第37話 遊戯
広間に近く、階段への道と分離している狩場。
これが俺の事前調査で選んだ場所だ。
深部からの狩りから戻ってくるものとかち合いにくいように。
「ここが今日からお前らの狩場だ」
「ここが?」
「ああ。ジル、いや汁とカフェ、手伝え」
そういって持ってきた荷物、布で包んだ────ちょうどゴルフバッグに近い形状の荷物を解く。
布を剥いだ中からは、大小さまざまな大きさの棒、いやパイプがでてくる。
(それにしても、名前を言い直したことにつっこまれないとは、これも教育のたまものだな~)
さて、これらのパイプ。
スライム駆除に特化した、俺の苦心の研究の成果!
その名も〈ヒートロッド〉、いや〈ヒートパイプ〉である。
この武器の発想のヒントは、
誰もが一度はやったことがあるであろう行為。
粘土にストローをぶっ刺す、あれ。
何度も何度もぶっ刺すと、粘土の表面が荒れまくって、見るも無残な姿になるヤツだ。
俺は比較的太目の、年長者用の攻撃力が強いものを選んでふたりに渡し、
「よし、その柄の部分を持って、先端をスライムにぶっ刺す。ブスっとな」
「えっと…………わかりました」
「刺しました」
「何度も何度も刺せ」
納得いかない様子ながらも、何度も言われたように刺しているふたり。
しかし数十度も繰り返し、スライム表面が荒れてくると要領を得たのかガスガス、ガスガスと熱心に刺しまくる。
時々斜めに突き入れて削り取ったり、捻ったり、体重をかけたりして創意工夫をしている様子も見られている。
ほどなく、あの幼き頃に良くみた荒れ果てた粘土の表面のようになったスライムだった残骸と────
それと反比例して得意げな顔をしている汁とカフェ。
スライムがクラッシュゼリーみたいになってるし……
しかし思ってたよりもうまくいった感じがする。
刺した部分がめちゃくちゃでどうやっても再生不能といった具合。
何しろ、指した部分の中の組織がその他と隔離されるからな。
こういう傷は人間でも再生しにくい。
「よおし、皆、ふたりがやってるところは見たな。こいつを配るから同じようにやってみろ。攻撃されないように注意しろよ!」
いつもより数倍早く倒されていくスライムたち。
魔灯で照らされる子供たちの顔には、最初の、広間以外に連れ出したときの怯えはもう見当たらない。
むしろ粘土のストローめった刺しを楽しんですらいるような。
って、楽しんでるよなー、どう見ても……
──まあ対スライム武器としてはベストではない。それは俺もわかっている。
だが、ベターではあるのではないだろうか。
一撃で狩れたら、訓練も兼ねたものとしてはふさわしくないしな。
奥の手の〈焼きストロー機能〉は、しばらくは内緒にしておこう……




