捕まった人魚姫
いろいろと紆余曲折があったものの、ハンガーは一応無事に海の国に到着できた。ハンガーは周りを見回し、人魚兵に囲まれていることを察した。
「はん! ワガハイたちとやるつもりか? この国にどんな技術があるかどうか分からんが、所詮は魚! ワガハイたちが持つ武器を相手に戦えるわけがない!」
と、ハンガーは勝ち誇ったかのように叫んだ。だが、人魚兵は槍を構え、隊長らしき人が指示をした。すると、人魚兵たちは槍に付いてあるボタンを押した。その直後、槍の矛先が潜水艦に向かって飛んできた。
「何! そんな仕組みだったのか、あの槍は!」
「船長、ちょっとだけ浮上しましょう! それなら、何とか回避できます!」
「分かった! 浮上するから、倒れないように気を付けろ!」
ハンガーは浮上ボタンを押し、ちょっとだけ潜水艦を浮上させた。何とか槍を回避することができたのだが、人魚兵が持つ槍は新たに矛先ができた。
「えええええ! また矛先が現れたんだけど!」
「二発目用意! 撃てェェェェェ!」
人魚兵たちは、潜水艦に向かって一斉に槍の矛先を発射した。このままだと潜水艦が破壊されると思ったハンガーはレバーを動かしたが、操作を間違え潜水艦を前進させてしまった。前にいた人魚たちは驚き、横に泳いで逃げた。
「船長! 前に進んでどうするつもりですか!」
「ごめん! 慌てて操作を間違えた! だが! あいつらから逃げることができた! まぁ運がよかったってことでいいじゃないか!」
「そーっすね」
と言って、ハンガーと船員は笑い始めた。だが、目の前に現れた人物を見て笑い声は止まった。
「海の藻屑になりなさい!」
目の前に現れたのは、シアンだった。シアンは剣を手にしていて、潜水艦を斬ろうとしていた。
「ギャァァァァァァァァァァ! 船長、勇者シアンです! どんな理由か分かりませんが、ここにいますゥゥゥゥゥ!」
「このままの勢いで突っ込め! 潜水艦で体当たりを仕掛ける!」
「えええええ! 無茶なァァァァァ!」
シアンへの攻撃を反対する船員たちだったが、ハンガーは船員の意見を聞かず、そのままシアンに突っ込んだ。
「え! 止まるどころか、スピードが上がった!」
ハンガーの予想外の行動を見て、シアンは動きを止めてしまった。その結果、シアンは潜水艦に激突した。吹き飛ぶシアンを見て、船員たちは歓喜の声を上げていた。
「うおっしゃー! まさかのまさか! 勇者シアンに一発攻撃を決めたぞ!」
「船長、このまま進みましょう! 今の俺たちなら、無敵です!」
船員の言葉を聞き、ハンガーは高笑いをした。
「そうだな! それじゃあ行くぞ! ワガハイたちの邪魔をする奴は、ぶっ飛ばしてやる!」
そう言って、ハンガーは潜水艦の速度を速めた。
シアンの後を追っていたベーキウたちは、城に迫る潜水艦を見つけた。
「あれがあいつらの潜水艦か!」
「気を付けろ、あいつらこのまま突っ込んでくるつもりだぞ!」
ベーキウとヤイバの会話の後、魔力を開放したクーアが地面を叩いた。
「ここは海じゃから、水以外の魔力じゃ戦えない。じゃから、ここはわらわに任せろ!」
クーアは潜水艦の下から氷の柱を出し、動きを止めた。
「なァァァァァ!」
「船長! いきなり下から衝撃が!」
「まずいです、さっきの衝撃で警報音が鳴り出しました! どこか、ダメージを受けたみたいです!」
クーアの攻撃により、船員たちはパニックになった。ハンガーは前にいるクーアを睨み、ボタンを押した。
「おのれ、勇者パーティーめ! これでも喰らえ!」
潜水艦から放たれたのはバルカン砲だった。飛んでくるバルカン砲に対し、キトリは闇の魔力を使ってバリアを張った。
「そんなの、私の闇の前では無力よ」
バリアに命中し、塵になって消えていくバルカン砲を見て、キトリはこう言った。それを見ていたハンガーたちは、口を開けて驚いていた。
「クソッ! あいつらの相手をしていたら、ワガハイたちが海の藻屑になってしまう! その前に、誰でもいいから連れて行くぞ!」
「え? 海のサファイアは?」
「取りに行きたいが、この状況だとワガハイたちが不利だ! 人質を取って上に戻り、それからじっくりと話を聞く作戦に変更だ!」
ハンガーの言葉を聞き、船員たちはハンドの操作を始めた。変に動く潜水艦のハンドを見て、人魚たちは悲鳴を上げながら逃げた。
「逃がすな! 絶対に捕まえろ!」
ハンガーは大声でこう言ったが、船員の一人が上を見てこう言った。
「何かが近付いています!」
「はぁ?」
ハンガーは上を見ると、そこにはぶっ飛ばしたはずのシアンがおり、魔力を開放して猛スピードで迫っていた。
「よくもやってくれたわね! たっぷりとお返ししてやるわ!」
シアンはそう言って、その勢いのまま潜水艦に体当たりを仕掛けた。シアンの体当たりを受け、潜水艦は回りながらベーキウとヤイバの元に迫った。
「ナイスだセアン」
「このまま斬ってやるぜ」
ベーキウとヤイバは武器を構え、迫る潜水艦に向かって武器を振り下ろした。
「手ごたえはあったが」
「かなり固いな。ポンコツな見た目の割に、なかなかの防御力だ」
ベーキウとヤイバは武器をしまってこう言った。
潜水艦内。ベーキウとヤイバの攻撃を受けた潜水艦の中では、やかましいくらいにアラーム音が鳴り響き、一部個所では火花が散っていた。
「船長! このままだと危険です!」
「早く浮上しないと、俺たちは本当に海の藻屑です!」
「嫌だァァァァァ! 海の底で死にたくねーよォォォォォ!」
船員たちは恐怖に脅え、狂ったかのように泣き始めた。そんな中でも、ハンガーは周囲を見回し、打開策を考えていた。
「何かあるはずだ。この絶対的な状況を覆す、いい選択が!」
そう呟いていると、ハンガーは柱の裏に隠れていたアユを見つけた。いい人質を見つけたと思いながら、ハンガーはハンドを動かしてアユを捕まえた。
「ゲェッ! 油断した!」
ハンドに捕まったアユは、急いで逃げようとしたのだが、ハンドから電流が流れ、アユの体を感電させた。
「フハハハハハ! 人質はゲットしたぞ! さて、引き上げるぞ!」
「はい! 今すぐ素早く浮上しますゥゥゥゥゥ!」
「無事に帰れますように神様仏様、俺たちが無事に帰れることを祈ってください!」
アユを捕まえたハンガーたちは、急いで逃げて行った。そのことを知ったベーキウたちは、急いでハンガーの後を追いかけた。
「待て! アユを返せ!」
「私たちの言うことを聞かないと、魔力でぶっ飛ばすわよ!」
ベーキウとシアンはそう言ったが、ハンガーたちにこの言葉は聞こえなかった。ベーキウたちが追ってくるのを察したハンガーは、船員にこう指示をした。
「潜水艦の装備を外して、あいつらの邪魔をしろ。ただ、人魚を捕らえたハンドだけは絶対に外すな!」
「はい!」
指示を受けた船員は、急いで装備を解除するためのボタンを押した。潜水艦に付けられているバルカン砲が外れ、ゆっくりと動きながらベーキウたちに迫った。
「邪魔ね!」
「海の底にゴミを落とすんじゃねーよ!」
シアンとヤイバはバルカン砲をかわしながらこう言った。そんな中、キトリが前を見てこう叫んだ。
「まだ何か落としてくるわ!」
「もう! 私たちの邪魔をするつもりね! ゴミを捨てるなんて、最低な奴!」
シアンはそう言いながら、迫ってくるハンドやランプを避けた。落下する潜水艦の装備が邪魔をしたせいで、ベーキウたちとハンガーたちの距離がかなり開いた。
「かなり距離が開いたわね」
「だけど、あいつらが行く場所は決まっている。海賊船に行けば、奴らと戦えるはずだ!」
ベーキウの言葉を聞き、ヤイバは気合が入った声を発した。
「うおっしゃァァァァァ! だったら、さっさとあいつらの船に乗り込もうぜ! 待っててくれよアユ! 未来の旦那が助けに行くからなァァァァァ!」
と言って、ヤイバは猛スピードで浮上した。その様子を見ていたベーキウたちは呆れていたが、すぐに我に戻ってヤイバの後を追いかけた。
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