間話 謎の青年
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妙に静かすぎる真夜中。
中央がぽかりと空いた天井、石造りの白い壁が四方を囲む“願いの間”に入って行く1つの影があった。濃い群青色のフード付きのマントで頭から足元までを覆い隠した長身の…おそらく男は、迷い無く部屋の中央へと足を進める。
「平行世界に行けば目当てのものがそろうか…」
男が呟きながら目の前の段差の前で足を止めた。中央にある、白く光り耀く円形の魔方陣。その魔法陣は四角形の白い石造りの台の上に描かれている。
ぽかりと空いた天井から降り注ぐ光、上を見上げれば真っ暗な夜空に光輝く半月の姿があった。
「術式合成魔法・世界移動」
この世界中のどこを探しても、“術式合成魔法”などという魔法を扱えるのはこの男のみである。この、綺里斗・アースの治めるアース皇国での彼の通り名は“異端者”。皇宮内で彼を知る多くの者が恐れ、忌み嫌っている。
「この、横断歩道っ…!」
魔法が発動し、目の前に現れた風景に男は忌々しそうに叫んだ。この男の感情で、己の魔力がひどく揺れる。この世界のこの横断歩道を壊したいほどに干渉する…だが、すぐに男は冷静になり己の魔力をしまった。
周りをよく見れば、どうやらこちらの世界も真夜中らしい。
それにこの横断歩道でどうして俺達が車にひかれたのか、なんとなく理解できた気がした。
「術式合成魔法・使い魔 黒き幻影」
男が魔法の名を唱えると、闇の中から黒いものが数匹這い出てきたかと思えばある一点の方向に向かって空中を浮きながら移動して行った。
ーーー俺が、この平行世界でしなきゃいけないことは…
男は意を決した様子で、黒い使い魔と同じ方向に飛行魔法で空へ飛んで暗闇へ紛れた。




