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第37話 魔王軍の侵攻

訂正:ガーベラ→アギト

 何者かの掌の上で踊らされている。

 そう言われた方が納得できる展開だった。


 なぜ、この最悪のタイミングで魔王軍が攻め入ってくるのか。

 もしかしたら、自分の思考は漏れているのではないか。


 心の中の浮かぶのは、焦りと恐怖。

 自分の首を虎視眈々と狙い、精密な計画を立てている何者かへの。


───とにかく、手を打たないと……


「数はどれくらいなのですか?」


 努めて冷静に、ベールはメイに問いかける。

 あくまで計画は順調だと、自分に言い聞かせるように。


「数にしておよそ3万。ほとんどがDランク冒険者相当の魔獣ですが、中にはBランクに及ぶものもいるようです。現在、魔族の目撃情報はありません」


 悪魔や龍の軍勢が押し寄せてないだけマシだと考えよう。

 まだ、対処のしようはある。


 だが、逆に言えば、魔王からしてみればこれは偵察の一環に過ぎないのではないか、とも考えられた。


 なんにせよ、不幸中の幸いだ。


 Dランク相当の魔獣の群れ3万であれば、戦士長率いる騎士団、アギト、そして夢咲叶多(ユメサキカナタ)に依頼すれば問題なく殲滅可能。

 3人とも、ベールが願えば動いてくれる駒でもあった。


 戦士長とアギトには<伝言(メッセージ)>で良いとして、先ずやるべきことは夢咲叶多(ユメサキカナタ)への依頼か。


 更に幸運なことに、彼は今、この屋敷に滞在している。

 少し魔法の研究をしたいとのことだったが──それは彼の固有スキルが絡んでいると見て良さそうだ。


 固有スキル<魔術大典>。


 名前から想像できる効果こそあるが…今はその話をしている場合では無い。


「メイ。戦士長とアギトに依頼をしてください。私は夢咲叶多(ユメサキカナタ)様にお願いしてきます。そうですね。騎士団には南壁を、アギトには北壁を。お願いできますか?」

「はい、かしこまりました」


 メイに指示を出し、ベールは行動を開始した。

 行動と言っても、すぐそこにある夢咲叶多(ユメサキカナタ)の部屋へと行くだけだ。

 メイが魔法を発動したのを確認し、ベールもまた部屋から出る。そして、目的の場所へと足を向けた。





・     ・     ・





夢咲叶多(ユメサキカナタ)様、失礼します」

「はい、どうぞ」


 部屋へと入る。


 魔法の研究と言っていた割に部屋はキレイだ。

 何やらメモ帳のようなものに色々と書き込んでいるが、そんな事はどうでも良いだろう。


「どうされましたか、女神様?かなり焦っているご様子。何かありましたか?」

「察しが良くて助かります。現在、王都が魔獣の群れに包囲されています」

「ふむ、ふむ」


 食い入るように聞く夢咲叶多(ユメサキカナタ)

 ベールはそれを確認し、話を続けた。


「どれもDランク相当の魔獣です。一部に強い魔獣もいる可能性があるとのことですが、魔族の目撃情報はありません」

「……殲滅すれば良いのですね?数はどれほどで?」

「話が早くてありがたいです。夢咲叶多(ユメサキカナタ)様に対応していただきたいのは、約1万ほどになります」

「なるほどなるほど。お任せください。ちょうど、魔法を試したかったところだったのです」


 そんな都合などどうでも良いのだ。

 女神にとっては、一刻も早く魔獣を処理して欲しい。


───あれ…?というか何故そんな近くまで魔獣が来ていて気づかなかった…?連絡が遅れている……?連絡手段を断たれているの?もしかして内部に敵がいる?いや、転移という可能性も捨てきれないか…。


 王都内にこそ女神の守りがあるものの、外であれば魔獣を転移させることは可能だろう。

 数の規模はともかく、理論上不可能ではない。


───メイ自身が見たもののようだったし……これは転移の説で良さそう…ね。


 ベールとしては、目の前の勇者の実力も見ておきたいところだった。

 ある意味弱い魔獣の襲撃は都合が良いとも言える。


 だが、まさかこれだけで終わるとは思っていない。


───他に目的がある?


 考え得る可能性を探るも、やはり分からない。


「女神様?」


 少し考えすぎてしまったか、夢咲叶多(ユメサキカナタ)から声をかけられてしまった。


 わざとらしい咳払いをして、無理に話を戻す。


「いえいえ、お気になさらず。では早速お願いしても良いですか?適当な場所まではお送りしましょう」

「いや、それは不要です。自分で転移しましょう」

「ですが…王都内には結界の類があります。転移を阻害するのです」

「知っています。ですが、問題はないです」


───まさか…結界を無視して転移可能?


 彼の固有スキルはどれほど強力なものなのか。

 その位が革命(エクストラ)級であることも把握済みだ。


 そう考えればありえない話ではないが、想像以上の化け物である。

 王都に貼られている結界はかなり強力なもの。

 それを無視できるなど……。


「それでは行きますね。<長距離転移(ヴェルテレポート)>」


 ベールが色々考えているうちに、彼はどこかへと去ってしまった。





◆     ◆     ◆





 魔獣の侵攻が確認されてから、およそ30分。

 ゆっくりとこちらへ進軍する魔獣たちだが、その動きに早くも気付いた戦士長は、既に騎士団を率いて行動を開始していた。

 拠点の位置関係もあり、守る場所は南壁。


 後ろには約1000名の騎士たちが付いていた。


 ぶっちゃけた話をすれば、魔獣1万の掃討など容易だ。

 もしかしたら1人でもいけるかもしれない、そういうレベルである。


 これは相手がDランク相当の魔獣だから言えることであるのだが、騎士たちはそれ故に多少油断を見せている。


「お前ら!あまり油断はするんじゃないぞ!!」

「分かってますよ、戦士長。一応報告させてもらいますが、相手の軍勢はほとんどがD、Eランク。主な構成は怨死霊(レイス)とリッチ、スケルトン・アーチャーにオーク・ゾンビを中心としていますね。その他、確認できたBランクの魔獣が1体。バジリスクです」


 バジリスクは巨大な緑色のトカゲだ。

 強さはBランクと、まぁまぁな強さ。

 この評価も戦士長基準であり、騎士たちでは倒すのが難しいだろう。


 厄介な点は、その4メートル超えの巨体から繰り出される引っ掻きや突進ではない。

 血に毒性があることであり、しかもそれが劇毒であるということだ。


 普通の者であれば、触れるだけで数分で死に至るほど。

 剣で討伐しようものならば、その返り血で共死にの未来を歩むこと間違いなしだ。


 それにも関わらず、何故Bランク指定なのか。

 理由は単純なもので、このランクというのは冒険者基準──つまりパーティーであることが前提だからだ。

 魔法使いが1人でも居るのであれば炎の魔法で倒せば問題ないし、毒を貰ったところですぐに解毒すれば問題ない。


 魔法使いや神官という、Bランクの冒険者ならばパーティーに居て当たり前の存在が居れば倒せるからこそ、このランク指定を受けているのだ。


 戦士長にとっては驚異ではない。


 戦士長の固有スキルは防御特化のものであり、その1つに状態異常に対する完全耐性を与えるものがある。

 そのおかげで毒や呪い、麻痺などと言った常套手段は戦士長には意味を為さないのだ。



 前を見る。


 魔獣の群れはおよそ100メートル先まで迫っている。

 ここまでくれば、騎士たちにも多少の緊張感は生まれていた。


 先陣を切っているのはバジリスクだ。

 全力でこちらへと駆けてくるバジリスクの後ろを、必死になって他の魔獣も追従している。


 作戦はこうだ。

 先頭のバジリスクを戦士長が倒し、それを合図に乱戦を始める。

 数が1万ということもあり、多少は手持ち無沙汰の騎士も出るかもしれないが。

 それならそれで悪いことでは無い。


 全速力のバジリスクは、そこそこ早い。

 50メートルくらいであれば、ほんの5秒ほどで移動してしまう。

 そんなバジリスクは既に──10メートルの距離まで迫っていた。


 戦士長は剣を構え、


「──<亜空斬>ッ」


 バジリスクの血液が飛散しても問題ないよう、後ろの騎士たちとは距離をとってスキルを使う。


 戦士長の持つ剣が緩やかな弧を描き、バジリスクの巨体を2つに切り裂いた。

 断末魔が聞こえることもなく、バジリスクは地に伏した。


 何の躊躇もなく、ただ作業のように。

 バジリスクを殺害した戦士長は、ついた血を落とすように剣を振るい、鞘へと仕舞う。


 バジリスクを失っても、続く魔獣たちが混乱していることはない。

 何も考えずにただ、目の前に進み続けているようだった。


 一方、騎士たちはいつ見ても美しい戦士長の剣筋に、惚れ惚れとしてしまうが──


「続けッ!!」


 そんな、戦士長の怒号と共に、乱戦は開始される。





 騎士たちによって、魔獣の群れ1万が処理されるまで、20分とかかることはなかった。


 死者数、39人。

 負傷者数、120人。

 内、重症者、17人。





◆     ◆     ◆





 黒魔。


 それは彼に与えられた二つ名のようなものであり、冒険者でその名を知らぬものは居ない。


 冒険者ギルドにはランクという制度があり、SからEまでが存在する。

 彼は数少ないSランクの冒険者であり、国家からも信頼を得るほどの実力者であった。


 二つ名の由来はそのまま。

 彼が纏う魔力は黒く、見たものの印象に残り続けるほどに──カッコいいものだからだ。


 黒い魔力で黒魔。単純だが、だからこそ彼を表すには最適なものだった。


 名は、アギト。黒髪赤目、中背の好青年。

 生まれも育ちもプラヴィーチリの大陸だ。


 女神との交流は少ないが、こういう事態では女神から直接依頼を受けることもある。

 基本は女神の要望であろうと、タラス国王を仲介して渡されることが多いのだ。



 ”こういう事態”。


 アギトとしても想定外であったが、魔王軍が歩を揃えて攻めて来たのである。

 今までも魔獣の侵攻はあったものの、規模は小さなことが多かった。


 それは主催が魔王ではなく、そこらへんの魔族がちょっと力を付けて纏め上げた魔獣集団だったから、である。


 それと比べ、今回の侵攻は魔王によるものだと、女神から聞いていた。

 この数の魔獣を統括して攻めてこれるのは魔王くらいだから、それには納得である。


 アギトは魔獣討伐のプロフェッショナルであるが、そんな彼から見た魔王統括の魔獣の厄介な点は、その能力にある。

 通常の魔獣と比べ、魔王の()()()にある魔獣は、何故かステータスが高くなる。

 とはいえ、今回攻めてきているDランク相当の魔獣であれば大した違いは感じられない。


 討伐を依頼されたアギトだが、その役目は比較的簡単なものだ。

 今回、Bランクの魔獣が2体ほど混ざっていたそうだが、そのうちの1体は騎士団が、もう1体は勇者が処理することになっている。


 アギトとしても戦士長に獲物を譲るのは悪い気はしないし、勇者であれば花を持たせるべきだろう。

 いつか魔王と対峙する際にお世話になるだろうから、共闘くらいしておきたいというのが本音だ。


 彼のこの願いは直ぐに叶うこととなるのだが、それはまた別の話として。



 とりあえず、担当するDランク1万体は余裕で討伐可能だ。

 アギトは魔法剣士のような役割である為、対集団戦はさほど得意ではないのだが、Dランクならば問題はない。


 天職は剣聖。


 これは父親譲りで、母は剣士だったのだとか。

 出会いや結婚の話などはどうでも良いからしないとして、父と母には感謝している。


 天職というのは、遺伝情報の影響を受ける。

 決して遺伝するのではなく、遺伝情報に基づいて天職が決定されるのだ。


 母親のお腹の中にいる時、人は皆天職を持っていない。

 生まれた時初めてその人の天職は決まることとなる。

 外界に初めて接した時、神からの祝福としてこれを受け取る、ということだ。


 アギトの遺伝情報は父親に似ていたのだろう。それに最適な天職である、剣聖を与えられたのだ。



 アギトには関係ないが、固有スキルも遺伝情報の影響を受ける。

 ただしこれは固有スキルの系統であって、固有スキルの発現は影響を受けることがない。


 どういうことか。


 父親と母親が固有スキルを持っているから、子供も固有スキルを持って生まれやすい、というのは間違いだ。

 父親と母親が固有スキルを持っていようがいまいが、子供が固有スキルを発現する可能性は変わらない。


 ただし、発現した場合に限り、父や母、親族の固有スキル系統と似たものが出やすいのだ。

 父親が攻撃系統、母親が固有スキルなし、子供に固有スキルが発現した場合、その子の固有スキルは攻撃系統の可能性が最も高いだろう。


 稀に、父親と母親のどちらもが固有スキルを持っていて、どちらからも系統を継ぐ子もいるのだが、それはレアケースである。


 アギトの父は固有スキルを持たなかったが、母は固有スキルを持っていた。

 強力なものではないにしろ、剣士である母が剣聖である父と渡り合える程度には役立つものだったらしい。


 が、残念ながら。

 子であるアギトに固有スキルはない。

 受け継いだものは剣聖という才能だけだが、それだけでも十分に恵まれているだろう。


 そんな恵まれた生まれでコツコツと努力をし、現在に至る。

 魔法剣士を選んだ理由は、彼が半ば厨二病を患っているからであった。

 それを名乗るだけの努力を本人はしているのだから、そこは目を瞑ってあげよう。


 武器は一般的なショートソード。

 特注品の魔道具で、中には合計6つの魔法が埋め込まれている。

 アギト自身も魔法は使えるが、剣に仕込んでこそ魔法剣士。ロマンの追求には抜かりがない。



 ゆっくりと腰から剣を抜く。

 白銀の刀身がその身を顕にし、太陽の光を綺羅綺羅と反射する。

 刀身には6つの文字が掘られている。

 それはここらの文字ではなく、かつて使われたルーンと呼ばれる文字だ。

 今でこそその使い手は少ないものの、それによって宿された魔法は高い魔術効率を誇る。


 アギト自身の使う魔法は強化魔法が主なものであり、攻撃魔法は習得していない。

 そのため、剣に宿されている魔法は攻撃魔法がほとんどだ。

 作成には魔術師ギルドマスターと付与師(エンチャンター)ギルドマスターの2人が携わっている。


「しかし……圧巻だな」


 アギトは眼前に広がる光景──魔獣の群れに息を呑む。

 1万の魔獣というのは中々見れるものではない。

 300年前ならともかく、19歳のアギトにとっては初めて見る光景だった。


 だが、緊張はない。

 剣を軽く握りしめ、自然体で構えている。


「じゃあ、行くか」


 それが合図となった。


 スタッ


 と、軽快な音を立て、アギトの姿が消える。


───怨死霊(レイス)とオーク・ゾンビか。リッチとスケルトン・アーチャーは厄介だが……。


 音より速く移動したアギトの前に迫る、魔獣の軍勢。

 目の前に居るのは、怨死霊(レイス)とオーク・ゾンビが合計13体。


「はっ!」


 それらが反応するよりも早く、アギトは剣を横薙ぎした。

 怨死霊(レイス)とオーク・ゾンビが切り裂かれ、地面に伏していく。


 すかさず、その後ろからリッチの<火球(ファイアボール)>が放たれる。

 それを地面を蹴るように上へと回避すれば、そこにはスケルトン・アーチャーの矢が放たれた。


「チッ!」


 だが、さすがは剣聖。


 空中で姿勢を変えて剣を振るい、その矢を撃ち落としていく。


 地面に着地するも、数が多いだけあり、次々と追撃の一手がアギトに迫った。


「数を減らさせてもらうぞ────<聖爆(エクソキュート)>ッ!」


 アギトが唱えると、剣に刻まれたルーンの1つが黄色く光りだし、魔獣たちの足元に巨大な魔法陣が描かれる。

 少しの間があり。

 それは(まばゆ)い光を放ち、アンデッドたちに多大なダメージを与えた。


 ウアァ………

 アアアァァァ………

 ウ……アァアアア………


 そんな力ない声を上げ、苦しそうに死んでいくアンデッドたち。

 ボロボロとその外形が崩れ、地面へと還っていく様子をアギトは眺める。


 <聖爆(エクソキュート)>は180分に1度しか使えないが、アンデッドに対して絶大な効果を発揮する。

 広大な範囲に渡り、聖属性の強力なダメージ。

 総ダメージで言えばトップクラスの魔法だろう。

 ちなみに第4階級である。


 魔獣たちがアギトに密集していたこともあり、それだけで数は半分ほどまで減らされる。

 普通の魔獣であればここで一度攻撃の手を緩めるのかもしれないが、アンデッドたちはそれを気にせず再び攻撃を開始せんとアギトへと肉薄した。


「<閻球(ヘルボール)>」


 アギトに迫っていた魔獣の数を減らせたこともあり、残りの魔獣とはかなりの距離を取れている。

 落ち着いてアンデッドの弱点である炎属性の魔法を放ち、少しずつ数を減らそうということだ。


 刀身に宿った文字の1つが、今度は赤く輝く。

 魔法陣はアギトの伸ばした左手の前に現れる。

 そこから黒い炎の球が現れ、アンデッドたちに着弾した。

 そして、爆発する。

 黒いドームのようなものが更に周りの魔獣たちを巻き込み、焼き尽くした。


 強力な魔法なだけあり、1度で殺せるのは200体前後。

 アギトの魔力の関係からして、魔力切れまで魔法を使っても、3000体程度しか殺せない。

 全滅は不可能だ。


 それを5度ほど放ち、1000体程度の処理をした。


「<剣魔付与(ソード・エンチャント)>」


 だが、他にも切り札はある。

 その1つが<剣魔付与(ソード・エンチャント)>だ。


 剣に属性を纏わせるというもの。

 今回はアンデッドが相手ということもあり、刀身には炎を宿す。

 勢いよく燃える炎の剣が出来上がるのだが、それはアギトには影響を及ぼさない。


「……やるか」


 身体能力の強化のために、身体に魔力を纏う。

 魔法を使わない剣士の魔力に使う方としては一般的で、身体能力の超強化を図ることが可能だ。


 アギトが纏うのは黒き魔力。


 そして、魔獣の軍勢へと突っ込んだ。


「はぁッ!」


 剣を振るいながら魔獣の軍勢に突撃すれば、それだけで数体の魔獣が死んでいく。


「<四連一閃(しれんいっせん)>」


 目にも止まらぬ速さで4度、剣を横薙した。

 その間、およそ1秒。


 左から右、そしてそれを返し。そんな動作を繰り返すこと2度。


 それに<剣魔付与(ソード・エンチャント)>の効果も乗り、目の前に居る魔獣は処理されていく。

 攻撃の隙さえ与えない。

 相手が攻撃するよりも早く倒してしまえば良いのだ。


 黒き魔力によって強化されたアギトの身体能力に対抗できるものは魔獣の軍勢には居なかった。



 それから10分後。

 魔獣の軍勢は壊滅した。

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