安心できない場所
私はギャクタイされていたが、大人達に保護されてとある施設へつれてこられた。
そこでは殴られたり、食事をぬかれたり、悪口を言われたりすることはない。
けれど。
そこにいても、安心する事はできない。
私だけは知っているのだ。
ここは身よりのない子供が過ごす施設で、孤児院という場所だけど。
それは表向きの話。
裏では、子供をばらして闇組織へ売りさばいているらしい
割のいいお小遣い稼ぎだと、大人達が笑っているのを聞いた。
だから私は安心したりしない。
ここも、あの家と同じだ。
私をなぐってきた大人達の家と。
都合のいい時だけ私に優しい言葉をかけてきて、利用してきた大人達の家と。
だから、いつかこんな場所からは逃げ出さなければ。
色々と準備を進めているけれど、油断しないようにしよう。
敵に気取られたらその時点で計画が終わってしまう。
私は無力な子供なのだから。
この孤児院を出て、一人で生きていけるようになるまでは、安心しないようにしよう。
「ねぇ、あの子。ちっとも懐かないわねぇ。一体どうしてかしら」
「まさか私達の目的に気が付いたんじゃ」
「そんなわけないでしょ。子供は皆、ちょっと優しくしただけで大人達の言葉をうのみにする馬鹿ばっかりなんだから」