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第79話 胡散

 

 

 

インスタント試食会のメンバーを適当に揃えて、ぜひうちでとか言い出した纏め役の屋敷へといく。


纏め役の屋敷は、小さくはないが大きくも無く、一見綺麗そうには見えるが結構な年代物のようだ。


どうもけしからんことにメイドさんが数名いるようで。


ほんとけしからん……とは思ったが、実際にはおばさんだったし、


これも雇用対策の一環なんだろう。


纏め役はなんかよくわからん役職についてるみたい。


偉そうな奴等が視察しにきたときには対応しなくちゃいけないらしく、まあ色々無駄に人を雇う事情があるってことだ。



で、メンバーの構成だが、まずティーとクレイア含めたエルフ数名、纏め役と補佐役、元商会代表、わんこサラと、あと個人的に好感度高めなここにきて一番最初に関わったあの母娘である。


母娘は途中で姿を見かけたので強引に誘ってしまったのだが。


「わたしなんかが……」とか言って遠慮しようとしてたが、まあまあを連呼して無理に連れてきた。


個人的にこういう遠慮深い人らには、幸せになってもらいたい!という想いがあるからね。


結果的にそうなるかはまた別問題なのが現実の厳しさだが。





食堂について、俺はとりあえず候補となりそうな適当な果物を異次元バッグから取り出す。


苺、みかん、デコポン、柿、パイナップル、キウイ、ブドウ、西瓜、メロン、バナナ、桃など。


一部日本産ではないものもあるが気にしないで。



んで補佐役が苺を指差して、口を開くやいなや、


「これは……毒の実ですね?」とか言い出すし。


……違うっちゅーの!


何でお前らは苺ちゃんを毒の実にしたがるの!


苺にちゃん付けとかキモイと思われるかもしれないが、今はそう言う気分なんだ。


これは多分、あまりにも迫害されている苺に対する保護意欲のあらわれなんだと思う。


うん。


というか、補佐役ー、お前何で震えてるんだよっ!


毒の実を食べさせられるとでも思ってるのか!


いや、確かに無理やりにでも食わせる予定だけどさ……





「さて、これより試食会を開催する! これらをいまから切り分けるので各自に配って欲しい」


俺に言われたメイドさんが丁寧に礼を返す。


その仕草は非常に品よく洗練されたもので……


さっきはおばさんとか言って悪かった……と思ってしまう。


今度からはご婦人と呼ぼう。



そしていよいよ包丁で切り分けようとしたときに、補佐役からの「ちょっとまってください!」の声がかかる。



「どうか……したのか?」


「あの、そもそもこれらはどこで採れるものなんでしょうか? 少なくともその中のどれひとつとして僕は見たことも食べたこともないのですが……」


食堂にいる全員がシーンと静まり返る。


つまり、俺以外の全員が同じ意見だということだろう。



「……………………」


(……そりゃあさ……考えてみればわかるけど、自分らがまったく知らない果物とかバラバラ出されて食ってみろよとか言われたら……普通躊躇するわな。一種類ならまだしもこんな何種類も。どこに生息してた植物なんだよと、つっこみたくなるのもわかるわ……)



「……………………」


(なんか地味にヤバイ展開? どんなことを言っても胡散臭くしか言い訳出来ないんじゃないか、この状況は…………なにかないか、なにかないか、なにかないか、なにかないか、なにかないか、なにかないか)



「救世主様?」


(纏め役は焦らせないで! あああー、無い、無ーい、何も無ーい! もういいや、ネタ交じりの適当で……)



「これらは……グルメ界に浮かぶ神の島。ジャポンと呼ばれる場所で採れる神の食する果物である!」



とりあえず無意味にドヤ顔でデタラメを言い切った!





 


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