第89話 麻薬
「まだ時期尚早の気がするのですが……しかし、いずれはエルフたちへのお嬢様のお披露目式を開こうかと思っているのです」
出来ればそうありたいな……と俺が思ってるだけだがね。
迎撃戦が終わったら縁が切れるのなら、それはそれ。
また……気楽に幼女神様とふたりでエクスピあたりで暮らすだけだからな────
「う~~~、これがよのメラゾーマあっ~!」
「あーっ、それだけはやめてくださいってば! まじで何か出てはいけないものが出そうで、本気で怖いですって……」
「にへへ」
「そういうわけで、その服はそのときまで綺麗にしておきましょう。さあ着替えますよ」
「ん~、やっ!」
「でも、それだとこれから用意するおやつが食べにくいですよ?」
「む~、う~~」
「そんな悩むほどの問題ですか……」
お菓子……この言葉を使っている人は普段はまったく気にもとめないだろうが、草冠に果、そして子という漢字が使われているのがわかる。
これはおそらく昔はお菓子という名称が使われていたのは果物系統にであり、近代のお菓子にありがちな砂糖やそれを使用する餡子、クリーム、チョコレート、ケーキ等などにではなかった、ということなのだ。
日本の餡子を使った菓子などもう既に古臭いような印象を持つような人もいるのではないかと思われるが、昔は高級であった砂糖などを無駄に多く使っている事実から考えると、餡子は果物に比べて案外近代的なものなのかなと、当たり前ではあるがイメージとしては新鮮な、どうでもいいことを再発見したりする。
……それは今はあまり関係はないのだが、最近お菓子のことを色々と考えていると、多くのまったく共通点がないように思われるお菓子たちが、何か急に色んな意味で繋がったような気になるのだ。
そう────まずお菓子に必須であると思われるのは甘味である、砂糖である。
これを使用することはほぼ全ての現代の菓子に共通している。
そして次に餡子の材料を考えると、砂糖と小豆である。
更にクリームの材料は、砂糖とミルクであり、
チョコレートの材料は、砂糖とカカオ豆。
ケーキ等の小麦菓子は、砂糖と卵とバターと小麦粉、つまり小麦の種子を粉にしたものである。
こうしておのおのを分解して、並べて考えてみると近代のお菓子の多くは、
砂糖にプラスして、植物の種子や動物の卵やミルクなど、植物動物の違いこそあれ、
何らかの────子供────やそれに関連する要素が組み合わさって出来ていることが多いと気づくはず。
こういう物事の裏、本質というものを把握すると、なんというか色々どこまで出来るのか試したくなるよね────
砂糖と、何かあまり注目されていない種子とかを組み合わせて、新しい、餡子やチョコレートやらを超えるお菓子を作れるんじゃないかとか。
で、それはいったん置いておき。
味の素スタックという、エンドルフィンを出しまくる気持ちよくなる合法麻薬────っと言ってもただの食品関連組み合わせで出来る怪しい物の知識を何故か思い出すと、
プロテイン、つまりたんぱく質と味の素、後、油と砂糖を適量水で割って飲むとかいう感じのものだった。
ここで……勘が良いと気づくだろうが、この中でたんぱく質と油っていうのは豆とかに多いし、ミルクとかはもうそのものだろうし。
てえことは、ミルクに砂糖をぶち込んで、そして味の素を……ちょっと抵抗があるけど加えれば味の素スタックと言われるものの完成になるのかなと。
お菓子の知識と、味の素スタックの知識。
こうして並べて比べてみると、結構似通ってて、怪しくて面白い。
お菓子って実はエンドルフィン出しまくりんぐの麻薬に近いとかね……
とりあえずだ。
実験大好きの俺が、今から脳内麻薬ドバドバお菓子とやらを試作するにあたって、
一応それなりの形の菓子というか、ミルク使うからジュースになるのか、
それを普通に飲める程度のものには仕上げようと思うのだ。
流石に先ほどの、ミルクに砂糖とおまけに味の素を加えたものというのはあまりに内容的に質素過ぎだからね……
ん~、なら候補はあれしかないかなあ……




