に出られましたァァァァァ!」


「やっとって……」


「ずーっとこの臭いランプの中に閉じ込められていたんです! お外の空気を吸ったのは久しぶりですぅ!」


「た……大変だったんだね」


 アルジームは戸惑いながらこう言うと、咳払いしてこう言った。


「とりあえず俺のことを教えておくよ。俺はアルジーム。近くの町に住んでいるんだ」


「アルジーム様、あなたが私の新しいご主人ですね」


「え? どういうこと?」


 戸惑いの表情のアルジームを見て、女の子は立ち上がってこう言った。


「私はランプの魔人のルーシィと言います。願いを三つだけ叶えることができるんです! どうです? すごいでしょ!」


 この言葉を聞いたアルジームは、不審そうな顔をした。その顔を見たルーシィは、驚いた顔をした。


「えええええ! 驚かないんですか?」


「願いを叶えるって、本当か?」


「信じてくださーい!」


 と言って、ルーシィは両腕を振り回し始めた。


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