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第44話 停止

 

 

 


「ちょっ、一気に来るなって!」



いやー、忘れてたけど、猿って強いのよ。


元の世界の猿でもチンパンジーの握力は200キロ、


ゴリラは強いと500キロあるらしいし。


さらには1トンを超えるというデータもあるという話だ。


興奮状態のときにね。


理性がないから火事場のクソ力も出しやすいのかもしれない。


って、やってる場合じゃなくて。



巨大広場の敵全部がリンクして襲ってくるとか!



「このダンジョン、バランス悪すぎだろおおおーーーー!」





「疲れた。マジ疲れたよ、ままん」



猿は結構強かった。


感じとしては多分エクスピの方の6~7階ぐらいに相当する敵なんじゃないかな~と思えるぐらい。


30分ほど走り回りながら倒しまくったが、身体の感覚からレベルが少しあがった気もする。


ようやく猿が襲ってこないほど倒しつくせた。


〈フレイムピラー〉の魔法もそうそうに封印解除して使いまくった。


何故かコイツラは、時々だがフリーズしたようにいきなり立ち止まったり、動かなくなる。


理由はわからないが絶好の攻撃チャンスなのでそういう時に〈フレイムピラー〉をぶちこむわけだ。


こいつらの正式名称は知らないが、とりあえず〈フリーズモンキー〉とでも名付けておくか。



しっかし──このダンジョン駄目ダメすぎ──



1階は雑魚というかゴミレベルの敵だし。経験にすらもならない。


2階は急激に強くなって、更には全部が一気に襲ってくる駄目仕様。


これじゃあ普通の人や低レベルの探索者はみんな即死する。


しかも数匹程度倒してもすぐ補充されるほど湧きが早い。


おまけに倒した猿の核は別の猿がカスめていくという……



これはこのダンジョンが寂れるのもわかるわー……特に最後の理由でさ。



あ、また数十匹湧いた。





うーん。


猿は最初はいやらしい敵だったが、慣れればなんということもない感じで狩れるようではある。


とにかく最初の群がる時さえ凌げば、その後は湧きだす分だけ狩れれば問題は無い。


もっとも──最初が凌げる実力があれば、他のダンジョンで狩るほうがまだマシなのだろうが。



ここ最近はずっと自分よりも背丈の小さい魔物相手ばかりだったので必然的に蹴りのみを使って、パンチは使う機会が殆ど無かった。


そこで、上半身も鍛えておくいい機会だと思い、ある程度適当に身体慣らしもかねて全身をフルに動かすような戦い方を意識的にし続けた。


おかげで身体全体の運動性が一皮向けたようで、何かひとつ壁を突き抜けた気分である。


特に猿たちが立ち止まった瞬間に、流れるように間を縫って身体を揺らすようにパンチを次々打ち込む技は楽しい。



核も殆どこちびが回収してくれたし、終わってみればさほど悪くもない狩りだったな。


さて、帰ろうか。





「何だ? 外が騒がしいな」



そう────


猿との狩りに集中し過ぎて、


俺は戦いの直前にあったことなどすっかり失念していたので、不用意に外を覗いてしまったのだ。



「げ……」





 


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