第58話 駄目
女性の好みはわからないものである。
いつの時代も女性は神秘だ。
昔のプレイボーイにこんな感じの臭いコピーが載ってた気がする。
キルバ○ンのコスプレ衣装を着た、推定年齢千五百歳のエルフの女性は今俺の横で上機嫌で鎌を振り回している……
「危ないんで振り回さないでください!」
「キミはどうしても生かしておけない人間だとボクの直感が教えているっ!」
「それさっき俺が教えたキメ台詞だから!」
「さ~いこう~」
駄目だコイツ、早く何とかしないと……
何故にこうも俺の周りにはまともな奴が少ないのか。
なんとなく言ってみたかっただけのセリフは置いておき。
キル○ーンの衣装をえらく気に入ったエルフのばっちゃは、さっきから突き抜けたようなハイテンションを見せている。
特に肩に乗せたぬいぐるみがお気に入りだ。
そのピロロこそ本当の正体!
とか教えてもいいんだけど、どうもそれも怪しいよな。
個人的にアレは嘘だと思ってる。
あれは身代わりでヤツはまだ生きてるんだ……うわっ、厨二臭い。
非常識なバトル漫画ほど誰も死なない率って高いよね?
有名な民明書房のとか。
「それにしても、貴方は錬金術師のうえに治癒師なのですね。素晴らしいわ……」
「いやー、あっはっは、それほどでも…………」
「いえ、本当……そんなレアクラスを二つも持ってるなんてありえないこと……あるわけないじゃないですか………」
「いやいや、俺の首に鎌をかけて話しかけるのやめてくれません?」
「さあ吐くんだ! 貴方は何者ですか?」
「むしろ貴方こそ何者ですかって……」
「もう、乙女の秘密を知りたいなんて無粋な方ですね?」
「千五百歳で乙女って……プッ」
「あらあら、貴方今すぐ死にたいのかしら……?」
「長!」
「あら? クレイア?」
「長! またなんて格好を!」
「ダニィー~、元気だった?」
「これは……いつもよりも更に酷い格好に……」
「相変わらず失礼ね~、ビルも。最高じゃないのよ、この衣装はあ~」
「大変だ! 長の病状が悪化しているぞ!」
このお茶目エルフを連れて他のエルフの檻の前を通ったら、
今まで何も話さなかった、だんまりエルフ達がウルサイのなんの。
しかしなんだ、コイツは長老か。
話しからすると、どうも普段からこの調子らしいな。
敬われてるんだか、呆れられてるんだか、わからない反応です。
「救世主様! ご無事ですか!」
「なっ、なんだ!」
「あああっ! 悪魔だ!」
「死神だっ!」
「は……早く助けに!」
(また面倒な時に街の人らが来るし……)
「ハハハッ! 面白いですよォ 死に瀕した時の人間の表情は……!」
(おま……駄目だコイツ。いや全員駄目だ……早く何とかしないと……)




