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アザミの花が綺麗に咲くその日まで  作者: がんばりますかっと
第一章 施設編
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第2話 施設

母と別れた日から何日かは刑務所で過ごす日々が続いた。


しかし、まだ五歳ということと殺人といっても殺意がなく異能の暴発によるものだということを加味し、刑務所の中でもある程度快適に生活できるよう黒田が手配してくれた。だが、刑務所の中のため特にやることもない上母と別れたショックから何事もやる気が起きない。


最初の一日、二日はここから出すように巡回をする警官が来ては泣き叫んだがそれ以降の日々は毎日味のしない飯を食い布団に潜り時間になったらまた警官が呼びに来るのでそれに起こされ、また味のしない飯を食べ布団に潜る。これの繰り返しだった。


そして施設に行く日がやってきた。

前日に明日からは施設で暮らすという説明は受けていた。とは言ってもそれ以外の情報はなく、なによりその時の自分にとって母と離れて暮らすことになった時点から母と再会できる可能性のある情報以外興味がなかった。

施設に着くまでは前回同様目隠しをした状態ではあったが、黒田以外の警官がいない状態で車で行くことになった。今考えると黒田は気を使ってくれたのかもしれないが危機感が薄すぎるのではないだろうかと思う。


しばらく車を走らせてからエンジン音は止まり、黒田がバンッと車のドアを閉め外から後部座席にいる自分に近寄ってくるのが分かる。目隠しを外され外に出ると久しぶりに外に出たせいか太陽は異様に眩しく感じた。


「どうだい美花見くん、施設は楽しみかい?」


無視をした。


この時五歳だった僕は母と引き裂かれたことで生まれた怒りや悲しみをどこに向ければいいのか分からず僕を気にかけ話しかけてくる黒田に向けていた。


「きっと施設では友達がたくさんできる。美花見くんと同じような子がたくさんいる。」


正直そんなことはどうでもよかった。ただもう一度母に会いたい。自分は母親と二人で暮らしていた。母は父とは僕が生まれてすぐに離婚したらしく僕は父の顔を知らない。そのことは五歳のときにはすでに知っていたが特に会いたいとは思わなかった。父のいない家庭は自分にとってはいつもの家庭にすぎないし、その当時はなんの違和感も感じなかったからだろう。

でももし当時通っていた幼稚園の皆の様に父親がいたら一緒にいろんな遊びができたのかな、なんて考えたこともあった。


それからも何か黒田は俺に話しかけてきたがすべて無視をした。

そうして黒田の後をついてしばらく歩くと、


「さぁ、ここが今日から美花見くんの暮らす家だ。」


と言ってとても大きな西洋風の屋敷を指した。


その屋敷はとても殺人を犯した自分を出迎えるような施設だとは思えなかった。


五歳の自分でもわかるほどとても立派な洋館だった。


今思えばそこはいかにも金持ちの由緒正しい家柄の人が暮らしているような感じの屋敷だったし、実際昔はそうなのかもしれない。


すると黒田は屋敷の門の前にいる警備員と話してくると言って門の方へ向かって行った。


黒田の向かっていった方向に視線を向けると黒田と警備員の話している後ろ、施設の庭で自分より少し年上の子たちが三人で遊んでいるのが見えた。


そのうちの一人の子がこちらに気づいたらしく両手を大きく振ってきた。


自分は人見知りなので小さく片手で手を振り返すと他の二人も気がつき何かこちらに向かって言っているようだが遠すぎて聞こえなかった。


そうしている間に黒田が戻ってきて、

「おっ、もう友達ができたのか?凄いじゃないな!」


と僕の頭をワシャワシャと撫でて嬉しそうに笑った。


そして黒田は笑顔で、

「早速三人と遊んでこい、おじさんが警備員の人に美花見くんが入ってもいいように言っといたから」


と言った。


しかし施設に行く前にどうしても聞きたいことがあった。


「ねぇ、おじさん?」


「なんだ美花見くん?」


黒田はしゃがみ自分の目線に合わせて話を聞く、


「僕いつまたお母さんに会える?」


黒田は僕の問に答えるのに一瞬詰まったような様子を見せたが笑顔で、


「いつか会えるよ、施設でいい子にしていればね」


と答えて早く遊んでくるよう促した。


警備員の人に軽く会釈をして門をくぐり中に入るとさっき外から見た三人が自分にに向かって走ってきた。


「なぁあ、早くついてこいよ()()()が待ってるからさ!」


一番元気の良さそうな子に腕を掴まれ施設の中まで走って向かった。



―美花見施設到着十分前施設内の会話―


「なぁあ、レイ君。今日例の()()()()()って奴が来るんだろ?」


「あぁ、でもあまり期待しすぎるな陽火輝(ひびき)。なんせまだ五歳だ。でもこれは俺達に回ってきた始めてのチャンスだ」

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