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第74話 払拭

 

 

 


「わたしのお母さんも治癒師だったんです……それで……取り乱してしまって……すみません……」


「ああ、わかってる。さっき誰かが言ってた、メリアサーラ様って人がそうなんだろ」


「はい……」


「メリアはわたしの親友のひとりなのよ? ただでさえ少ない治癒師なのに腕も良くて、性格も良くて、皆に好かれていたの」


「ふむ……」


(つい、「あんたと違ってか」と空気読まずに突っ込み入れそうになったぜ。危ねえー、セーフ、セーフッ!)



「お母さん、もう居なくて……それで……ごめんなさい……」


(うわあああ、俺はこういう雰囲気は苦手だあああ、誰かヘルプ!)



「俺は気にしてないよ。それよりさ、せっかく傷も殆ど消えて綺麗になったんだ。そんな泣き顔は似合わないって」


「はい……」


その表情にちょっとだけ微笑を見せて俺に向いたクレイアには一瞬ドキッとしたが────それはそれとして、ずっと聞きたいと思っていた、聞かなくてはならないことを話題に出してみる。


この空気から逃げるという目的も多少あるのは認めざるをえないけど。



「ところでさ、エルフの皆は治癒すると殆ど傷が残らないんだな。これってどうなってるんだ? かなり深い傷跡だったのにサラとかと比べると明らかに綺麗に治ってるし」


「あら、いいことに気づいたわね。さすがわたしの未来の息子なだけあるわ!」


一瞬ティーが何を言ってるのかわからなかったが。


クレイアがティーの娘分ということだから、まあ、そういうことが言いたいんだろう。


お約束だな、一言多いのが。


それでも、まだ多少残ってる空気を吹き飛ばすには丁度いい。



「クレイア、これ使ってくれ」


「あ……ありがとうございます……」


ハリセンを出してクレイアへと渡した俺。


直後、ティーの後頭部からスパーンという音が響き渡る。



「いたー……くはないけど……ちょっと心にダメージが来るわよね、これって……」


「確かにな……」


「うふふっ……天罰です」





「それで、わたしたちが傷が残らない理由だったわよね……知りたいのは?」


「ん~、実を言うと欠損再生系の魔法の開発の手がかりが欲しいんだよ。この娘の治療のヒントになればいいと思ってね」


「なるほどね~、この子の治療の為なのね。やっさしいんだから~、このこの!」


わざわざ俺のそばまできて、肘をグイグイと押し付けてくるティー。



「いや、ちょっと痛いから!」


「ティティーリア様! 彼が痛がってます、もうやめてください!」


「あらあら、クレイアったらもう若奥様ぶってるわ! もう~」


からかいの言葉を不意に言われて意識してしまったのか。


クレイアの顔が瞬時に真っ赤になる。


そして当然その後は反撃が……めちゃくちゃにクレイアに振られるハリセンをティーは全て軽やかに回避しまくる。


その様子を見ていると先ほど当たったのは、雰囲気を読んでわざとかわさなかったようだ。


しかしまあ……



「はあ……話しが進まない……」





「ごめんなさい!」


「わたしは悪くないわよ?」


俺へと差し出される、根元が微妙に傷んだハリセン。


どうでもいいものだけど。



「それはいいから、そそそろ本題の方を頼む……」


「でもね~、これってエルフ族のみの秘密みたいなものなのよ。ちょっと考えるわ~」


「うーん、それなら無理にとは言わないが」


「でも~交換条件よ? この衣装のキャラのキメ台詞とかをもっと教えてくれるなら教えてあげてもいいわ!」


「あー、結局、そういう方向で来たのね……」


(そこまで内容覚えてないんだけど、一応あの漫画はバラで数冊はあるんだよな。後でキメ台詞だけ書き出すか。他にも色んな本が数百冊は祈りで出てきたが……セットで出てこないのが一気読みしにくくて微妙すぎる!)





 


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