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草剣物語〜精霊と少年の旅路〜  作者: 璃月 曽良
第四章
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氷の華舞う大地『試されるイロハ』

 夜が明けると一行は、武器屋の奥の試着広場に集まっていました。雪山には魔物が出るということで、手に入れた武器で手合わせしていたのです。戦闘初心者ばかりの中で、普段から城で国家騎士達の戦いぶりを見てた七尾が皆に戦い方を教えていました。


「サクは草剣を腕から分離させ手に持つように。イロハちゃんは少し上を持ちすぎね。槍はもう少し下の方がいいと思うの。あと、勢いよく相手をついて。力が弱いと反撃されるわ。ユーリは、腕立て1000回! あと、3時間ほど走り込んで。大剣は体力と力技よ。ケイは魔本使いこなしてるわね。普段から本を読んでるからイメージも付きやすいのね。熱心でいいわ」


 七尾の指導はお昼前まで続きました。アレンは普段から魔物のいる地域に行くこともあったので、七尾の指導がなくともお気に入りの短剣で軽々と動いてみせました。アレンの動きを見た七尾は指導を代わるように言いましたが、自分は口下手なのだと、アレンは断るのでした。

 一行は、お昼ごろまで特訓すると食事を済ませ、城からの車が出ていたので乗り込みました。


 王都から車で北に進むと、桜の木が生えていない地域が見えてきました。雪の深さもいっそう増し、山をくり抜いて作られたトンネルを抜けると、そこには雪山がそびえており、魔物の姿もちらほら見えてきました。


「僕、雪山の手前まではよく来るんだ。敵の強さも程よくて、倒した分の報酬もいいからね。ここで特訓しようよ!」


 アレンおすすめの穴場で、一行は戦闘技術を上げるのにいい機会だと魔物を倒すことにしました。魔物は小型で動きも鈍いので、アレンの言うように初心者には丁度いいのでした。

 

 サンディッシュの恩恵のもとユーリは、力強く握った両手の掌に雷を集中させ、雷が消えぬうちに素早く大剣を握って大きく振り上げ稲光の目くらましとともに一気に落とす。雷花火(らいかび)を。

 ウォーズリーの恩恵のもとイロハは、片手に握った槍に思念を送り、水と化した槍は、目に見えないほどの分子にできる気体(エアセル)、一気に収縮させ固まり滑らせる個体(ギアセル)身を溶かし無重力に動ける液体(グラセル)、に変化させる流水個(りゅうすいこ) を。

 フィーラの恩恵のもとサクは、左手に寄生した草剣の分離、その際の痛みの耐性と、空気の流れを読み草剣の素早い動きの会得、目を閉じても相手を攻撃できる俊風(しゅんぷう)を。

 ファイヤードの恩恵のもと、ケイは魔本に集中をおき、攻めではなく守り、敵が与えた炎をわざと受け何分も耐え続け、自身を強化する炎の盾(ファラブ)を。


 それぞれが神の使いである精霊と力を合わせ魔物を倒す特訓をしました。特訓を重ねるうちに、余裕ができてきて、敵を捕まえて雪山の龍の話を聞くことができましました。

 敵が話すには、雪山の主は魔物ではなく神の使いで、神聖なフルートを汚されぬよう魔物から守っているとのことでした。一行が魔物を倒しながら頂上付近まで来ると、それは天を覆わんばかりの大きな巨体を丸め、眠っていました。


「よっしゃ今のうち」


「待って!」


 ユーリは、アレンが止めるのも無視して、一人龍の後にある祠に向かいました。見つからなように、音を立てず……龍は起きる様子もなく、ユーリはそのまま祠に入りました。


「へっへっーん、俺様やっぱり天才かも?楽勝、楽勝!」


 ユーリが水のフルートに触れたとき、フルートは強力な水のバラブでユーリの手を弾き、ユーリはその場に気絶しました。それとともに眠っていたはずの龍がゆっくりと体を起こしました。

 龍は異物に気づくと、


「水の加護なきもの触れれば正気を失う。水の加護受けしもの、そこにおるな。我を倒し主が水のフルートに触れよ」


 龍はまっすぐとイロハを見つめましたが、おびえたイロハはケイ後に隠れました。それを見たウォーズリーはイロハに強く言うのでした。


「カゼサマ、タスケタイ。ヌシ、オナジハズ。ニゲル、カゼサマ、アエナイ。ヌシ、タイセツナモノアル。ワレワレノ、タイセツナモノ、カゼサマ」


 かぜを助けたい。けれども戦いなんて、ましてや相手が龍なんて……イロハは己と戦った末槍を握りみんなの前に立ちました。

  

「正直怖い……でもかぜの憎まれ口が何だか恋しくなる日もあるよのね……さぁ、私が試されるなら頑張ってるしかないか!」


 パンっとイロハは左手で左頬を叩き気合を入れました。そして、神の使いである雪の龍の、イロハが水のフルートを使うに等しい存在か、見極めるための試験が始まるのでした。


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