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決意199日前 同席


 施工管理は、文字通り管理の仕事であり実際の作業はほとんど行わない。日程の調整と工事スケジュール管理、職人の手配、資材の手配、図面の決定、現場の安全設備確認等の事務的な部分を請け負うのが基本である。特に日程の調整と工事スケジュール管理は実践経験が必要であり、この仕事における最も重要な部分で、そして最も難しい部分。これには工事課員の実力が露骨にあらわれるらしい。


 営業課の人達がゼネコンに屋根・外壁の製品を売り込み、ウチで工事をする事が決まれば工事課が施工管理を引き継いで完成、納品まで持っていく。ファミレスで喩えるとオーダーを持ってくるのが営業で料理を作るのが工事課。大体こんなイメージだが、違うのは料理のサーブとお会計も料理人がする、といったところか。


 そして工事を営業から引き継ぐ打ち合わせは、大体の場合営業課と工事課、そして現場監督の三者によって行われる。完成時期はいつなのか、工事開始日はいつなのか、ウチの部門の工事はいつ頃始められそうか、資材の搬入経路は、電源はどれを使えば良いのか、足場はいつ組み上がるのか、他にも現場の喫煙禁煙、駐車場の位置、はたまた現場で出たゴミ処理のお金はどちらが払うのか。とてつもない項目数を確認しなければならない。こうしてお客さんと料理人の打ち合わせが細かく行われる点も、ファミレスとは異なる部分だ。

 これは完全に営業課の人次第ではあるのだが、上のような決め事を最初の打ち合わせの段階で全てやってしまう人もいれば、引き継ぎ挨拶だけを終えて雑な形で工事課員に案件を投げてしまう人もいる。なので新入社員には、できるだけ仕事が丁寧な営業課員をあてがうのが恒例だった。


 私は工事課の上席と共に三者打ち合わせに参加し、何の説明もなく、何となく話を聞かされた。事前に「これから何の打ち合わせをするんですか?」と質問すると「工事の打ち合わせをするんだ」と、なんともぼんやりした回答をされたのを覚えている。最早どちらかというと、参加よりは同席と表現すべき状態だった。そもそもの話し合いの目的を理解していなかったので、当然ながら打ち合わせの内容も全く理解できない。新人時代に陥りがちな、所謂『何が分からないのか自体が分からない』状態であった。


 この時同行して頂いた営業課の上司が盛岡さんという。そして工事課の上席が木村さんといい、また私の指導員であり、尚且つこの人こそ私を退職の決意をさせたお方だ。




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