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第42話 廃墟

 

 

 


「……ダンジョンエムイーへ……ようこそ……ゆっくりしていってください……」


「あ……はい……」


(大丈夫か、この人、今にも死にそうだぞ……)



なんというか、話がまったくわからないのだが。


とりあえずわかってることとしては、ここには幼女神様の従姉妹のおねえさんがいるらしい。


それで有無を言わさず連れられてきたんだが──



しかしなんだろう、この寂れ具合は。


エクスピの方のダンジョン街は、不満点が無いと言えば確実に嘘となるんだが、平均点より上かというと、渋りながら上と答えるぐらいの街ではあった。


しかしここは…………既に廃墟のようではないか…………



《あるくの~!》


《あ、ああ。わかりました。幼女神様》



(まあここに住むわけでもないし、どうでもいいか。ダンジョンがあって、魔物が居て、核を落とせばそれでなんとかなる。ギルドは……買取をやってることを祈ろう……)



《酷いな……》


《うん……》



あまりにも酷い街の様相に心なしか幼女神様もテンションが低い。


人々の視線も、昔のオレというより、単なる飢えた貧民だ。


昔の世界での、領主に搾り取られて反抗すら出来ない民の群れ。そんな感じであるわけで。





「ゴホッ」


「けほ」


少し離れた道端に座るホームレスと思われる親子が2人揃って咳をしている。


別に「お恵みを」というサインでもなく、本当に具合は悪そう……



《う~ん、居心地悪いな、無視していくのも》


《どうすゆの~?》



(ここで俺が何かしても、一時的だからなあ……)



中には……助けたあと、ひたすら媚びてきて、俺にすがってきて、


あげく「最後まで責任取れないなら助けるな」とか言われて。


そうやって元々親切な人たちも優しい心を削り取られていく。


他人を利用する気しか持っていない寄生虫に関わればそうなるのも当たり前。


そんな悪循環にはまり込む気は更々ない。



とはいえ、人の心をしっかりと持ち続けている者も当然それなりには存在する。


そのような人を助けられれば、またこちらが困っているときにも助けてくれる、あるいは生涯の友人になることもある。


しかし寄生虫と善人の見極めは難しく、そんな事が最初から出来れば、人の世の中はもっとマシになっている。


それゆえに、その大事な人となる可能性を逃さないためにも、最初は広く浅くでもいいから関わって、というか狙って浅く関わって、帰ってくる反応を見て今後も関わる価値があるか見極めるのが最善。


何も返さないで「もっともっと」と言い出す奴は切り捨てるに限る。


例え寄生虫の立場を望む人たちから偽善者と罵倒されようともね。





母親に抱かれている小さな女の子は、ひっきりなしに小さな咳をし続けている。



(ちょっと酷いな。とりあえず声をかけてみるか……)



「大丈夫ですか。お子さん、咳が酷いようですけど……」


「あ、はい……」


(うーん、なんか反応が……もう子供と一緒に死ぬのを待っているかのよう……)



「これ、少しですが食料です」


俺はおねーさんの異次元バッグから出した果物や干し肉等を手渡す──



「あ、ありがとうございます、助かります……」


(態度もあくまで控えめ、すがりつく気も無しか。善人っぽいが、その清さがこんな立場をまねいた可能性も捨てきれないよな)



まあそれはともかく、子供の方の咳が酷すぎる……


手持ちの錬金術のスキルで作った廉価ポーションぐらいなら使ってもいいか?


この咳に関しても体力が回復すれば治る風邪程度が原因である場合も多いはずだから。



「けほっ、ごほっっっ!!!!」


「ああっ!」


(うわああ、女の子が血を吐いたあああああ!)



「つっ! かして!────百の神の慈悲と千の眷属の業が我が手に宿る。〈マイナーヒール〉」


神聖な雰囲気の光を帯びた俺の右手から、治癒の力が女の子へと流れ出していく。


次第に安らいだ表情へと変化していく女の子。


しかしその光はここのみならず、外へも漏れていて────





ざわ……ざわ……ざわ……


「治癒術だ……」


「……治癒師さまだ……」




「って、ああーーーーっ! しまったあああっ!」


「つい〈マイナーヒール〉使っちまったああああああああ!」





 


今日は体調がいまいちなので2話で終わりです。


熱いお風呂に入ってゆっくり休みます。


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