決意200日前 始まり
私の名前は山本(仮称)
屋根、外壁などのサブコン会社にて施工管理をしていた者だ。
※サブコンとは、現場の全てを総括するゼネコンから建築物の窓、電気設備、屋根、外壁等それぞれの専門工事を請け負う建設会社を指す
これから語られるのは、フィクションを混ぜつつ私が『会社を辞める決意をするまで』のジワジワとした心の変化を記した体験談。
あくまで『こんな会社はすぐにやめた方が良い』だとか『仕事とは何か』を教えるようなものではなく、単なる体験談。
何をどう思うかは、読者様達に一任する。
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私はこの春に大学を出てサブコンの会社に勤める事になった。
出身である経済学部の偏差値は60を超えていて、体育会の部活ではチームの幹部、そして成績も良好。建設会社ながら文系出身者が出世している会社ということもあって、人事の方々は本当の意味での将来の幹部候補と思っていたかもしれない。
なぜ保険、証券、金融などの業界に就職しなかったのか、という質問を受けるのだが、理由は一つだ。経済を勉強してきたから。証券や保険を売り買いしたところで腹が膨れる人はいないし、雨風を凌げるようにもならない。だったら、目に見えるものを残していきたいという想いから建設関係の世界に就職しようと決めていた。
入社して最初の一ヶ月間は施工管理の基本や自社製品の勉強、二ヶ月目は実際の工事現場研修、三ヶ月目は配属先での先輩社員と同行研修。これで一通りの新入社員研修は終わった。
三ヶ月目の最終週、営業課の上司から案件を引き継ぎ、人生初の工事案件が決まった。