第90話 無常
ここはおなじみ苺ミルク……てのも毎回だとやはりインパクトに乏しい。
そこで今日は俺のおすすめ、缶詰のフルーツを使ったミックスフルーツミルクにする。
幸い既に準備は整っている。
缶詰の果物は各種類、一口大に切り分けて、冷蔵庫で凍らしてある。
幼女神様の為に、常に数百種類の料理の準備をしている俺ってかっこいいし。
ちなみにこのミックスフルーツミルク、苺ミルクと比べても遜色がないほど美味い、と俺は思う。
使用する缶詰の内容によりけりではあるんだが。
特に子供ウケする味。
作り方は……さほど難しくも無い。
凍らせた缶詰のフルーツを、ミルク、砂糖と一緒にミキサーにかけるだけだ。
配分的には、苺ミルクと同じぐらいかな……水物だから若干缶詰フルーツ控えめか。
缶詰シロップを別にとってあるならそれも入れる。
出来たものは、砂糖少なめにしてドリンクのようにゴクゴク飲んでも良いし、
砂糖多目のミルク少なめで、他に缶詰のフルーツを適宜加えてデザートとして食べてもいい。
これもお菓子の法則のようなものに当てはめてあるから、やはりそれなりに美味しい。
凍ったフルーツが細かい氷のようになって、口当たりや冷たさも良い感じだと思う。
まあ、まずくはならないような材料を使ってるからな。
────味の素とか入れないければの話だが。
「さあって、出来ましたよ~」
「わあい~」
最近、幼女神様は小躍りを多用する。
それはいいのだが、ちょっと元気が良すぎて、差し出した皿とかにぶつかってしまって、中身をこぼしてしまって、落ち込むのもお約束だ。
「はい、今回はミックスフルーツミルクのデザート仕立てですよ~」
「みっくすふるーつみるく?」
「イグザクトリィ! パインとミカンと白桃のフローズンミルクシェイク……っといった感じでしょうか」
「おお~」
「なんと! 更にはもうひとつ、ミ○ターイトウのバタークッキーも用意してございます!」
「イトウさんなの?」
「と言っても、そのクッキーがイトウさんではありません。だったら怖いです……」
「うん!」
「安いけど案外美味しいんですよ、これ?」
(とは言っても、菓子関係ってパッケージ変わってなくても勝手に味が変わってしまうようなものも多いからな……子供の頃食べたものが何かまるっきり違う味になってると悲しいよね)
「ではでは、いっただきます~」
「ます~」
さて……俺のほうはドリンクタイプのミックスフルーツミルクに仕立てたのだが……
当然砂糖は少なめでね。
幼女神様と一緒に適当にバタークッキーをつまんで、
んで、のどが渇いたらゴクゴクとミックスフルーツミルクを飲んで……
大き目のコップに残りが5分の1程になったときに、
持ってきてあった味の素を取り出して、恐る恐る少々をかけて飲んでみる。
「ん~、なんだろうコレは……飲めないってわけでもないんだけど……ゴクゴク飲むような味じゃない……」
(決してまずくはないんだ……ただなんか味としてまるで完成したみたいでどこかヤバイ感じの味だ……例えるとただの女学生が急に峰不二子になってしまったような……)
「なにしてるの~」
「怪しい実験ですよ……良い子は真似しちゃいけません!」
「……よい子じゃなければいいの?」
「えええっ! そんな恐ろしいことを言わないでください! 悪い子はわたしだけで充分ですってば!」




