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第80話 不遇

 

 

 


「なんと、神の果物ですか!」


纏め役を皮切りに、急に食堂内がざわつきはじめる。


補佐役は動揺して、大げさに驚いてるし。


元商会代表は興味深げに。


サラは何故か得意気な様子でルンルンといった感じ。


クレイアとかさっきまで気を使いまくってた表情だったのに、いまは随分と明るい顔をしている。


(しかし、なんで適当に言っただけでこんなに盛り上がるんだよ……お前ら絶対詐欺に引っかかるぞ……ぜってえ世の中は間違ってる……)



そしてティー、お前、食事時にはマスクぐらい取れよ……と言いたい。


お前が普通に皆に混じって食堂内にいるだけで、俺の中の常識が削られていく気がしてならない。





とりあえず、無駄に時間をとられたが、


気分転換になんかデッカイのからいこうと西瓜を手に取る。


日本の大玉西瓜だから本当に大きいのなんの……


しかしなんだ、西瓜って……よく考えると果物としてはデカ過ぎじゃないか?


もしかして世界最大の果物? まあ分類的には野菜になるかもだが。


そんなことを考えながら、おもむろに包丁の先端を西瓜の硬い皮に突き刺すように入れて、ぐるっと回転させてまっぷたつを目指す。


(これ意外に綺麗に切るのは難しいんだよね……)


予想外に綺麗に二つに切れてくれた西瓜を、断面が皆に見えるようにゆっくりと割っていく。


そしてあらかた見える状態になると「おお」っという声が食堂内にあがる。


…………コイツの評判は悪くないようだ、が……


なんで君ら、表面が真っ赤な苺は駄目で、中が真っ赤な西瓜はいいのか!


俺か?俺の感覚がおかしいのか?


まあ考えてみると日本にいたときですら、変人扱いはよくされたけどさ……


いちいち反応してもいつまでも食わせられないので、つぎつぎと果物たちを切っていく。


切り分けてて、西瓜以外に反応がよかったのはパイナップルだ。


外の見た目の悪さからは予想できないほど、中は鮮烈な黄色の果肉だからか。


他人がそういう反応を見せると、なんとなく見直してしまうよな……


普段はなんかわかった気になって注意して見もしないのに、今更ながら確かに綺麗な透明さを持った黄色だと思う。


再発見ってやつだ。


すまなかった、パイナップル。


俺はずっとパイン缶詰とあの輪切りの形のアイスぐらいしか、君に関わるものを食って無かったよ……


だって、酵素っていうのか? あの後に残るピリピリ感が好きじゃなかったんだ……





切り分けられて、それぞれの前に置かれたフルーツたち。


でも、試食会ってよりも……なんだろうなこの雰囲気は。


纏め役はどうどうと。


補佐役は焦燥と。


元商会代表はひとつずつ手にとって眺めてるし。


あの母娘の母親はオロオロしてる。


サラはクンクン匂いをかいで、興奮してるみたいだ。


君は俺の期待を裏切らないめっちゃ良い娘だ。


クレイアは食べるというよりも芸術作品を鑑賞するように見ている。


ティーは既に西瓜を手に持ってスタンバってる。


お前は西瓜のどこがそんなに気に入ったんだよ!とつっこみたくなるんだが。



「よーし、では食べてください。あ、個人的なおすすめはこの赤いのだから」


と言って、苺を指差す。


その言葉に対する肯定的な反応はやはり薄い……


なんで異世界まで来て不遇な扱いを受けるんだ。苺は。


まるで俺のようではないか。


しかしだからこそ俺だけは君を裏切らないっ!





 


今日は午後からちょっと用事で出かける必要があったので、


捻りを特に入れていない、まさしく殴り書きです。


もっともこの方が多くの人には気楽に読みやすいとは思いますけど。


まあ当然ただはしゃいでるように見せかけて、


今後の領地経営時の食糧問題の伏線になっているのです。



いいネタと思うものを苦しみぬいて生み出しても誰にもウケず、適当にやったら大ウケした。


人生ってそんなことが多いよね( ̄Д ̄;;


だが、無駄なとこに凝ることをやめるつもりはないの!

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