負の連鎖が終わる時
マンサツの攻撃によって、ジャオウは大ダメージを受けた。ジャオウはマンサツがとどめの一撃を放つだろうと思い、死を覚悟していた。だが、マンサツは笑みを浮かべて何もしなかった。
「どうしてとどめを放たない?」
「だってそりゃーねぇ。面白くなりそうだもん」
返事を聞いたジャオウは、小さく笑って立ち上がった。後ろから近付いてきたベーキウとシアンはジャオウに近付き、魔力を使って治療した。
「すまん。復活するのに時間がかかった」
「あとは任せて」
ベーキウとシアンの言葉を聞いたジャオウは、力を振り絞って立ち上がり、マンサツに向かって歩き始めた。
「一人だけ倒れるわけにはいかない。まだいける」
「そうか。だけど、無茶するなよ」
ベーキウの言葉を聞き、ジャオウは頷いた。マンサツは笑みを浮かべ、火と風を放って攻撃を仕掛けた。
「それじゃあ戦いの再開だね! もっともっと楽しませて!」
マンサツは笑いながら攻撃を仕掛けた。シアンが前に立ち、盾に魔力を発した。盾から大きなバリアが発生し、飛んでくる火と風を防いだ。
「隙を見て攻撃して。長い時間は耐えられない」
「分かった」
「攻撃するなら今だ。俺は右側から攻撃する」
「じゃあ、俺は左側だな」
「ああ。頼むぞ」
ベーキウとジャオウは武器を持ち、バリアから飛び出した。この様子を見たマンサツは笑みを浮かべ、挟み撃ちで攻撃を仕掛けると考えた。
「何を考えているか分からないけど、面白そうなことを考えたね!」
嬉しそうにこう言うと、魔力を開放したベーキウとジャオウがマンサツの両側から攻撃を仕掛けた。
「お前との戦いなんて、これで終わりにしてやる!」
「これ以上狂戦士の相手など、やっていられるか!」
ベーキウとジャオウは、叫びながら攻撃を仕掛けた。マンサツはジャンプして攻撃をかわした。だが、シアンは剣をマンサツに向けて構えていた。
ベーキウとジャオウの攻撃がかわされた時のことを考えておいて、よかった。
そう思い、シアンは剣先から光のビームを放った。攻撃を受けたマンサツは、小さな悲鳴を上げて後ろに吹き飛んだ。
「あぐあ……はは……こりゃー痛いね」
そう言って、マンサツは小さく笑いながら床の上に崩れ落ちた。ベーキウとジャオウは魔力を抑え、倒れたマンサツに近付いた。
「簡単すぎる。こいつ、俺たちが近付いた時に起き上がって、奇襲するつもりだな」
「だな。おい、やられたふりは止めろ。魔力を感じてるんだぞ」
「あ。やっぱりばれてた」
マンサツは起き上がり、すぐに魔力を開放してベーキウに襲い掛かった。ベーキウはこうなるだろうと予測し、どう対処するか答えを出していた。ベーキウはクレイモアを構え、迫ってくるマンサツに向かってクレイモアを振り上げた。クレイモアの刃は、マンサツに命中した。
「あがぁっ!」
攻撃を受け、浮き上がったところをジャオウが接近し、シアンの方に吹き飛ぶように大剣を振るった。
「うぐうっ!」
再び攻撃を受けたマンサツは、剣を構えているシアンの方に吹き飛んだ。シアンは剣を構え、飛んでくるマンサツを睨んだ。
「これで決着ね!」
そう言うと、シアンは剣に魔力を込め、光の刃を放った。それを見たマンサツは、笑みを見せながらこう言った。
「すごい魔力だね……こりゃーやばいな」
その後、シアンは叫び声を上げながら剣を振り下ろした。光の刃はマンサツを一閃し、遠くの壁へ吹き飛ばした。
「ガッハッァッ!」
壁に激突したマンサツは、吐血して気を失った。ベーキウたちは気を失った万札を見て、力を抜いた。
「こ……これで終わった」
「あんな化け物……二度と戦いたくないな……」
「少し休んでから、カネズキを追いましょう」
そう会話をした後、ベーキウたちはその場に倒れた。
カネズキは非常口から外に出ていた。だが、クーアたちはカネズキが外に出ていることを察し、すでに先回りしていた。今、カネズキはゴミ箱の中に隠れていた。
臭い! 狭い! 暗い! 早く近くから出ていけ!
そう思いながら、カネズキはクーアたちが去ることを祈っていた。だが、悪党の祈りは叶うことはなかった。
「あいつ、この辺に逃げたはずじゃ!」
「見た目はデブだから、走るのが遅いはずよ」
「姿が見えないってことは、どこかに隠れているわね」
と、クーア、ミーネ、キトリの言葉が聞こえた。デブと言われたカネズキは、怒りのあまり外に出て叫ぼうとしたのだが、気持ちを抑えた。しかし、その行為が仇となった。
「あのゴミ箱、動かなかったか?」
クーアがこう言ったのだ。まずいと思ったのだがもう遅い。クーアたちはカネズキが隠れているゴミ箱に近付いていた。
「動いた? このゴミ箱が?」
「一瞬じゃがの。フタが少し浮いた気がした」
「あのデブがここに隠れるのは難しいけど……今は非常事態。何が何でもこの中に隠れるってことを考えそうね」
クーアたちの会話がカネズキの耳に入った。気のせいと思って去ってくれとカネズキは強く願った。少しの間をおいて、クーアはこう言った。
「とりあえずどこかを調べよう。考える時間が無駄じゃ」
その言葉を聞き、カネズキは安堵の息を吐いた。それから足音が聞こえ、徐々に聞こえなくなった。
助かった。あいつらが意外とバカで助かった。
そう思ったカネズキは、外に出ようとした。だが、体のどこかが引っかかり、動かなかった。
あれ? 嘘だろ、体が……動かない!
危機を察したカネズキは、無理矢理外に出ようとした。だが、いくら力を込めても体は動かなかった。そんな中、突如ゴミ箱が逆さになり、勢いを付けてカネズキは外に飛び出した。
「あだだだだだ……今のは誰がやったんだ?」
「わらわじゃ」
と、満面の笑みのクーアがこう答えた。クーアの顔を見たカネズキは、悲鳴を発して逃げた。
「キトリ、ミーネ! やはりあいつは逃げたぞ、捕まえるのじゃ!」
クーアが叫んだ後、隠れていたキトリとミーネが姿を現し、カネズキの前に立った。
「捕まりなさい」
「あんたの独裁政治も今日が最後よ!」
「うるさい! どけェェェェェェェェェェ!」
カネズキはキトリとミーネの言うことを無視し、走り続けた。
「待ちなさい! その先はベランダよ! 逃げられないわよ!」
キトリは叫んだが、ミーネはあることを察してこう言った。
「まさかあいつ、飛び降りて逃げるつもりよ!」
「ええ! この高い場所から? 助かるはずがないのに!」
キトリは驚きながらこう言った。ベランダから地上までは、大体ビルの四階ぐらいの高さがある。周囲に木々があるとはいえ、固いコンクリートの上に落下したら確実に命を落とすのだ。それでも、カネズキはベランダの柵を飛び越えた。
「ああっ!」
「バカ!」
宙に浮くカネズキを見て、キトリとミーネは口を開けて驚いた。
一方その頃、イジゲンとゴエゲートとツエルは地上でカネズキを探していた。
「あいつ、ここにはいないようだな」
「そのようだな。まだ、上にいるのだろうか」
「だとしたら、シアンさんたちに任せましょう」
「だな」
と言って、イジゲンはタバコを手に取ろうとした。その時、キトリとミーネの悲鳴を耳にし、上を見上げた。そこには、ベランダの柵を飛び越えて、落下するカネズキの姿があった。
「嘘だろ!」
「あの男、逃げるために無茶なことを!」
「あわわわわわ! ど……どうしましょう!」
イジゲンたちは慌てたのだが、何かを察したイジゲンは落ち着いてタバコに火を付けた。
「安心しろ。あることを思い出した」
「あること?」
「ああ。この小説はギャグ要素が入っている。ギャグ作品で人が高所から落下して、死ぬわけがねーだろ」
イジゲンがこう答えると、空からカネズキが落ちてきて、コンクリートにめり込んだ。
「ぐ……痛い……あんがァァァァァ!」
カネズキは気合で立ち上がり、その場から逃げて行った。
この作品が面白いと思ったら、高評価とブクマをお願いします! 感想と質問も待ってます!




