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■第0話 その『本』の名は「ラスト・バード」

『神の鳥は、最後にその力を人間に託し、託された人間はその力を後世に書き残した』

"The divine bird finally entrusted its power to humans, and the humans who were entrusted with it left that power behind for posterity."

『本』にだって歴史がある。


昔から残っている本にはそれなりの価値があるし、作者によっても様々だ。


『本』は作者から読者へと渡り、読まれ、そのあとは本棚に仕舞まわれるか、

失くされるか、売られるかするものだ。


…飽きられた本は古本屋で10円などで売られている。

『本』というものは、その程度にしか思っていなかった。

情報を記録するもの。後世へ伝えるもの。


だが、あの日出会った『本』は……特別だった。


ここに記そう。私、鳥海航大(とりうみ こうだい)は誓って、

この本は、この世のものではなく、

どこか別の世界から流れ着いたものであることを。


この本は、「異世界」からもたらされたものだ。


それに何人が気づいて、この続きを解読してくれるのか。


いままでの、どの歴史とも結び付かない材質、文字、内容。

もしかして、未だかつてない文明が見つかったのか? …その可能性もある。

しかし、それだけでは説明が付かない神秘性が、この本からは発せられているのだ。


 私の研究は「考古学SF」などと揶揄(やゆ)されるが、だからこそ見つけることが出来た。

この本の持つ能力に。


解読にはまだまだ時間が掛かる。

現時点で分かったことはいくつかあるが、まずは、私の雇い主へ報告しなくては。


この本の呼び名だが、『ラスト・バード』という名称で発表しようと思う。

解読中に何度も出て来た名称だ。

何やら『救世主が世界を救う聖書』の様な書かれぶりだが…。


装丁に描かれた6羽の鳥と地図…。これが異世界に渡るカギになるであろう。


2023年9月吉日 鳥海 航大

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 鳥海博士は、考古学の権威である。


 奇抜なアイディアで、世界中のトレジャーハンターを相手に

 先手を打って、発見を出し抜いてきた。


「ラスト・バード」(以後は「LB」と略記)と命名された一冊の本。


 発見はおよそ10年前で、文字の成り立ちを分解して解読するまでに

 相当時間が掛かっている。いまだ、解読は途中だ。


 鳥海博士の発表によると、6羽の鳥になぞらえて、本は6冊あるはずだという。


 博士のスポンサーである「竜条(りゅうじょう)コンツェルン」の代表

竜条 耕蔵(りゅうじょうこうぞう)」は、残りの本の発掘に1冊1000万ドルの懸賞金をかけた。

およそ10億円。その考古学的な価値を保持するためだ。

世界中のニュースに取り上げられることとなり、トレジャーハンターが急増した。


 …しかしこれにはウラがあった。

 鳥海博士からの報告には、本の研究中に遭遇した超常現象が記述されていた。


 ・電気の様な発電エネルギーを帯びる

 (雷雲無く、落雷を引き寄せたことが数回あった)

 ・おかしな動物が見える

 (少なくとも地球上の生物ではない)

 ・一時的に、急に文献が読めるようになる

 (例の動物が見えているときに限る)

 ・自分にも超常めいた力が使えだした

 (発電能力、もしくはそれに準じたエネルギーを発した)


にわかには信じがたい話だが、竜条会長は多額の資金をつぎ込み、

『ラスト・バード』解明に心血を注いだ。その力を手中に収めるために。


 ------異世界からもたらされた本「ラスト・バード(LB)」------


 その真の記述は、異世界とこの星の命運を左右するものであることを、まだ誰も知らなかった…。


 <本編 第1話へ続く>

<次回予告>

その『本』は静かに各地に眠り、

自分を手に取る運命を持つ「資格ある」人間をひたすら待ち続けていた…。


一人の若者が運命の書を手にするとき、

この世のことわりは終わりをつげ、辿るべき「道」がしるされる。


新たな世界への扉は既に開かれていたのだ。

次回、『考古学者の息子』へ続く。

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