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決意166日前 宿泊
エレベーターの非常連絡ボタンを押してしばらく待つと、管制センターかどこかの人と連絡がつながった。相手側は、かなり慌てた様子と、戸惑いと、謝意と。それら様々な感情が入り乱れているのが伝わってきた。もしかしたら私が閉じ込められた状況に怖がっていると思ったのだろうか、それとも故障に対して怒っていると思ったのだろうか。しかしそれはどれもはずれである。
無だ。何も感じていない。何かを感じる元気も無かった。ただ、修理や救助が来るのを待っていた。
昔はこんな出来事があったならば、友人に話すネタが生まれたと嬉々としていたのだろう。それでも、そんな私でも、その時は無だった。
てっぺんを過ぎ、そして終電は逃した。社内に戻り、応接室のソファーで眠る事にした。
翌朝は一人作業の現場に向かい、その日の作業が終わると、気がつけば何事もなかったかのように1日を終えていた。
倒れること等はなかった。私の体はもしかしたら、思ったより頑丈に作られているのかもしれない。