ジャオウたちは次の長編で活躍する予定です
ベーキウたちは、サシミから海のサファイアをもらった。そんな中、ジャオウはずーっと泳ぎの練習をしていた。
「ブッファッ! ハァ……ハァ……」
「また溺れたのね。しょうがないわねぇ」
レリルはため息を吐き、水面で手足を動かすジャオウの元へ向かった。レリルに助けられたジャオウは咳き込みつつ、レリルの方を向いてこう言った。
「すまない……また助かった……」
「これで溺れるのはもう何度目よ? 数カ月ずーっと練習してたけど、全然泳ぎが上達しないじゃないの!」
「ぐ……言い返す言葉が見つからない……」
ジャオウは悔しそうにこう言った。アルムはスポーツドリンクをジャオウに渡し、こう言った。
「一度休憩しなよ」
「ああ……数時間ずっと練習してたからな……」
ジャオウはスポーツドリンクを手にし、浜辺へ戻った。
砂の上に座っているジャオウは、ため息を吐いて海を見ていた。
「どうして俺は泳げないんだ?」
と、何度も何度も同じことを呟いていた。パラソルの下にいるレリルは、アルムにこう聞いた。
「そろそろここの素材を諦めて、次の大陸に向かった方がいいんじゃない?」
「僕もそうしたいけど、ジャオウは何が何でも泳ぎを上達させるつもりだよ。ああ見えて、負けず嫌いだからさ」
「あーあ、諦めることも必要なのにねぇ」
レリルはため息を吐いて、ジャオウを見た。
「そもそも、あんな仮面を付けて泳げるわけがないでしょうが。泳ぐ時も外さないって、どれだけ素顔を他の人に見せたくないのよ。結構なイケメンなのに、もったいないじゃない」
「ジャオウは嫌がるんだよ。まぁ……父親のことを知ったらねぇ……」
「ジャオウの父親? どんな奴?」
レリルがこう聞いた直後、焼けた肌の二人組の男が近付いてきた。
「へーい彼女たちー。今お暇ー?」
「ナンパ? どれどれ……」
ナンパされていると察したレリルは立ち上がり、二人組の男を凝視した。
「それなりに筋肉はあるけれど、まだまだね。もう少し鍛えてバランスのいい体になったら相手してやってもいいけど」
「おいおい、そりゃーないぜサキュバスのお姉さん」
自身がサキュバスであると言われ、レリルは笑みを浮かべた。
「魔力を持っているのね。あんた、ただのナンパじゃないわね」
「俺たちは剣士として、モンスター討伐や悪人の討伐をしているんだ。それなりに魔力はあるぜ」
「お姉さんのようなサキュバスも、何度か見たことあるぜ。手は出したことないけど」
男たちの話を聞き、レリルは笑みを浮かべた。
「意外と面白そうなことになったじゃない。それなりに強そうだけど、私の相手になるかしら?」
「うーん……お姉さんもかわいいけど……」
「俺たちの狙いはこっちなんだよねー」
と言って、男たちはアルムを見て笑みを浮かべた。この瞬間、イラっとしたレリルはアルムの水着をずらした。
「あんたらはどこに目を付けているのよ! こいつは男! 男なのよ! 見た目は女の子のようにかわいいけど、下にはご立派なものがあるのよ!」
「うわァァァァァ! 止めてくださいよレリルさん!」
水着をずらされたことを察したアルムは、急いで水着を直した。男たちは己の股間を見て、深いため息を吐いた。
「俺たちじゃ相手にならないってわけか……」
「そんなに立派なものじゃない……俺たちの……敗北だ」
男たちはそう言った後、アルムの肩を叩いてこう言った。
「このお姉さんと仲良くな」
この言葉を聞いたアルムは、手を振ってこう言った。
「誤解しないでください! 僕とレリルさんは付き合っていません!」
「そうなの? 一緒にいるから付き合っているもんだと思ったよ」
「悪いけど、顔が幼すぎるのよ。体は立派だけどねぇ」
レリルはそう言って、フルーツジュースを一口飲んだ。男たちはアルムに近付き、小さな声でこう聞いた。
「で、本心はどうなんだ?」
「あんなエッチなサキュバスのお姉さんが近くにいるんだ。毎日が大変だろう?」
「いえ……あの人、ニンニク料理ばっかり食べるから、口臭がきつくて……」
この言葉を聞いた男たちは、嫌そうな顔をした。
「そりゃー嫌だなぁ」
「お姉さん、口臭ケアはした方がいいって」
男たちの言葉を聞いたレリルは、立ち上がって近付いた。
「口臭が原因でナンパを止めるってわけ? あんたらが勝手に近づいたのよ。ナンパを続けなさいよォォォォォ!」
レリルはそう言って、男たちを追いかけた。その様子を見たアルムは呆れてため息を吐いた。
アルムたちが騒いでいる中、ジャオウはどうやって泳ごうか考えていた。そんな中、女の子の悲鳴が聞こえた。ジャオウはすぐに立ち上がり、周囲を見回した。海の方で、溺れている女の子の姿があった。
「今行く!」
溺れている女の子の姿を見たジャオウは、自身が泳げないことを忘れ、助けることを考えて海に向かった。ジャオウの声を聞いたアルムはジャオウの方を向き、驚いて声を上げた。
「ジャオウ! 泳げないのに助けに行くなんて無理だよ!」
そう言ったのだが、この言葉はジャオウに届かなかった。ジャオウは海に入り、ひたすら女の子の元へ向かった。
「助けて! 助けてェェェェェ!」
「今行く! ブアップ! それまで……あっぷあっぷ! 耐えてくれ……ゴブッ!」
ジャオウは叫びながら泳いでいたのだが、ジャオウも溺れてしまった。その様子を見た女の子は動きを止め、呆れる様子でジャオウを見た。
「お兄ちゃん、泳げないのに助けにきたの?」
「そうだ……ブファッ! ブファッ! 助けてくれ!」
「助けにきたのに助けてくれって言うの、おかしいよ!」
「泳げないことを忘れてた! ゴフッ! それより……君は溺れていたはずだが……」
ジャオウの言葉を聞いた女の子は、泳げる状況になったことを察して驚いた。
「あ。何とかなった。ありがとうお兄ちゃん!」
「分かった……その前に助けて……」
溺れるジャオウを見て、女の子はこう言った。
「体中の力を抜いてみたら? それで、ゆっくりと腕と足を動かしてみて」
「あ……ああ……」
ジャオウは女の子の言う通りに、体中の力を抜いた。すると、体は海に浮いた。
「おお! 体が!」
「それで手足を動かすの」
「こうか」
女の子に言われた通りに、ジャオウは手足を動かした。すると、体はジャオウの思うように動いた。
「泳げる……泳げる! 泳げるようになったぞォォォォォ!」
カナヅチを克服した。このことを察したジャオウは、歓喜の叫び声をあげた。
その後、ジャオウは女の子とともに砂浜へ戻った。
「よかった! 何ともなくて!」
「このお兄ちゃんが助けてくれたの。一応」
女の子はジャオウの方を見てこう言った。女の子の親はジャオウに向かって、何度も頭を下げた。
「ありがとうございますありがとうございます! あなたのおかげで、この子は助かりました!」
「礼を言うのは俺の方です。この子が泳ぎのコツを教えてもらわなかったら、俺も海の藻屑となっていました。本当に……本当に本当にありがとうございます!」
ジャオウはそう言って、土下座した。アルムとレリルはどうにかなったと思いつつ、ジャオウに近付いた。
「それじゃあ、海の国に行く?」
「ああ。今すぐにでも海のサファイアを取りに行こう!」
ジャオウの言葉を聞き、女の子はこう言った。
「海のサファイア? そう言えば別の浜辺で、海の国の人がいたけど……」
「そうだ! 勇者シアンがいたんだっけ! 海の国の人がサファイアのような宝石を勇者シアンに渡していたわ!」
女の子の親はそう言った。この言葉を聞いたジャオウたちの顔色は白く染まった。
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