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ジャオウたちと学ぶゴルマネー国の歴史


 ミーネは料理を食べ、満足な表情で眠る子供たちを見て、安堵の笑みを浮かべていた。ジャオウたちはミーネに近付き、頭を下げた。


「俺たちまで世話になるような形になってしまい、本当に申し訳ない」


「いいのよ。気にしないで」


「でも、お金の面が……」


「お金のことは気にしないで。また心が濁った金持ちから奪えばいいんだから」


 ミーネの言葉を聞き、ジャオウとアルムは冷や汗を流した。そんな中、ノレパンがあくびをしながら部屋に入ってきた。


「ミーネちゃーん。ガキンチョたちは眠ったかーい?」


「ええ、今眠ったところよ。今からこの人たちのことを聞き出そうと思っていたのよ」


「そんなことしなくても、俺がとっくのとんまに調べちゃったんだよねー」


 ノレパンは笑みを浮かべながら、手にした資料を見ながら口を開いた。


「仮面のあんたはジャオウ。で、女っぽいあんたがアルム。で、口が臭いちゃんねーがレリルだ」


「最後の一言は余計よ」


 そう言いながら、レリルは息を吐きながらノレパンに近付いた。ニンニク臭が漂ったため、ノレパンは慌てて指で鼻を塞いだ。


「だってしょうがないじゃん。実際にそうやって書かれてたんだもん」


「じゃあその情報をネットに書いた奴を教えなさいよ。そいつをギッタギタにしてくるから!」


「そんなことをしちゃダメダメよ? まぁまぁ落ち着いて」


 ノレパンは怒りを爆発させるレリムを落ち着かせ、近くの椅子に座らせた。そんな中、イジゲンとゴエゲートも部屋に入ってきた。


「あんたらの話、俺も気になるな」


「拙者もだ。そなたらはどんな理由で、魔界からここに?」


 話を聞かれたジャオウは、ため息を吐いた。


「俺はある人物を殺すためにここにきた。その誰かは……たとえあなたたちでも言えない」


「有名人か?」


 ノレパンがこう聞くと、図星を刺されたような反応を見せたジャオウは、少し間をおいて頷いた。ノレパンは笑みを浮かべ、ジャオウにこう言った。


「誰かを殺す。その誰かは有名人。だけど、何か強い恨みか何かあるんだな。これ以上、話を聞き出すのは止めようぜ」


「いいのか?」


「いいんだよイジゲン。俺らがそいつを守っても、得はあるか? 誰かに強い恨みを恨ませるような有名人だ。きっと、悪い奴に決まってる」


 ノレパンの言葉を聞き、ジャオウは頭を下げた。その後、アルムはミーネにこう聞いた。


「この国は、本当に酷いですね。物価は高いし、富豪層だけが得をするような政治の仕組みになっています。昔から、こんな状況だったんですか?」


 ミーネは手にしていた紅茶のティーカップを机の上に置き、静かに語り始めた。




 昔、この国はとても平和だったわ。前の王様、ドルセンは民のための政治を行ったから、民衆から信頼されていたのよ。だけど、そんなある日のことだった。突如、ドルセン王の体調が悪くなり、しばらくしてドルセン王は亡くなった。


 その後、王に選ばれたのが今の王、カネズキよ。元大臣であったカネズキは、ドルセン王が行ってきた政治の真逆を行ったわ。そのせいで、国民の生活は貧しくなり、逆に金持ち連中が得をするようになったの。それに、カネズキは変な理由を付けて、武器屋を閉店させたり、民に武器類を持たせないようにしたの。そのせいで、民は力を失った。


 私たちは、カネズキのせいで苦しい思いをしている民のために、義賊活動をしているの。頻繁に金持ち連中から金を奪い、民にばらまく。そして、両親を失った子供たちを守り、育てるために。




 話を聞いたレリルは、納得した表情をしていた。


「なーるほど。だからあんたらは犯罪行為を犯しているのね」


「そんな風に言わないでよ。そうでもしないと、民の皆が野垂れ死ぬわ」


「誰かが行動を起こさない……いや、行動できないから、力がある俺たちが動くんだよ」


 ノレパンはコーヒーを飲み、こう言った。話を聞いたジャオウはアルムとレリルを手招きし、小声でこう言った。


「俺たちで、カネズキとか言う愚かな王を倒さないか?」


 この言葉を聞いたアルムとレリルは驚き、声を上げた。


「あんた、何言ってんのよ! 金粒の魔石は? あんたが恨んでいる奴を始末する話はどうするのよ!」


「確かに同情できるけど、そんなことをしていたら勇者パーティーが金粒の魔石を手に入れちゃうよ!」


「その時はその時だ。ひもじい思いをしている子供たちを見て、苦しむ民を見て動かないわけにはいかないだろう」


 ジャオウの言葉を聞き、アルムは頭を抱えた。


「ジャオウの病気が始まったか……うーん……しょうがない。僕もカネズキって王様を倒すのを手伝うよ」


 アルムの言葉を聞いたレリルは驚き、アルムの肩を掴んだ。


「あんたも何言ってんのよ! 確かにまぁ、苦しい人たちを見てカネズキって王に怒りを覚えるのは分かるけどさぁ」


「考えろレリル。カネズキを倒せば、城にあるかもしれない金粒の魔石を楽に手に入ることができるかもしれんぞ」


 ジャオウの言葉を聞き、レリルは少し考えた。そして、こう答えた。


「しょーがないわね。私もカネズキ討伐に手を貸すわ」


「これで、俺たちもあなたたちの共犯者だ」


 ジャオウの言葉を聞き、ノレパンは笑みを浮かべた。




 一方その頃、ベーキウたちは何とか森の外に出られることができた。


「やーっと太陽が見えてきたわ」


「深い森だったわね。私たち、夜間にあれだけ走っていたのね」


 キトリはゴルマネー国と森の距離を見てこう言った。ベーキウはうなり声をあげ、口を開いた。


「確かにな。興奮してたから、疲れを感じなかったかもしれないな」


「さて、お話はこれで終わりにして、早くゴルマネー国に向かいましょう」


 ツエルはそう言った後、前を歩き始めた。シアンは急いでツエルの横に移動し、こう言った。


「ちょっと待って。あんた、もしかしたら命を狙われるっつーのに、あんまり目立たないでよ」


「えー?」


「えー? じゃないわよ。もうちょっと危機感を覚えて」


「しょうがないですわねぇ。初めて森の外に出られたのに、自由に歩けないなんて」


 この言葉を聞いたベーキウは、確かにそうだなと心の中で思った。そんな中、ツエルが何かを見つけて声を上げた。


「何かあったの?」


「見てください、牛です! 初めて見ました!」


 ツエルは目の前を指差してこう言った。そこには、興奮して走ってくる牛のような動物がいた。それを見たキトリは慌ててツエルの手を引っ張った。


「あれはモンスター! 牛のように見えるけど、あれは牛のモンスターなのよ!」


「でも、牛だってことには変わりないでしょ?」


「確かにそうだけど。あいつはコーフンギュー! 普通の牛とは違って、かなり獰猛で凶暴な牛のモンスターなのよ!」


「そうなの。なーんだ、つまらない」


「そんなことを言っている場合じゃないじゃろうがァァァァァ! 早く逃げるぞォォォォォ!」


 クーアは魔力を開放し、強風を発してベーキウたちを吹き飛ばしながら、コーフンギューから逃げて行った。


 その後、魔力が尽きたクーアはその場で倒れていた。


「魔力が尽きた。あのコーフンギュー……地の果てに行っても追いかけてくるつもりか?」


「でも、あんたのおかげであいつから巻くことができたわ。とりあえずありがとう」


「とりあえずは余計じゃ」


 クーアはシアンにこう言った。ベーキウは周囲を見回し、ゴルマネー国との距離を確認した。


「あと半分だと思うけど……今は、クーアを休ませないとな」


「そうね。それに、作戦も練らないとね」


 ベーキウとキトリがこう言ったため、一度ベーキウたちは休憩をすることになった。


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