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残念なお姫様

残念なお姫様・そのさん

作者: 壱蓮庵

よろしくお願いします。

「リリア、もう一度確認するぞ。」

どでかい椅子にどっしり座り、どでかい机に肘つい て、上目遣いにこちらを見据える父様。まるでイカ○ゲン○ウ。サングラス欲しいですね父様。後ろに老執事が控えていたら完璧でしたね父様。

現実逃避しつつ、軽く頷く。

「本当に、顔の造作に文句はつけないんだな?」

なにこの雰囲気。父様いつもの娘大好きっぷりはどこに置いてきたの。

何に巻き込まれているのかさっぱり分からないが、答えない訳にはいかないだろう。

なにせ、現在我が家ったら包囲されちゃってますし。軍に。


どうも、毎度お馴染みゴリラ的女子ことリリア・ルーゼンベルクです。前回のお見合いの後、母様はニホンザル以外も手配してくださいましたがやっぱりマントヒヒとかピグミーマーモセットとか猿のバリエーションを見せつけられる結果に。

こう、ワイルド系美男子、とか、草食系美男子、っ

てことみたい。ピグミーマーモセットってめっちゃバッタとか食べてた気がするけど。

結局母様は自分のタイプのニホンザルを避けただけで猿ばっか選ぶもんだから、ちょっと父様に相談したのよね。それが1週間くらい前のこと。


で、何故か帰宅した父様を追うようにやってきた軍隊に、我が家は包囲されているわけで。


この質問とこの事態は関係あるんだろうか。無かったら現実逃避にも程がある。さすが私の父様。

「あ、あの、表のアレは一体…?」

「本当に文句はつけないんだな?」

やだー。質問に質問で返しちゃだめですよ父様ー。引き返せない系のイベントなの?よりにもよってイベント直前でセーブデータ上書きしちゃって後戻りもできない感じ?

よくよく見れば父様も冷や汗だらだらじゃないですかー。やだー。

「どうなんだ。リリア、答えなさい。」

いつになく厳しい父様の声。こ、これは腹をくくるしかない…のか!?

「は、はい。顔の良し悪しではなく、心優しく、誠実な、お父様のような方を支え、添い遂げたいと思っておりまひゅ!」

噛んだー!くそー、こんなにプレッシャーに弱かったか?前世では柔道で何度も試合に出たけど、こんなに緊張したことないぞ!たぶん!

冷や汗だらだらな私と、冷や汗だらだらな父様は暫く睨み合い…いきなり机に突っ伏した。

「お、お父様?」

「うわあああああリリアがお嫁にいっちゃうううううう!!こんなに優しくてしっかりもので、まさしく天使なリリアがああああ!」

今までのシリアスな雰囲気はなんだったのか。泣いてるよ、ひくわー…ってお嫁にいく?え、いきなり決定?


ばんっ!と、勢いよく扉が開き、全身鎧の人達が4名と、ゆったりとしたローブを着た文官らしきテングザルが雪崩れ込んできた。テングザル系男子やっぱりいたのね…。

テングザルさんが手元の書簡を、甘いイケメンボイスで読み上げる。

「国王ウィリアム・フォン・リヒテンシュタインより、リリア・ルーゼンベルク嬢に命ず。本日只今をもって汝を、第2王子であるゴリラ・フォン・リヒテンシュタインの婚約者とし、その住まいを王宮内に移すものとする。これは王命である。」


ゴリラ王子ーーー!?ちょっと待ってちょっと待ってお猿さーん!そのリヒテンシュタインとかいかにも外国のなんとなく高貴そうな感じの名前にゴリラって合うと思ってんのー!?って婚約者!?拒否権なし!?ゴリラとゴリラってつがいとしては普通かな?ってやかましいわ!!

まだ突っ伏してた父様の側にはいつの間にか母様が寄り添って励ましてる。儚げなゴリラという稀有な美貌を持つ母様の顔色はすこぶる悪い。父様の背中を摩りながら、私に向ける視線はひどく不安そうだ。

え、ゴリラ王子ってなんか評判悪いの?言ったよね?誠実な人がいいって。顔は気にしない、だけ汲み取られてない?ていうかあんまり考えてなかったけど、この世界のブサイクって突き詰めるとどうなるの?前世的価値観でのイケメン?まさかイボイノシシとかガマガエルとか、それどころかプレデ○ーとかタコ頭の海賊さんみたいなエライのだったらどうしよう!?

そんな冷や汗ナイアガラな私の両腕を、いつの間にか挟み撃ちにしていた鎧の人達にがっちりとホールドされた。

「では、このまま連行…ご同行願います。」

連行って言った!?

「あの、わ、私まだ荷造りも何もしていなくて…!」

「構いません。必要なものは全て揃っております。足りないものがあればなんなりと。もちろんご家族とも面会できます。ご安心下さい。」

にっこり微笑むテングザル。ご安心できるか!こいつ、腹黒いぞ絶対!

「さ、参りましょう。…馬車は用意できてるな!?急げ!」

「え、いや、ひゃああああああああ!?」

がしょんがしょんと響く鎧の音を掻き消すように私の悲鳴がこだまする。

いくら二人がかりとはいえ物凄いスピードでずんずん進み、意外と質素な見かけの馬車に放り込まれすぐさま走り出した。


どうなっちゃうの!?どうなっちゃうのよ!?

誰か詳しい説明ぷりーーーーーず!!!

読んでいただき、ありがとうございました。

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