やましいことがある人は、どこかしら顔にその色が見える
カネズキはうなり声を上げながらあることを考えていた。今、カネズキは前国王であるドルセンを毒殺し、王の座を手に入れた。そして、高い税金や物価を高くして民衆から多額の金を奪い、その金や王の権力を使って富豪層にいい待遇をさせてわいろなどを手に入れる。カネズキは誰もがうらやむリッチな生活を送っているのだ。だが、こんな日はどこかしらのタイミングで何もかもが崩れることをカネズキは把握していた。
ふーむ。何か嫌な予感がする。私の権力の座を脅かす何かが起こるかもしれない。モンパ一味のこともあるし……問題が山積みだ。
そう思っていると、兵士の一人がやってきてこう言った。
「カネズキ王、行方不明だった勇者パーティーが戻ってきました」
「戻ってきたのか。モンパ一味の罠に引っかかってどこかに行ったと聞いたが……やはり勇者、自らの足で戻ってきたか」
カネズキはそう言ったが、兵士はまだ話があるのか、その場に残っていた。
「どうした、まだ話があるのか?」
「はい。勇者パーティーが戻ってきたんですが、見知らぬ少女が一人増えていたんですよ」
「それがどうした。どこかで知り合ったんだろう。気にするな」
「その少女から、亡くなった王妃みたいな気品のあるオーラを微妙に感じるんですよ」
この言葉を聞き、カネズキの表情は変わった。
「本当か? で、その少女の名前は?」
「ツエルと言う名前です。住所は不明ですが、素性も分かりません」
この言葉を聞き、カネズキは少し考え、兵士にこう言った。
「ツエルと言う少女をもう少し詳しく調べろ」
「え? 何でですか?」
「いいから調べるんだ。王の命令だ」
「はい。分かりました」
兵士は返事をした後、小さな声で、何でこんなことをするんだと言いながら去って行った。兵士が去った後、カネズキは深いため息を吐いた。
嫌な予感が当たってしまう。もし、ツエルと言う少女が生まれた直後に呪いを受けたドルセンの子だったら……まずい、次の王はあのツエルと言う少女になる。どうにかしないと。
そう思い、どうしようか考え始めた。
その一方、ベーキウたちは城の前にいた。
「さてと、ここが私の実家……」
「あまり変なことを言わないで。命を狙われる可能性があるんだから」
キトリはツエルの口を塞いでこう言った。そんな中、シアンは近くにいた兵士に声をかけた。
「すみません。今戻りました」
「おお! 勇者シアン! どこに行ってたんですか?」
「ノレパンの猿野郎のせいで、森の中に入ってしまいました」
「あいつが何かしたんですか?」
「煙玉でね。で、カネズキ王にいろいろと話をしたいんだけど、城の中に入れてくれない?」
と、シアンはこう言った。兵士はお待ちくださいと言って、城の中に入って行った。
シアンと話をしていた兵士はカネズキの元へ向かい、考え中のカネズキに声をかけた。
「王。勇者シアンが到着しました」
「何! もう到着したのか」
「どうします? 話をしたいって言っていますが」
考えがまとまらずに、シアンが到着した。どうしようと考えたカネズキは、兵士にこう言った。
「用事があるから今は会えないと言っておけ」
「王様が嘘言っていいんですか?」
「だったら会えない状況だと伝えておけ。私はしばらく部屋にこもる」
「エロ本でも読むんですか?」
「バカ! 考えごとじゃ!」
と言って、カネズキは立ち上がって去って行った。兵士はしょうがねーなと言いながらシアンたちの元に戻り、口を開いた。
「すみません、王は今、会えない状況です」
「何じゃ、暇じゃないのか」
クーアは残念そうにこう言った。ベーキウは少し考えてシアンたちにこう言った。
「仕方ない。一度、どこかで時間を潰そう」
と言って、シアンたちはどこかに行こうとしたのだが、その前にベーキウは兵士にこう言った。
「兵士さん、王様が会える状況になったら、俺たちに一報をお願いできませんか?」
「すみません。実は私たち兵士には携帯電話を渡されないんです。代わりに持たされているのがこれなんですよ」
そう言って、兵士はトランシーバーをベーキウに見せた。ベーキウは分かりましたと言い、シアンたちの元に戻った。
その後、ベーキウたちは公園で一休みしていた。クーアはうなり声を上げながら、腕組をしていた。
「うーむ。あの王様と会えないなら、話が進まんのー」
「そうね。昔のことを聞きたいのに」
クーアとキトリはこう言ったが、シアンは立ち上がってベーキウたちを見回し、口を開いた。
「とにかくここでじーっとしているのは時間の無駄だから、図書館に行って過去のことを調べましょう」
「私もシアンさんの言うことに賛成です。少し、いろんなことを勉強したいので」
と、ツエルはシアンの言うことに賛同してこう言った。ベーキウもその通りだと思い、頷いた。クーアとキトリは少し考え、図書館に行くことを賛成した。と言うわけで、ベーキウたちは図書館に向かった。
「えーと……昔のゴルマネー国に関する歴史の本ってありませんか?」
シアンはそう言ったが、図書館の役員は困った表情をしてこう答えた。
「すみません、歴史の本は昔のことが書かれた本しかありません」
「昔? どの時代の本がないの?」
「ドルセン王の時代です」
「どうして?」
「カネズキ王の命令です。あの人が王になった瞬間、カネズキ王が書かれた歴史の本は全部処分しろと命令されたんです」
役員の言葉を聞き、シアンは確信を突いたような表情をした。その後、シアンは本を読んでいるベーキウたちの元に戻ってこう言った。
「カネズキ王が何か、悪いことをしているかもしれないわ」
「カネズキ王が? まぁ、そんな予感はしていたがのう」
クーアは本をめくりながらこう言った。ツエルは神妙な顔をして、シアンにこう言った。
「もしかして、私の父を殺したのも……」
「可能性はあるわ。私の予感も、可能性の話だから確実ってことは自信持って言えないけど」
シアンはそう言って椅子の上に座った。ベーキウは周囲を見回し、シアンに話しかけた。
「これからどうする?」
「城に潜入するわ。王様のことを調べたいって言って城に入ろうとしても、断られるだけだろうし」
「その通りだな。何かどさくさに紛れて城に入ることができたら……」
ベーキウがこう言うと、突如外から声が聞こえた。
「ニュースだニュース! 大ニュース! 今夜、俺たちのヒーローのモンパ一味が現れらしいぞー!」
この言葉を聞き、シアンとクーアの目の色が変わり、急いで外に出た。ベーキウたちはその後を追った。すると、声を発した男性に問い詰めているシアンとクーアの姿があった。
「ノレパンの猿野郎はどこに現れるの?」
「今すぐ教えろ!」
鬼のような形相のシアンとクーアに言われ、男性は脅えて泣き始めた。ベーキウとキトリはシアンとクーアを落ち着かせ、改めて涙を流す男性にこう聞いた。
「すみません、モンパ一味はどこに現れるんですか?」
「お……お城です。何をするか分かりませんが、今夜現れると予告状が……」
「予告状?」
キトリがこう聞くと、上からチラシのような紙が落ちてきた。キトリはそれを手にしてみると、そこにはこう書かれていた。
今夜、お城の重要なお宝を頂きに参上いたす。モンパ一味のセクシーな怪盗、ノレパンより。
「な……なんてふざけた予告状なの?」
キトリが冷や汗を流しながらこう言うと、シアンとクーアはその予告状を見て、悪魔のような笑みを見せた。
「あの猿野郎、自分からどこに現れるか丁寧に書いちゃってまぁ……」
「自分から殺してくださいと言っているようなもんじゃ。まぁ、姿を出してくれるのなら、喜んで血祭りにあげてやるのじゃァァァァァ!」
予告状を見たシアンとクーアは、悪魔のような笑い声を発した。
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