第76話 結論
「ドラゴンとかはどうなるんだ?」
「あれは種族の格が元々違うわ。でも生殖能力はエルフよりも極端に落ちてるはずよ」
「そうか、ドラゴンも少なくとも生殖能力が高い人間に勝てている、とも言えないからな」
「人間を根絶やしに動けばドラゴンたちが勝つわ。でも協調性に欠けるから無理ね」
「ふーむ……」
(ということは、今までの話をまとめてみると……)
「んー、つまり人間は再生能力の瞬発力に優れているが、永続維持性に欠け、寿命が短く、生殖能力が高い。逆にエルフは、再生能力の瞬発力がないが、永続維持に力が偏り、寿命が長く、生殖能力が低い。そういうことだな」
「そんなものね。しかし貴方、随分頭の方に能力が偏ってるんじゃない?」
「ん?」
「切れ過ぎる刃物は敬遠されるってことよ……」
「ああ、特に問題は無い。リスクとリターンを把握しておけばな」
「そう……そう言えば、他にも色々能力があるものね~ 困りはしないでしょうし、非常識だわ~」
ティーとの会話でとりあえず、知りたいことは大体わかった。
結論としては、人間は根本的にその場しのぎや特定部位、それ以外の再生能力を殆ど持っていないということだ。
ということは、治療しても再生しているようで再生していない部分がある。
いや、再生していると勘違いをしている部分があるのか。
色んな意味で、治癒術だけでは本質的部分は再生はしていないんだ。
それなのにただ一般的な治療行為によって、欠損部分ですら再生することをつい夢見てしまう……
人間の殆どが、大きな欠損が再生なんてするはずがないのに、つい願ってしまう……
────それもそうか。
そもそも俺は、いや人間はほぼ全員がだが、
元々、傷が再生する本質的な仕組みについて────
────何一つわかってなんていないんだから。
これはつまり、欠損再生についてわずかも取っ掛かりがない者が考えると、
例え医学的な見地から考えてみても、無理としか言えない。
無理であれば……はかない希望や願いが入り混じった結論にしかなりえない。
つまるところ────無理なことを成そうとするピエロにしかなれない────
「随分考え込んでるみたいだけど……」
「……すまん」
「どう? 考えは纏まったかしら?」
「ああ、一応な」
「そう。聞かせて貰えるかしら、あなたが考え出した結論を?」
「…………人間は大きな欠損の再生はしない。むしろ再生していない。それが結論だ」
「やっぱりね。……そうなると思った」
「あの、わたしのお母さんもそのテーマには取り組んでいて……」
「へえ、そうなのか?」
「でも成功はしなかったみたいです……」
「ふむ……」
「そうよ、実際に人間が腕を失って、その後ににょっきり生えてきたなんて事例は……歴史上どこにもないのよ……」
俺はクレイアに抱かれているサラの表情を見る。
そこには悲しみの表情はないが、嬉しさの感情も見当たらない。
そう…………無表情だ。
無言でクレイアの前に立ち、ジェスチャーだけでゆっくりとサラを受け取る。
そうしてしばし、彼女の体温を感じながら穏やかに抱きしめるのだ。
「あっ、あの、ごめんなさい、わたし無神経なこと言っちゃって!」
「わたしもそうね……反省するわ」
「気を使ってもらってるところにすまないが、ちょっとばかり勘違いされてるみたいだな……」
「え?」
「……」
「俺はまだ一言も────無理だなんて言ってないぜ?」
( ・∀・)「だが、出来るとも言ってない!」
(;‘Д‘)
(´゜Д゜`)ェェェッッッ!
あ、作者です。
今回は人気のなさそうなシリアス回でした。
蛇足なこのコメは後で削除するかも?
で、この小説もそろそろ書きはじめて一ヶ月ちかく。
お気に入りが5000突破。
評価が14000突破。
累計ランキングでも100位にちょっとだけ顔を出しました。
こう書いてると終わりっぽいけどまだまだ続きます。
しっかし、HDDの値段は下がらないな。はあ。




