精霊の帰る場所 『サクの産まれと古い民』
ざわついた音で目が覚めた。
サクの耳に入ったのは、木の葉のざわめき。そこに少し言葉が乗ってました。
[るるるん、るるるん。青い騎士。草剣纏ったるるるんるん! ふふふ、しってる?うん、知らない? あはっ、あれはね、ふふっ、伝説のね]
変な声に目を覚ますと、サクの周りにはすずめほどの大きさの緑色をした小人が宙を待っていました。
[あれ、起きた! 起きたね。どうする? 邪魔しちゃう?遊んじゃう?]
サクは、うるさいと言わんばかりにその小人達目掛けて腕で振り払おうとしましたが、風のように動き回るので、腕が疲れるだけで諦めました。
サクが起き上がって窓を開けると、その小人達はみるみるうちに風の中に溶けてきました。
「サク!」
聞き慣れたかぜの声がして、ふと窓の側の木の上を見るとそこにはかぜが、楽しげに笑っていました。
「起きた? あのね、さっきうるさかったのは僕の分身達なんだ。あれを飛ばすと、色んな景色が分身を通して伝わってくる。でだ、丘の上が騒がしいので行こうと思う。今日は学校休みでしょ? 付き合ってよ」
相変わらず、自由っぷりを見せるかぜに、少しずつ微笑ましく心を動かされる自分がいて、サクは、今でどれだけの美しいものを、笑顔や景色を見なかったのだろうと後悔し、こわばる顔も緩むのでした。
~約束の丘~
桜生国は桜の枯れぬ国。うす桃色の花びらが咲くなか、ひとつだけ七色に輝く木がありました。人々は命の女神、ソル・リアルから名を取り、ソルリアの木と呼んでいました。
サクと、かぜが約束の丘に来るとソルリアの木には先客がいました。サクの育ての親、ジグでした。4足で立ち、茶色いでかい図体はまさに熊のようでした。ジクは、ゆっくり体をサクの方に向け慣れた口調で言いました。
「よう、ガキ。話はかぜから聞いたぜ。かーちゃんのことフィーリル様から直々に聞いたんだと? 大した度胸だ、がーはっはっはっ。んで? かーちゃんの乳恋しさに来たが、おあいにく様硬い木が一本あるだけだと? がーはっはっはっ。残念だな」
うるさい熊はほっといて、かぜは冷静にジクに問いました。
「ねえ、そのうざい話し方どうにかしてくんないかな?せっかくサクのお母さんのはなし出たんだから、いっそのことサクのお母さんとお父さんのこと聞かせてあげようよ」
「古い民の話か?」
ジグが、古い民の話と言った瞬間、当たりは冷気が立ち込めたようにひんやりしました。
どこから話して良いものか、ジクが悩んでいると、かぜがスパッといい退けました
「サク、どうして君がサクと言う名前なのか、お父さんとお母さんのこと聞かせてあげるね」
聞いちゃいけない気もしたけど、こんな機会は今までなかったので、サクはかぜの話にゆっくり耳を傾けました。




