第8話 決戦(1)
「よし、それじゃあ作戦決行だ!」
レイ君はそう言って立ち上がると近くに落ちていた木の枝を折り、枝で枝を削り始めた。
「何してるのレイくん?」
僕が不思議そうな顔をしてレイ君に聞くと、
「亮太が今から美花見を傷つけるために使う道具だ。できるだけ尖ったもので少し突くだけで異能の対象が亮太に向くようなものになったほうがいいだろう」
僕はまた思い出した。あの時の注射針、そしてあのときの痛み、そのあとの光景を。
「ごっ、ごめん。また何か異能のことを思い出させてしまったようだね…」
その声に気がつくと自分の息は上がり、草原にポツポツと額から汗が垂れていた。
しかし、この様では作戦に支障をきたし、みんなに心配をさせることになるのは分かっているのですぐに表情を戻し、
「だっ、大丈夫っ!それより僕はみんなを怪我させたりしないか心配だよ…」
「それは俺に任せとけって!俺は走ったり、泳いだり運動は得意なんだゼッ!」
亮太は僕に向けて満面の笑みにVサインを決め、励ました。
「それに俺に陽火輝にぃもサポートするんだ!無敵だよ!」
「そうだな、甲斐!俺たちが石田なんて手も出させねぇようにしてやるから安心しろ!」
甲斐に陽火輝君もそれに続いて励ましついでに自慢までしてきた。
「みんな、ありがとう!僕絶対に成功させるよ!」
「こっちも準備ができた。美花見、準備はできてるかい?」
「うん!」
「それじゃあみんな今から僕がゲートを出すから美花見の異能の発動が確認できたら目の前のゲートに飛び込んでくれ」
みんなは静かに。しかし、力強く頷いた。
「亮太これを…」
零の研いだ細く尖った木の枝を亮太は受け取り、美花見に近づく。
「美花見、この作戦絶対に成功させてみんなでカレー食べようなっ!」
「そういえば僕お腹ペコペコだ、帰ってみんなで食べよう!」
そうして亮太が美花見に枝を刺すと勢いよくアザミの花が咲いた。
あの時と同じどす黒い赤色に。
「飛び込めっ!」
この作戦ではみんながこちらの世界から出た数秒後に僕がレイくんがいなくなって強制退室され、この世界から出て作戦が始まる。
数秒間の黙想の後、目の前には開発室とそこにいるみんなと石田が見えた。
絶対に作戦は成功させる!




