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第五章 大空艇プルトン

第五章です。

是非、一度読んでみて下さい。


第五章 大空艇プルトン


「何だ!?」

 突然の衝撃が、ゴリアテを襲った。

 エミリもその衝撃によろけてしまった。

「また攻撃か!?」

「畜生が!」

 艦長は、そう叫んだと同時に走り出した。

 皆がつられた様にそれに付いて行く。

 辿り着いた先は司令塔であった。

 広さと、見たこともない技術の結晶に驚いた。

 しかし、真にエミリの心を捉えた光景はそれではなかった。それはそこにいた全員に言える。

「空が……見えてる」

 司令塔の正面には青い空と海とが広がっていた。

「馬鹿な? 霧海の上なんだぞ? こんな……」

「畜生めっ!」

 艦長の悪態が司令塔に響き渡った。

 艦長は落ち着かない様子で、額からは冷や汗を流している。

「見て、影が……」

 ルーズがそう呟く。

 巨大な影が、司令塔から甲板へとを包み込もうとしていた。

 艦長がまた走り出した。エミリも後を追った。他の乗客も同様である。

 甲板に出たエミリは信じられない物を見た。

 自身の上空に、巨大な飛行艇が浮かんでいたのだ。金色の機体が日に照らされ、ギラギラと輝いている。

 長い胴体に、横に伸びた二枚の羽。中央と両翼に二対、合計五枚のプロペラ。

 その大きさは、断言は出来ないが、この巨大なゴリアテよりも更に上かもしれない。

「何てことだ? 何だあれは?」

 皆が呆気に取られていた。

 しかし、エミリには心当たりがあった。

「大空艇プルトン……」

「貴様ら! 動くな!」

 当然、後方からそう叫び声が聞こえ、エミリ達は振り返った。

 既に、エミリ達は大勢のダーケン兵士に包囲されていた。

 飛行艇に気を取られていたことが仇となったのだ。

「しまった! 姫は私の後ろに!」

 ロイがエミリの前に立ち、腰に付けた剣を抜いた。

 しかし、即座にロイの足元に一発の銃弾が撃ち込まれる。

「くっ!」

「無駄な抵抗はよせ。何もここで殺そうという訳ではない」

「じゃあ、どうするというんだ!」

 ロイの言葉にダーケン兵士は空に浮かぶ飛空艇を指差した。

「あれに付いて行くんだ。着いた先で、元帥閣下が貴様らとお話になる。もし抵抗するならば……」

 兵士達が一斉にエミリ達に銃口を向けた。

「ここで全員始末する。いいな?」

「ふざけたことを……」

「待て」

 激高しかけたロイを制し、艦長が前に出た。

「言うことは聞こう。だが、乗客は関係ない筈だ。連れて行くのは俺だけにしろ」

「それは出来んな」

 ダーケン兵士は軽く笑った。

「確かにお前にも用はあるが、元帥閣下はそこのエミリ王女に用があるのだ。王女を逃がす訳にはいかない」

「なら」

 エミリは一歩前に出た。

「私だけを連れて行けば済む話でしょう? そうして下さい。この方達は無関係です」

「姫!」

 エミリは、覚悟は出来ていた。

 しかし、

「それは出来ない」

 ダーケン兵はニヤリと笑った。

「元帥閣下は貴様ら全員を連れて来いと仰っている。一人も逃がす訳にはいかん。貴様らの処分は元帥閣下が決めて下さる。さあ、早く動かせ。付いて行くんだ!」

「しかし……」

 エミリは何とか訴えかけようとした。が、

「まあ、落ち着けよ。王女様」

 それを艦長に制された。

「今は言うことを聞いた方が良い様だ」

 艦長は小声でエミリにそう言った。

「ここで揉める方が、皆を危険に晒す。いいな?」

 確かに、現状を考えれば冗談で済む話ではない。

 いつ、あの銃口から凶弾が放たれても不思議ではないのだ。

「……分かりました」

 エミリは引き下がるしかなかった。

 自らの無力さをこれ程呪った時は無かった。

「銃を下ろせ。お前達の言う様に、飛空艇の後を追ってやる」

 艦長の言葉に、向けられていた銃が下ろされた。

「それでいい。くれぐれも無駄な抵抗はするなよ?」

 ……

 ゴリアテは進んだ。プルトンの後を追って。

 半日程で目的地に到着した。霧の薄い場所にある島だった。

 そこで拘束されたエミリ達乗客乗員は艦を下ろされたのである。


 夕刻。ダーケン帝国軍霧海基地。

「探したぞ。エミリ・ニッケルド。まさか。こんな所でお目に掛ることになるとは、夢にも思っていなかったがね」

 エミリ達は両手を体の後ろに回され、拘束されていた。

 その状態で皆が横に並ばされ、床に跪かされている。

 場所は、元帥謁見室。広々とした室内に、豪華な装飾がなされ、家具が置かれている。床に敷かれた、真っ赤なカーペットの上にエミリ達は跪いていた。

「とにかく見つかって良かったよ。君も、この……」

 男は右手に持った、先程までエミリが守り続けていた巾着袋を掲げる。

「集光石も」

 男はエミリ達正面の檀上。

 元帥の椅子に腰を掛けていた。

 ダーケン帝国第二王子ゲルドルバ・ダーケン。

 三人いる王子の中でも、最も軍才に長け、二十五歳という若さで、帝国軍の元帥。皇帝を大元帥としナンバー2の座に就く男である。

 この男こそが、ニッケルド王国侵略を指導した張本人。

 エミリからすると家族、同胞を殺した仇敵にあたる男だった。

 エミリは胸が張り裂けそうな思いだった。

 皆を巻き込んでしまったこと。集光石を奪われてしまったこと。

「後悔しても遅いさ」

 ゲルドルバがエミリの心を見透かしたかのように、そう言った。

「何故、霧に巻かれて死んでしまわなかった? そうすれば、これは我らの手には渡らなかったのに」

 エミリもそれは考えた。

 今の状況を考えれば、そうする方が適切だったのかもしれない。

 しかし、

「その石はそんな簡単に処理出来るものじゃねえ」

 艦長がゲルドルバの言葉に口を挟んだ。

「ほう? 君はこれに詳しいらしい。聞かせてくれないか?」

 艦長は俯きながら、

「集光石は周りの光子を自身に吸収する。問題はその威力だ。それほどの大きさなら、星の三割近くは影響を受けるだろう。霧の中にあろうと、海の中だろうと関係ない。それだけの範囲が光を失う」

 ゲルドルバはそれを聞き、驚いた様な表情で巾着袋を見つめた。

「ほう。恐ろしい物だな。これは。だが……」

 ゲルドルバは艦長に歩み寄った。

「私が知りたいのはそんな事ではない。これが本当に兵器に流用できるのかだ? それを聞かせて欲しい」

 エミリが集光石を持ち出し逃げた理由。

 ニッケルド王族が命を賭してまで、守ろうとした秘密がそれである。

 艦長はゲルドルバの問い掛けには答えようとしなかった。

「ほう? だんまりかね? じゃあ、こうしよう」

 ゲルドルバの合図で、ロバート・グングラーの娘に銃口が向けられた。

「な、何を?」

「お許し下さい」

 娘は恐怖で声も出せない様子であった。

 ゲルドルバはその様子を見て、笑みを浮かべる。

「答えないのであれば、順番に一人ずつ、この場で処刑していくとしよう。どうかな? 話す気になったかね?」

「待って下さい。それなら私が……」

 犠牲が出ることを恐れたエミリはそう言ったが、

「静かにして頂けますか? エミリ様。私は今、この男と話しているのです。それに……」

 エミリにはもう一つ恐れていることがあった。

「君が知っていることぐらいは、今の私はもう理解しているつもりだ。君のお宅の文献はすっかり読み終えてしまったからね」

 エミリが恐れていること。

 それは、集光石をどのように兵器に用いるのか? 

 それをダーケン帝国が知ってしまうことだ。

 その方法はエミリも知らない。当然、ゲルドルバも知らないであろう。

 しかし、あの艦長ならば……

「……よし。撃て」

「待て!」

 ゲルドルバの言葉に対し、食い気味に艦長が叫んだ。

「話す……乗客には手を出すな」

 ゲルドルバはそれを聞き、兵士に銃を下ろさせた。

 エミリは艦長の決断を責めることは出来なかった。エミリがあの立場なら、自分も同じ様にしたであろうから。

「じゃあ、話してもらおうか?」

 艦長はゆっくりと説明を始めた。

「集光石は光を吸収する。それは言ったが、同時に光を発しているエネルギーも吸収する。小さな物であれば、石の中で分解されるが、そうも出来ない、石自体が壊れてしまう様な大きなエネルギーを吸収した場合、それを外に吐き出す習性がある。分散したエネルギーも一つに凝縮し更に強力なものとしてな」

「成る程」

 ゲルドルバは納得したという風に何度か頷いた。

「それが、ゴリアテやプルトン。その最強たる最大の要因であるバリア。それを打ち破ることが出来る要因か……どうやって一定の方向にエネルギーを吐き出させる?」

「簡単だ。逃げ道を作ってやればいい」

「逃げ道?」

「ああ、簡単に言うと穴を開けるんだ。管を通す様な。それは完璧に加工された集光石だ。触ってみれば分かるだろう」

 そう言われ、ゲルドルバは巾着袋越しに集光石を撫でまわしていた。

 すると、

「ほう。確かに。穴が開いているな」

 艦長が軽く頷く。

「集光石自体は、エネルギーを満遍なく集める為に、綺麗な球体が望まれる。吸収されたエネルギーは内部にて凝縮され、その穴を通って……」

「外に出る訳か。素晴らしい!」

 ゲルドルバは歓喜の声を上げた。

「そういう構造だそうだ。エミリ様。謎が解けて良かったですね」

 エミリは何も言えなかった。

 一つだけ分かることは、世界にとって恐るべき脅威が、ダーケン帝国の手に渡ったということである。

「本当に素晴らしい贈り物だ。ありがとう。無くさずに私まで届けて頂いて、感謝するよ」

 エミリは仇敵を前に、皆をこのような目に遭わせ何も出ない自分に対し、これ以上ない怒りと、恥を感じていた。


 カフェは怯えていた。

 ことある毎に銃口を向けられ。

 頼りの艦長も、自分と一緒に捕まってしまっている現状が、この上なく恐ろしかった。

 この先、どんな目に遭わされてしまうのだろう?

 ただでは済まないことは、先程から前で話しているダーケン帝国の王子とやらを見ていれば分かった。

 王子の目にはカフェの知っている、人間の温かみを感じなかった。

 ただただ冷たく、まるで物を見るような眼で、あの男は他人を見ているのだ。

 カフェにはその目が恐ろしかった。

「父上や兄弟達も喜んでくれる」

 王子はそう笑っていたが、その時もその目だけは笑っていなかった。

「さて……」

 王子がぽんと手を叩いた。

「知りたい情報も手に入った。これ以上、他の者を待たせるのも申し訳ないので、皆の処分を言い渡すとしようか」

 そう言って王子はグングラー一家に目を向けた。

「グングラー君。君はダーケン帝国軍の兵士だったらしいが、残念だ。まさか亡命などを企てるとは」

 ロバートは大きく頭を下げ、

「お許し下さい! ゲルドルバ様! 私はどんな罰でも受けます! ですから妻と娘だけは!」

 王子はロバートの懇願を笑いながら聞いていた。

「分かっている。私もそこまで鬼ではない」

「ゲルドルバ様!」

 王子はロバートの肩に手を当て、

「だが君の罪は重大だ。その罰も重いものとせねば、私も兵士達に顔向け出来ない。分かるね?」

 王子の言葉に、ロバートはただただ頷いていた。

 王子は笑顔を見せると、

「良い覚悟だ。君の罪は君の妻と子の命で清算することとしよう」

 その言葉にロバートの表情が一気に曇った。

 絶望が表情に表れていた。

「そ……そんな」

「反逆者の妻と子など、我が帝国には不要。ロバート・グングラーとその妻エリッサ、その娘ニーナ三人は死刑に処する。執行は明日だ。地下牢に入れておけ」

 王子の合図で、グングラー一家が兵士達に連れていかれる。

「ゲルドルバ様! 妻と子だけは! 妻と子……」

 大声を上げるロバートの口が兵士達に塞がれる。

 エリッサとニーナと呼ばれた二人はただ震え、涙を流していた。

「さて、次だ」

 王子は何事も無かったかの様子でこちらを振り向いた。

「はてさて……あとはまず、どうでもいいのが四人と一羽か」

 どうでもいいという言葉に、数人が反応する。

「まずはジャック・レイス君。ダーケンでもいくつも悪さをしてくれた大泥棒。次がピート・ランド君。メルク王国の汚職政治家。ケリガン・ユーロ君は結婚詐欺師、そのペットのオウム。そしてアンヌ・ルーズ君はニッケルドからの亡命者。うん。成る程」

 王子は軽く微笑んだ。

 憐れみを含んだ表情にカフェには見えた。

「碌な者が乗っていないんだな。この戦艦は。全員死刑だ。執行はグングラー一家と同時に明日」

 四人は動揺が顔に出てはいたが、騒ぐ者はいなかった。

 先程の一家が死刑を言い渡されていた時点で、ある程度覚悟は出来ていたのだろう。

 それは、カフェも同様である

「連れて行け」

 四人も連れて行かれ、謁見室にはエミリにロイ。

 そして、艦長とカフェの四人が残された。

「はてさて、後は重要な四名様だ」

 王子はエミリとロイに近付いて行った。

「うん。素晴らしい」

 王子はエミリを見下ろしながらそう言った。

「何がです?」

 聞き返すエミリに王子は笑みを零す。

「君は本当に美しい。このまま殺してしまうことは惜しいと思ってね。そこでどうだろう?」

 王子はエミリの頭に手をやり、その美しい髪を撫でながら、

「私の妻にならないか? 過去の事は全て許し、最高の暮らしを約束しよう」

「お断りします」

 エミリが食い気味にそう言い放った。

 王子はさも楽しそうに笑った。

「何がおかしいのです?」

「いえ。本当に強情な方だと思いまして」

 エミリは王子を強く睨みつけていた。

「貴方の物になるくらいであれば、私は皆様と運命を共にします」

「君が首を縦に振れば、彼らを傷付けずに開放する。と言っても?」

 その言葉にエミリの表情が変わった。

「姫!」

 王子はロイの方を向き、

「ロイ・ハーベスト。忠実な男だ。彼の身も保証しよう。妻となった君に直属の護衛として付けてやろう。どうだろう? 悪い条件ではないと思いますが?」

「貴様! 姫をたぶらかそうとは!」

「黙らせろ」

 兵士達がロイに銃口を向ける。

 しかし、ロイは黙らなかった。

「死ぬことなど、恐れるものか! 私の命は姫の為にある! 姫! いけません! そんな言葉を信じては!」

「おやおや……」

 王子は首を横に振っていた。

「君は王女に死ねというのかね?」

「違う! そうではない!」

「……分かりました」

 言い争う二人を、そのエミリの言葉が止めた。

「姫……」

「貴方の妻になります。だから皆様を解放して下さい」

「素晴らしい。良い判断です。やはり……」

 王子は再び、エミリの頭に手をやった。

「これ程立派なエミリ様でも、死することは恐ろしいらしい」

「貴様! どこまで姫を愚弄するか!」

「いいのです! ロイ」

 エミリがロイに優しく微笑み掛けた。

「私は大丈夫です。ロイ。これからもよろしくお願いしますよ」

「姫……」

 ロイの叫びはもう声に出ていなかった。

 ロイは下を向いて動かなかった。

「連れて行け。婚姻の儀は明日だ。エミリ様は客間に通せ。剣士は別室に入れておけ」

 エミリとロイも謁見室を去った。

 残るはカフェと艦長のみ。

「やっと邪魔者は全て去った」

 そう言って王子が軽く溜息を吐く。

「一番話がしたかったのは君なんだ。艦長」

「俺は別に話したいことは無いがね」

 艦長の言葉に、王子は笑みを零す。

「本当に乗客達を解放するのか?」

 艦長の問い掛けに、王子は首を横に振る。

「彼らは知り過ぎている。プルトンを見られた時点で、生かして返すつもりは無い。エミリ様には悪いが死刑は執行する」

 それを聞いた艦長が歯軋りを噛んだ。

 カフェの耳にもその音が聞こえた。

「下衆が……だがそれを知れば、王女様は自ら命を絶つぞ」

 王子は首を横に振った。

「心配ご無用だ。エミリ様がそれを知る術はない。彼らは明日、エミリ様の前で船に乗せて開放する。迷うことは無い。プルトンのレーダーが彼らに正確な道を教える。教えるが、逃がすとは言っていない。行った先で魚雷にて沈めるさ。ははは」

 王子は大声で笑った。

 それでも目は笑っていなかった。

「そこで、君とも取引をしよう。艦長。我々に協力しろ」

「何を言っている?」

「ダーケン帝国軍に入り、ゴリアテを持って世界の海を支配しろ」

 艦長は大きく溜息を吐いていた。

「見返りは何をくれるんだ?」

「そこの娘の身を保証しよう」

 カフェは驚いた。

 これは、さっきのエミリとの交渉と同じである。

 しかし、カフェはとうに覚悟は決めていた。

 それに、自分の為に、大好きな戦艦や恩人の艦長が戦争の道具にされるなど、カフェには許せなかったのだ。

「艦長。私……」

「断る」

 カフェの考えは大きな見当違いであったのか?

 艦長はカフェの想いを聞くこともなく、あっさりと王子の提案を断った。

「か、艦長……」

 カフェは少し悲しくなってしまった。

 その心を見透かしてか、王子が、

「娘も動揺しているぞ。大事ではないのか?」

「大事さ」

 この時の艦長の言葉が、カフェにとっては一番嬉しかった言葉かもしれない。

「ほう? なら何故?」

 艦長は王子を強く睨み付けた。

「大事だからこそ、お前の様な下衆には預けられん」

 この言葉に王子は頷いていた。

「まあ、その判断は概ね正しい。その娘には王女の様な価値も無い。ここでのことを忘れる様に薬漬けにし、売春宿にでも落とすのが関の山だ」

 カフェには今一、意味が分からなかったが、ただ碌でもないことを言っているということだけは理解出来た。

「交渉は決裂だ。王子様。俺は戦争に協力するつもりは無い」

「そうか。残念だ」

 王子が兵士達に合図を送る。

「艦長にはまだ聞きたいことが山ほどある。『別室』に連れて行け。娘は他の者と同じ様に地下牢へ」

 謁見室を出たところで、カフェは艦長と離された。

「艦長!」

 カフェは艦長と目が合った。

 しかし、艦長は直ぐに視線を下に落とした。

「すまんな……カフェ」

 ただ力なくそう言った艦長が連れて行かれる様子に、カフェは後生の別れを覚悟した。

 叶うものなら、もう一度だけでもいい。

 艦長と話がしたい。カフェはそう思っていた。


ありがとうございました!

次章も、よろしくお願いします!

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