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森の獣人

 レスは森のより奥深くへと入ってゆく。

 神の意志のままに。その指示のままに。


 しばらくすると、奇妙に開けた場所へと出た。

 木々は倒れ、所々に焼けた跡。

 丁度、レスとグリフォンが戦った痕跡こんせきに似ている。


「これは……?」

「汝と同じ運命さだめを背負いし者」

「俺と同じ……? そいつがここで戦ったのですか?」

「……進みたまえ」


 答えてはもらえず、代わりに下されたのは進軍命令。

 疑問は残ったままだが、それでもレスは従う。

 と、その時。前方からモンスターの群れが襲いかかってきた。


「構えよ。汝のその剣を振るい、風の刃でぎ払うがよい」


 レスは剣を振り被り、勢いよく振るう。

 衝撃波が敵へと襲いかかり、避け遅れたミニアルミラージ三体を倒した。

 さらに、残りのモンスターたちもウィズダムによって生成された突風が仕留めてゆく。

 地面へ木へ、敵のワイルドウルフは次々と叩きつけられて全滅した。


「緩まずに攻めねばならぬ。急ぐのだ」

「は、はい!」


 訳もわからないまま走るレス。

 少し進んだ場所で一人の少年に出会った。

 手には銅でできた爪を装着しており、低い唸り声を上げながら睨んでいる。

 臨戦態勢を取っており、とても話し合うことなどできそうにない。

 レスも剣を構えて対峙していたその時。


「うわっ!」


 突如として目の前で起きた事象にレスは怯んだ。

 空から炎が飛んできたのを、幸いにも神の生成したバリアが守った。

 だが、一瞬の隙を敵は逃さない。

 鋭い爪を振りかざし、レスへと襲いかかる。


「くっ……こいつ!」


 素早い身のこなしから繰り出される斬撃。

 レスは避けるので精いっぱいだ。

 応戦すべく神が差し向けたワイルドウルフも、雷に打たれて息絶えた。


 レスも気づいている。

 敵対しているこの少年も神の加護を受けているということに。


「やれ、ファング! こいつを殺せば、お前は新たな力を得るぜ!」


 少年の耳にのみ、敵側の神の声が届く。

 ファング……この少年の名。いや、正しくはこの敵側の神がつけた名。

 そのファングが今、レスの首元へと爪を振り下ろそうとしている。


「おのれ……」


 慌ててレス側の神が突風を巻き起こした。

 それも寸前でかわされてしまったが、追い払うことには成功する。

 その隙にレスは体勢を立て直し、剣先をファングへと向けた。


「攻めあぐねているようだな。俺様が道を切り開いてやるから、お前は攻め続けろ」


 返事の代わりにファングは吠え、爪を振りかざしながら飛びかかった。

 対するレスも剣で受け止めようと身構える。神もそのサポートをすべく、突風を放つ。

 だが、やはり身軽にそれをかわされてしまう。ヒット&アウェイにより、反撃の機会が見つからない。

 しかも、それだけではなかった。


「今だファング! 衝撃波を放て!」


 敵側の神のブレイブにより、ファングのスキルが発動した。

 生じた風の刃はレスへとまっすぐに襲いかかる。

 直撃するかと思ったその時、ウォールがそれを遮った。

 間一髪、助かった。そう喜ぶのも束の間。


「来たぜ! お前を殺すチャンス!」


 敵側の神がウィズダムで召喚していた三体のミニアルミラージが、レスへと突進した。

 鎧を着ていたため、角により貫かれることは防いだ。しかし、その勢いにより突き飛ばされ、地面へと強く叩きつけられてしまう。

 立ち上がろうとするも、追撃により再び突き飛ばされる。

 神はまだウィズダムを使用するタイムコストを稼げていない。

 助けようにも時間が必要だ。

 仕方なくタイムコストを使用せずに召喚できるミニアルミラージを援軍に向かわせるも、ファングによって次々と倒されてしまう。

 戦いは窮地を迎えていた。

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