文学部設立!
どこまで書けばいいのか分からなかったので、キリが悪いかも知れません。ですが楽しんでいただけると嬉しいです。
爽やかな風が吹き桜の花が舞い散りる中、この私立 瑞明学園に足を踏み入れた。陽光が校舎に反射し輝いて見え、同じ制服を着て、ぞろぞろと同じ校舎へ向かっていく。そして教室に入り、決められた席に着き高校生活一日目が始まる。
俺の名前は久遠春希。なんてことない新高校1年生で、多少の友人と共に退屈な日々を過ごすはずだった。そう、そのはずだったのだ。だが、運命とは非常に残酷で、知り合いは1人もいない、おまけにたった今自己紹介で噛むという、失敗に失敗が重なってしまった。
「こんなはずじゃなかったんだがなぁ」
もとより俺は人前で話すようなことは得意ではない。だが、人並みにはできる方だった。そしてミスを引きずるような人間でもない。しかしスタートを上手く切れなかったショックは大きく人の自己紹介には耳を傾けられなかった。
「じゃあ次、橘さんお願いします。」
その時、クラスの雰囲気がガラッと変わった。もちろん、俺も例外ではなく。
「名前は橘 深月です。趣味は昼寝、あ!あと本を読むのも書くのも好きです!1年間よろしくお願いします!」
雰囲気が変わったのは他でもない。とにかく顔が可愛いのだ。誰が見てもそう思う程に。そして俺が驚いたのは他でもない。その女子が俺の隣にいるという事実だ。
「(何故もっと早く気づかなかった俺!!)」
気づいてしまえば意識する他なく、あれこれと深く考えてしまう。
「(こんな展開現実にあるのか!?そしてこのポジションは俺でいいのか?)」
などと意味も無く、くだらないことを考えている間に1限目が終わり、休憩時間に入った。どうやら2限目は少し遅く始めるらしい。先生なりの配慮だろう。
そしてすぐに隣が騒がしくなる。
「深月ちゃん、どこ中出身?」「モデルとかやってるの?」「ねぇねぇ、連絡先交換しよーよ」
突然の猛攻撃に橘さんは少し困りつつも、適切に対応していった。こういうのに慣れているのだろうか。俺はというと標的になる訳も無く、気配を消しつつ小説片手に時間を潰していた。しばらく時間が経ったあと、一段落ついたのか声をかけられた。
「なんの本読んでるの?」
「え?あぁ、推理小説だよ」
そう言いながら本を手渡す。
「推理小説かぁ。私あんまり読まないんだよね。難しくて。」
「まぁ俺もしっかり理解してる訳じゃないけど結構面白いよ。」
「推理小説好きなの?」
「いや、好きっていう程でもないんだよね。なんか本屋さんとかで、これ売れてます!、みたいなのあるじゃん」
「あぁ〜あれね、人気の本を売り出してるやつだ」
「そうそう、あれで見つけただけなんだ。俺自身いろんな種類なの読むタイプだから、この種類が好きとかってあんまりないんだよね」
語ってしまったと思いつつ、彼女の顔を覗いてみると何か企んでいるような笑みを見せていた。
「ということは、、本自体は好きってことだよね?」
「まぁ」
「じゃあさ!私と一緒に文学部作ろうよ!」
「はい?」
全くと言っていいほど理解が追いつかなかった。まぁ部活を作ることはこの学校では特別なことではない。確か校長が自主性を大事にしたいとかで、部活などの生徒の活動を奨励しているらしい。だか理解できないのはそこでは無い。
「どうして俺を?」
「どうして?って、君が良い小説を書けそうだから」
彼女は超能力者か何かなのだろうか。確かに、昔少しだけ小説を書いていたし、賞も貰ったことはあった。自分でも満足できるほどの出来栄えだったにしろ、今となっては人に見せられる代物ではない。
「で、お返事は?」
「(入りたい部活もある訳では無いし、ここは)」
「分かった。いいよ」
「ほんと!?」
こうして僅か一日足らずで文学部(仮)が誕生した。まぁまだ部員集めやらなんやらあるのだが、今日はここまで。
『文学少女と活動報告』その1を読んで下さりありがとうございます。作者の柊 紫雨と申します。初投稿なのでよく分からないことが多々ありましたが、何とか投稿出来ました。作者自身高校生なのでこんなことあったらなぁと思いながら書きました。本文の内容に触れると今回は文学部設立までを書きました。初期のアイデアとして文芸に関することを書きたいなと考えていたんですが、それだけだと弱いなぁと思い、恋愛という要素を盛り込みました。小説を書くに当たって名前を決めるのが本当に難しくて、名前だけで1時間ぐらいかかりました。読み方が難しいと思うので補足すると、主人公は久遠春希、ヒロインは橘深月、学校名は瑞明学園です。名前に作家さんたちの名前を入れたくて、主人公は村上春樹さんの春樹を、ヒロインは辻村深月さんの深月を。辻村深月さんに関してはそのまま漢字ごと取ってしまいました…。『かがみの孤城』大好きです。最近、燦々SUN先生の『時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん』通称ロシデレを読んで影響された気がしますね。あれは本当にいい作品ですよ。話がブレてしまいましたが、拙い文章ですがこれからも読んでいただけると嬉しいです。