光炎散る空へ『雷のフルートのありか』
ユーリの誘導で集まったモモカは、一気にワタバチ島の空をおおいつくし、集めたは良いもののユーリ自身もあぜんと、なっていました。
「これをどおしろってーの?」
サンディッシュは冷静で、「コタエ ヌシノナカ」とだけ言うとユーリから距離を取り、背後で見守る体制になりました。
「えぇ!?サンディッシュ様なげやり!?いやまて、考えろ……考えろ……」
モモカは攻撃の姿勢を取ると、雷雲を作り、ユーリが考え込む間にも、容赦なく雷線を打ちかましてきました。
「雷……雷の雲………前にもあったような……!?」
ユーリは器用に雷線を避けながら、考え事を続けます。脳裏によぎるのは懐かし教室でした。
「そっか!かぜが教室に来た日、あのときも雷雲があったっけな?えっとどうしたんだっけ?イロハちゃんがパンくわえてて、イロハちゃんがめっちゃかわいくて……んじゃなくて、かわいいんだけども!えっと、サクは化けたかぜの背に刺さった草剣に触れて鎮めたんだったな、イチかバチか……!」
ユーリは側にいたモモカのはぐれを掴み弾力を確かめると、モモカの背に一気にのって、右に左に上にと手近なモモカを踏み台にしながら巨大なモモカめがけて駆け上がりました。
そうやって、上りながら大剣の剣先に踏み台にしたモモカを次々に吸収して、もはや、もこもこになった大剣を巨大なモモカめがけて突き刺しました。
「そんなに雷が恋しくてほしいなら、はぐれモモカもくれてやる!パンパンになってはちきれろ!」
ユーリの思惑通り巨大モモカはエネルギーを吸収しすぎて耐えきれず、うちからパンッと弾けました。その後で空の雲がキラキラと晴れていく隙間から、雷のフルートはゆっくりと顔をのぞかせるように舞い降りて来ました。
ユーリの手の中で衰えない輝きを放ちながら、雷のフルートはユーリの手から口元へとゆっくりと運ばれ、メロディを奏でました。
イロハと違い学のあるユーリは、フルートの経験こそないものの感覚を掴むのが上手ででした。ユーリは聞き慣れた桜生国の民謡を軽やかに吹いてみせ、その場にいたサンディッシュとモモカをゆるりと和ませるのでした。
ユーリの旋律に誘われるように、ノーヴィの森の精も喜び、帰りの光をもう一度放ってくれました。
ノーヴィの森につくと、ユーリは大の字になって横たわり、そのまま深く眠りました。ご褒美のおやつとジュースを、らしいもてなしで用意していたイロハは少し残念でした。
すると、そんなにイロハを見ていたものが、一人のニヤけながらイロハとの背をトンッと軽く押しました。
「誰かついててあげなきゃ、毛布かけてもけっちゃうかもね」
アレンの小粋な口ぶりに、イロハは、率先して 毛布を取りに行きました。
ノーヴィの森での3日間を終えた一行は、茶葉、蜜柑の案内で時桜計に戻ることになりました。船に着くと巨大なタンクがあり、話を聞くところ、茶葉、蜜柑からの手見上げで、みかんジュースなのだそうでした。
茶葉、蜜柑に、お礼を言って別れを告げると時桜計は出航し、次なるフルートを目指すのでした。




