いろんな行動を起こす前に、まず作戦を練らないとね
ノレパンの予告状騒ぎは、あっという間にゴルマネー国中に広がった。予告状を呼んだカネガタは怒りで体中を震わせていた。
「ノレパンの奴……こんなものを作りおって……私たちを挑発するつもりか!」
「かも……しれませんねぇ」
兵士の一人がこう言った直後、カネガタは机を強く叩いて叫んだ。
「今すぐ全員配備に付け! 全員でノレパンを……いや、モンパ一味をひっ捕らえるぞ!」
カネガタの命令を聞いた兵士は、急いで他の兵士に話をしに向かった。
一方その頃、カネズキもノレパンの予告状を読んでいた。
「ノレパンの奴、一体何を盗むつもりだ?」
「何か心当たりがあるお宝はありませんか?」
近くにいた兵士がこう聞くと、カネズキは玉座の後ろに回った。兵士は何かがあると思い、カネズキの後を追いかけた。玉座の裏には、地下への隠し階段があったのだ。
「うおっ! こんなところに階段が! まるでゲームみたいですね!」
「どうやら、何かあった時のために作られていたようだ。一応緊急の非常口として、作られたみたいだがな」
と言って、カネズキは階段を下って行った。兵士は慌ててその後を追いかけると、目の前には大きな金庫が現れた。
「おわ、でっけー金庫ですねー。どうやってこんなものを入れたんですか?」
「この城を改造した時にちょっとな。それよりも、これがモンパ一味の狙うお宝かもしれない」
カネズキはそう言って、金庫のダイヤルを回した。しばらくして、鍵が開く音が響き、金庫の扉は大きな音を響かせながら開いた。金庫の中には、大量の金塊やまばゆい光を放つ宝石。そして、プラチナやダイアモンドなどが丁寧に置かれていた。それを見た兵士は口を開けて驚き、しばらくの間、目を開けて立っていることしかできなかった。
「どうした? 驚いたか?」
「はい。こんなに財産があれば、この国を立て直すこともできるんじゃあ……」
「誰がそんなことをするか。私は私のために政治を行う。下の奴らのことなど、知ったことか」
「そんな考えだから、支持率が下がるんですよ」
「うるさい。下の奴らがどう思おうが私には関係ない。それより、早くモンパ一味がくることをカネガタに伝えろ」
「大丈夫です。カネガタさんはすでにこの情報を手にして、動いています」
「やはり優秀な兵士長だな。あいつがいれば、一応守りも大丈夫だろう……」
カネズキは安堵の息を吐いてそう言って、王の間へ戻って行った。兵士は金庫の方を振り返り、ぽつりとこう言った。
「あれだけあるんだったら、ちょっとだけもらってもいいよね」
「ネコババしたら死刑だからな」
カネズキの言葉を聞き、兵士は背筋を伸ばした。
その頃、ベーキウたちはゴルマネー国の城に近い場所で夜になるのを待っていた。ベーキウは激しくトレーニングをするシアンとクーアを見て、ため息を吐いていた。
「気合を入れるのはいいが、入れすぎはよくないぞ」
と、何度も忠告をしているのだが、シアンとクーアはノレパンへの殺意が高く、今夜確実にノレパンを抹殺することに頭がいっぱいで、ベーキウの言葉が聞こえなかった。キトリは呆れた表情で呟いた。
「ばてても知らないわよ」
そんな中、ツエルがベーキウにこう聞いた。
「で、どうやって城の中に入るんですか? 門前払いされた状態で、無理矢理入るつもりですか?」
「うーん。そこなんだよなー。一度、俺たちはモンパ一味を捕らえるために協力したんだけど、しくじったから信頼してくれるかどうか……」
「その時はその時! 無理矢理城の中に入って、モンパ一味の鮮血で周囲を赤く染めるだけよ!」
「アッヒャッヒャ! 血祭りが始まるのが待ち遠しいのじゃ!」
血走った目で物騒なことを話したシアンを見て、キトリはシアンのうなじに手刀を放った。
「いい加減落ち着きなさい。おばさんもよ」
キトリは動揺して後ろに下がるクーアの首を掴み、後ろを振り向かせてシアンの時と同じように手刀で叩いた。気を失ったバカ二人をベンチの上に寝かせ、ベーキウたちは話を始めた。
「ベーキウの言う通り、あいつらは私たちを信頼している可能性は低くなったわ」
「派手に無様な姿を見せたからなぁ……」
ベーキウはため息を吐いたが、ツエルがベーキウの肩を叩いてこう言った。
「でもそのおかげで、私と会えたんじゃないですか。それに、昔のゴルマネーのことを知る、いいきっかけになった」
「ポジティブに考えればそうだな。前向きに行こう」
「そうね。もう一度話をすれば、城の中に入れる可能性があるわ」
もう一度話をする。その方向で話は決まった。キトリは次の話題を言うため、口を開いた。
「では次に、どうやってモンパ一味と戦うか」
「そりゃーもちろん! 捕まえて拷問して(あまりにも物騒すぎて対象年齢が変わりそうなため、この部分のセリフはぼかします)するのよ!」
「シアン、ここは他の人がいる公園だぞ。そんなことを言ったら、誤解して危ない人だと思われるだろうが」
ベーキウにこう言われ、目を覚ましたシアンは顔を赤くした。クーアはあくびをし、キトリに近付いた。
「おい、気を失わせるためにうなじを殴るなんてやりすぎだと思わんのか?」
「思わないわ。あの程度で、あなたは死なないから」
「そういう観点で物事を把握するな。わらわはかわいい美少女じゃ」
「なーにがかわいい美少女よ。実年齢八十五歳なのに」
シアンの独り言を聞き、クーアは魔力を開放してこう言った。
「余計なことを言うなチビ勇者。ようやくこのバカ作者がわらわの年齢でギャグをするという今時グレーゾーンなネタをあまりやらなくなったっつーのに。これで読者の皆さんがわらわの実年齢を思い出したらどうするつもりじゃ?」
「無駄なことをしないほうがいいわよ。嘘を言っても、いいことはないわ」
「正論を言うな! じゃが、わらわの若作りは無駄ではない!」
「無駄かどうかは第三者が決めること!」
「ふざけたことを言うなよ勇者? いいことを思いついた。ノレパンの猿野郎を血祭りにあげる準備運動として、まずお前をぶっ倒してやるのじゃ!」
「上等! この旅で私の戦いの経験値も倍以上に上がったことだし、そろそろあんたとの決着をつけた方がいいわね!」
「はん! 経験を積んだのはわらわも同じこと! 行くぞ、勇者ァァァァァ!」
「かかってこいやァァァァァ!」
その後、シアンとクーアの喧嘩が始まってしまった。ツエルは本格的なシアンとクーアの戦いを見て、笑みを浮かべながら観戦していた。
「わぁすごい。まるで本格的なバトルシーンですね」
「そんなこと言ってる場合じゃないわよ。本当に困った勇者とおばさんね……」
キトリはそう言って魔力を開放し、派手に喧嘩をするバカ二人を止めた。ベーキウはため息を吐き、小さく呟いた。
「こんな調子でモンパ一味を倒せるのか?」
その日の夜、準備を終えたモンパ一味とジャオウたちが外に出ていた。
「それじゃあ作戦通りに動いてくれ。俺とイジゲンは城に入って、お宝を盗みまくる」
「拙者は逃げ道を作る」
「私は野郎どもを誘惑して、道を作る」
「そして俺は、邪魔する敵と戦う」
ジャオウは大剣を手にしてこう言った。その言葉を聞いたノレパンは笑みを浮かべながら頷き、こう言った。
「その通り。感嘆のように見えて、難しいミッションだ。俺とイジゲンが宝を盗んで脱出したら、すぐに逃げるぞ」
「難しい仕事が初めてってのもあまり気がよくないだろ」
「大丈夫です。敵を斬る。俺にとっては、簡単なことです」
ジャオウの言葉を聞き、ノレパンとイジゲンは笑った。そして、ノレパンは車の運転席に座り、エンジンをかけた。
「それじゃあ行くぞ! 狙いはカネズキのお宝だ!」
ノレパンの声の後、モンパ一味とジャオウたちを乗せた車はエンジン音を響かせながら、走り始めた。
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