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草剣物語〜精霊と少年の旅路〜  作者: 璃月 曽良
第四章
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氷の華舞う大地『レイギルと心の宝』

 王都へ帰ると、一行は真っ先に城へ報告に向かいました。城では、用事をすませたスノーベル王が戻っていました。王は王妃から話を聞いており、一刻も早くと気が焦った王は、イロハが腰につけていた水のフルートに手をかけましたが、水のフルートは火花のような氷の塵を飛ばし、王の手を弾きました。

 弾かれたことに苛立ちを覚えた王は、今度は王妃が止めるのも聞かず、サクが手に持っていた血統の書を奪いましたが、それも読めず、サクに投げました。


 面倒くさい子供のようなおやじ……そんなところでしょうか、スノーベル王の印象はあまり良くありませんでした。 

 神器にはふさわしい者しか触れられないのだと何度か触って諦めがついたのか、王は渋々自分の仕事をはじめました。


 巨大なモニターが天井からゆっくりと降りてきて、そこには世界地図が映されており、現在地と四属性フルートの場所が記されていました。


「これを見くれ。この世界の形とされている地図じゃ。水のフルートは、ここ、スノーベル。雷のフルートは北東ワタバチ島の上空。炎のフルートは孤独の王レア王の住むカエル王国最後の風のフルートじゃが……」


 王が首を傾げながら指した先は……

 ……!?桜生国!?


「桜生国は……後回しにしましょう。私達はまだかぜを助け出す手ががりを見つけてないのだから、ニネちゃんにも合わせる顔がないわ」


 七尾の言うように、かぜがさくの胸の水晶を伝って話しかけてくれることがあったのは確かでしたが、また姿を現すにはミライを捕まえて八尺瓊勾玉を奪い返すしかありませんでした。


 一行は水のフルートとアレンが加わった事で新たな情報が得られるかもしれないと、船のときと同じように陣を組みました。瞳を閉じると、アレンの幼き日が映し出されました……。


――スノーベル王国の王と王妃の間には子供がおりませんでした。ある日、町中で迷子になっている子供を王はさらってきて、自分の息子として育てると言いました。

 王妃は親に帰るべきだと反対しましたし、家臣も城中が反対しましたが無駄でした。

 ある日王にさらわれたと聞いた子供の親が城に忍び込み、王に返すよう訴えましたが、聞いてもらえず、親が強引に子供の手を引いて帰ろうとしたとき、兵が来て親を斬り殺しました。


 王は大層後悔しましたし、子供は放心状態になりました。そこに全知全能、時には忘却も司るレイギルが現れ王と子供の背中を貫きました。

 王も子供も記憶を失い子供は自身で名前をつけ、アレンとして生きてきた。――


「父さんと母さんはこの城で殺された……?」


 ただただ細く冷たい涙が頬を伝ってゆくばかりで、そんなアレンを七尾が正面から抱きしめました。


 その頃、サクの胸の水晶の中でかぜは暗い空間を瞳を閉じたまま漂っていました。そして再び陣を組んだ一行にサクを通じ念を発します。


「来たか、水のフルート。あと3つ。」


 かぜはサクの胸の中で自由に動ける肉体がないことが情けなくなりました。しかし、こんな自分にも出来ることがあることを知っていました。かぜは肉体を失ってから、心は気体となりサクの心と波長を合わせ、サクの声という宝を探すための旅の準備をしていました。


 サクの心の声の宝箱、ボルア。

 心と夢はつながるもの。かぜは水晶になってからずっとボルアを探していました。 


「みんな、聞いて、水のフルートを通じて、サクの心に水の鍵が落とされたんだ、これについては僕の方でも調べてみる。心の鍵の1つだと思う。」


 サクの知らないところでサクの為に動いてくれるかぜにサクは嬉しさでいっぱいでした。


 一行は次なる目的地を目指すため、一息つくためにそれぞれ用意された部屋で休むことにしました。

 一人はベットを涙で濡らし、一人は王国の行く末を思い、一人は枯れた喉で思いを馳せ、長い夜を過ごしました。

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