第38話 火柱
「〈錬金〉!」
錬金術師関係の本は入手しづらく、研究しにくいんだけど、まあ適当に勘だけで手探りしつつ頑張ってはいる。
あの特に二次創作が多い某小説の知識はかなり使える。うん。
やっぱまずは青銅だよなー。
青銅っていっても実際には薄金色のピカピカなんだが。教科書に紹介されてるような緑青がびっちりついた青緑色ではなく。
誤解してる人が多いけどね。
ま、色は含有率によって変わるんだけど。金以外にも白銀色とか銅色に。
こちらも誤解してる人が多いが、青銅は実際には精錬具合が緩い鉄よりも比較的強い。
そういうわけでお手軽な武器作成用の素材としては重宝すると言うわけだ。
俺は今、ノンアクティブ狩場であるラージバニーのいる2階で魔法の使いまくり、試し撃ちとMP限界の把握をしている。
先ほどの錬金もその一部。
試してみたが、青銅と鉄、銀までは錬金出来る。
鉄は前にも錬金していて〈ヒートロッド〉の素材もこれである。
青銅はちょっと耐熱性に不安があるから熱ギミック内蔵装備には使えないね~
銀はまだいまいち何か手ごたえに違和感が生じる。
なので一度には非常に少量で、かつ不純物の多いものしかできていないみたい。
これもレベル上げたら大量に作り出せるようになるのかな~
そしていずれは錬金の名の通り、金をつくり出せるようになってウッハウハ。
いや~、楽しみだな。
さて、次は攻撃魔法でも試してみるか。
「くーん」
「我に流れる灼熱の血よ、怨敵を葬る飛礫らとして顕現せよ〈ファイアブリット〉!」
その数も100個以上。
眼前に浮き上がるように出現した、パチンコ玉、いやビー球程度の大きさの緋色の弾が詠唱終了と共にラージバニー5匹の群れに襲い掛かる。
「うお、すげえ。穴ぼこあきまくりのぼっこぼっこだし」
あのY字型のパチンコで打たれた程度の速さで放たれたその弾は、目標とされてしまった全ての魔物の体表面にショットガンを撃たれた痕のような様相をつくりだした。
(さすが攻撃魔法。魔法使いが攻撃力だけはトップクラスと言われるのも肯ける。防御力にはつっこまない方針で。うん、つっこんじゃあいけないんだ)
「さて、次はと……あれを試すか」
教師のクラスで強化された記憶力、というより想起力によって思い出せた、そう、まだ両親との距離も疎遠でなかったあの頃に寝物語で聞かせてもらった、英雄譚に出てきた女魔法使いがもっとも得意とした攻撃魔法の呪文を口にする。
「絡み合う原初の伏と女の神々よ、我に仇なす敵たちに百度の滅びを与えたまえ────〈フレイムピラー〉!」
安全マージンをとってかなり遠くの群れに向かい、力んで放たれたそれ。
俺にとっても思い出深いその魔法は──
縄をピンと張ったような、ふたつの火柱がDNAのように捻りあいながら──
的となったラージバニーの群れ全体を包むような巨大な柱となって一瞬のうちに焼き尽くす。
そしてそれにあきたらず、
おそらくは過去の魔法使いたちの力によって阿頼耶識に刻まれた魔術イメージ補正によって、
俺のイメージを更に更に超えて、物質世界に溢れ出る攻撃力となって止められない勢いで乱れ狂う。
何度も何度も何度も。
最初の狙いの地点を中心に、幾本もの火柱が荒れ狂い、
それはいくつものラージバニーの群れを巻き込み、灰塵へと化させて────
さながら、大灼熱地獄のような光景が展開される。
「ちょ……、これはまったくシャレにならない……」
「みゅ~」
「く~ん」




