第88話 正装
「幼女神様ー、ふっふっふ、聞いて驚け、見て驚け!」
「?」
こちびと遊んでいた幼女神様が、期待通りにトテトテとこちらに向かってくる。
「お兄ちゃん、なあに?」
「この爺めが! 先ほどからぶっちゃけどうでもいいことを考えながら、本当に大事な縫い物を精魂込めてしていまして!」
(よく考えたら、お兄ちゃんと言われてるのに、自分を爺とかいっちゃうのちょっと変じゃね……)
「ぬいもの! ぬいもの~!」
幼女神様は何か、縫い物の言葉に過剰反応して小躍りしている。
む……勘違いしていると少しやばいな。
「お嬢様、縫い物と言ってもぬいぐるみではございませんぞ! お召し物、すなわち服のほうです」
「ふく~! ふく~!」
……ふむ。どうやら服のほうでも喜んでくれているようだ。
ま、実のところ、なんでも喜んでくれるようではあるのだが。
「しかしこれは今まで着ていたようなレベルの服ではございません。今までの服とは隔絶した次元にある選ばれた者のみに着ることが許されるステイタス、ハイテ……いえ、ハイグレードな服なのです」
「ハイグレードなの!」
「ええ。ドラクエで言えば、メラがメラゾーマになってしまうぐらい凄い服なんですって!」
「じゃあ~、メラゾーマは?」
「え…………。お嬢様、いつのまにやら返しがうまくなっているようですね。……えっと、それはですね、あまりお教えしたくないのです……」
「どーして~?」
「一応答えられはするのですが、本編内だと最初こそ派手なのですが、あまり活躍しなかった、って言うか敗北フラグみたいな感じだった記憶があるのであまり言いたくないのですよ」
「?」
「あ、すいません。ちょっと今のはオフレコでお願いします」
「ん、わかった~!」
「いや、わかってないでしょ! ……いいんですけどね」
「ふく、どこお~」
俺の周りをくるくるとまわって、きょろきょろと探す幼女神様。
まだ出してないのぐらいわかるでしょうに、何故にこんなに可愛いのか。
ハイグレードな服には、ハイグレードな入れ物を。
前の世界で、ようつべとか言うサイトで空き缶をレトロ感あふれる箱に仕上げる動画を見て感動し、いつかはやってみたいな~と思いつつも結局やらなかった……
今回はそれを思い出して、錬金で作り出した金属板に模様をつけて高級感あふれる、あの服にふさわしい入れ物をつくったのだ。
「おお~」
そう、その感じのカッコいい入れ物……って、
「異次元バッグに入れておいたのに、何でお嬢様が持ってるんですか!」
「あけていい~?」
くっ……この方に常識が通用するわけがないというに……俺が甘かった……
「駄目ですと言っても開けるじゃないですか、お嬢様は。もういいですよ」
「わ~!」
入れ物を壊されてもなんなので、俺も開けるのを手伝う。
笑顔で老バ○ン様の服を取り出す幼女神様。
しかしよく考えると、この服って女の子の好みとはかけ離れているような……ウチの小さな女神様は、その程度の低レベルなことは気にもしないだろうけど。
でもまだ兜は用意してないから、後で作らないとな……鉄とかでよりは柔らかい布でぬいぐるみ風に作るほうがいいかな……
「ね~、これ何~?」
「肩当ですね。ひとりでは着けにくいでしょうから手伝いますよ」
「えへへ~!」
着付けが完成した姿で、幼女神様は小回りする。
「これが幼女神様のこれからのスタンダード、正装になるようでございますよ」
>空き缶をレトロ感あふれる箱に仕上げる動画
Drink Can Tinworkとか、それの関連動画の事。
センスよく作るのは難しそうですが!




