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第8話 格闘

 

 

 

「坊主、見ない顔だな。なんだその貧相な身体は。魔法使いか? にしてはローブも着てないじゃないか」


「いやー、アハハ、色々ありまして。それはもう色々」


「まあ細かいことはいいやな。ダンジョンエクスピへようこそ。歓迎するぜ」


「ありがとうございます。頑張ります」




いやー、まさかケンシ○ウを予想外に気に入った幼女神様が、格闘家のクラスを与えてくださって、更には鍛え上げるためにダンジョンまで送ってくれるとか、なんという急展開。


以下はその時の状況のダイジェスト




「ハート様も悪くないですよ? あのたっぷりの贅肉でなんと衝撃無効のスキルもつきますし」


にへらっっと笑いながら言葉の追撃をする。


単純に太ることを悪く言うのではなく、あえて捻って良くいうことで攻撃力を倍増する。


この妙味。元来の性格の悪さをコアとして、その本能から迸る予測不能な攻撃を仕掛けるまさに無想技。


並みの者には真似できまい。



「ハート様絶対ヤッ!」



そして話はケンシ○ウのかっこよさへと移り、



「かの者の技と同じレベルの技を再現するにはせめてスペシャルランク程の格闘家のクラスを持っていないと無理ではないかと思われます。」


「えい!」


「あがががが、ままたですかががが、シビシビれないようには、出来ななななな」


「できる~けどつまんない~」



んで、ダンジョンへ送ってもらったときは


「実はうちの村の周りの低レベルの魔物の出る土地は全て村長一派の管理下にありまして、無断で狩りにいくと処罰されます。それ以外の魔物の出る場所は強すぎて自殺しにいくようなものです。よって強くなろうとしても手段が無いのです……」


「大変なの?」


「まさしく四面楚歌です。いや、どちらかというと八方塞がりの方が爺めの状況を言い表すにはあっているかと」


「じゃあ狩りにいくのにお姉ちゃんがいつも居るダンジョンを使えばいいよ。今送ってあげる~」



んで用意も出来ず飛ばされて、ダイジェストここまで。




飛ばされてはみたものの、これどうやって帰ればいいんだ?


無一文だしヤバいよね? 俺……



とりあえず今居るのは、帰還用の魔法陣型ポータルの前。


おそらくダンジョンへ外から来る人間やダンジョンから帰ってくる人間用の目標地点として設置されているものだ。



そして目の前には小規模の街とも言える程の建物の群れが広がっている。


その周りには城壁というには大げさだが、柵というには立派過ぎる日干し煉瓦製と思われる囲いが見える。



「おお、これってあのダンジョンゲームにちょびっと似てないか。もしかしてボッタクリな商店とかあったりして」


とりあえず帰還に関してはじたばたしてもはじまらないし、幼女神様が呼び戻しをしてくれるのを期待しておこう。なんにせよ今は金策の情報集めに街の散策といきましょか。


んじゃ、まずは手始めにあの見るからに道具屋ですって感じの看板を出しているお店を覗いたりしてきちゃおうか~



ふむふむ、なるほど。「セーラ道具店」かあ。


いかにも美人で綺麗なお姉さまが店主ってな雰囲気の名前ですね。賞味期限切れの可能性もありますが。


それならまだしも筋肉ムキムキで髭もじゃのオッサンが店主だったら俺は泣ける自信がある!


どれ、店内をちらっと覗いてみましょう。チラっとね。


おおおっ。


上品な感じにまとめられた店内のカウンターに座るは、


プラチナブロンドの髪に美しく優しそうな眼差し。少し落し気味の眼鏡が知的さをかもし出し、胸は少なくとも平均以上はあるように見える、エルフにすら負けないほどの美人なお姉さんではないですか



これは反則だろう!と叫びたい。良い意味で。


って、こっち見た!


うわっ、微笑んだ……



…………女神様だ……本当の女神様がこんなところに降臨していたとは。


今の俺の顔は傍から見れば茹蛸のように真っ赤に染まっていることだろう。



決めたっ! 俺はこの道具店に毎日通うことにするぜ!


我ながら男は単純だなと思った瞬間であった。





 


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