第48話 拘束
「わたしの家には後ろめたいものなど何も無いぞ。存分に探してくれ」
自信満々に告げるこの爺さん。
コイツはこの街の次席だという。
つまり纏め役の人の次の実力者だ。
俺はこいつが最初からなんとなく嫌いだった。
「ふっふっふ、どうです? 我が家の自慢の居間は。美しいでしょう?」
(なんとまあ、成金趣味のくだらない部屋だ……)
場所を移動する度に自分の言葉に酔いしれるような自慢話ばかりを口にするコイツ。
同行する人たちも最初のうちこそ豪華な内装に驚いていたが、次第に目付きに険が見られるようになり、拳を強く握って殴りかかろうとするのを抑える様まで見受けられる。
しかし流石に贅沢をしているという理由だけで体罰を加えたり、牢屋に入れることは出来ない。
あくまで普通の人間は。
(ここはもう難癖をつけてでもこいつを陥れてしまおうか。ここの財産があれば街の皆も多少は助かるだろうし)
俺が物騒なことを考えている間も、部屋巡りはどんどんと進んでいく。
「どうです! この氷の魔力を持った両手剣は。この素晴らしい色艶、風格、気品、まるで私の姿のようです!」
(お前が持っても使いこなせないだろうがな……豚に真珠とはこのこと……)
確かにモノとしてはよさそうな剣、アイスソードと言うらしき両手剣を持ってうっとりとする爺さん。
少し、いや、もの凄く気持ち悪い。
しかしここが最後の部屋のようなのだけれど、結局何も不審なものは見受けられなかった。
無駄に豪華な内装品以外は。
(う~ん。どういった感じで仕掛けるか。もう神に祝福された人はコイツに殺されていて、霊として話しかけてきたという筋書きにでもするか? なんというかもう、さっさとこの成金ジジイ殺しちゃって氷の両手剣奪い取っちゃってもよくないか?)
そんな冗談を含めたことをつらつらと悪巧みしていた時に幼女神様から念話が届く。
《お兄ちゃん、この下に人の気配がいっぱいするよっ~!》
《幼女神様、ナイスフォローです!》
とりあえず俺はいきなりこの下を調べようとする前に、纏め役を呼んでヒソヒソと耳打ちする。
「なるほど、わかりました。お任せください」
一礼して部屋の外へと向かう纏め役の人。
しばらくすると他を捜索していた若い人間を数人引き連れてやってきて────
おもむろに次席の爺さんを拘束した。
「な なにをする きさまらー!」
「すみませんが、ここを確認するまで大人しくしていてください」
そう言って、俺は自分の下をクイクィッっと指差す。
途端に顔色の悪くなる次席とやらのジジイ。
(不利な証拠が出たら何かつまらないことをやらかすと思ったから最初に拘束してみたが、ふん……やはり何かあるな……)
「必ずこの下へ続く隠し通路や入り口があります。全力で探してください!」
先ほどから10人体制で辺りを探しているのだがいまだ下へと行く手段や手がかりは見つからない。
「どれだけ探してもそんなものはないっ、早く放せっ!」
汚くわめく次席の爺さん。
まだ放すわけがないだろうに。
しばらく部屋の中を無心で眺めていると、
金色の先行者のようなデザインの置物、
キッチリと台座に固定されたそれの────
────〈アレ〉の部分が妙に輝いているのが見えた。
(あからさまに怪しいな、これは)
ゆっくりと笑顔でその金色の置物に近づく俺。
勿論、爺さんの顔色を覗き見しながらだ。
俺の勘の通り、その顔色は一瞬にして悪くなっていった。
「や、やめろー!」
(アホだ、このジジイ……もうバレバレだよ……)
爺さんが叫ぶのも無視して、おもむろにそのアレを掴んで手前へと引っ張る。
途端に壁面に設置されていた本棚が動き出し、地下への階段が出現した。
「さあ皆さん、まいりましょうか────」
今日はこれでおしまいです。
少し忙しくなってきたので、多分ですが数日は2話更新になると思います。
その分、少し内容は濃くなっているかも?




