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第36話 心傷

 

 

 


「最近おかしいよな……」



何がおかしいかと言うと、昨日魔道具の基礎を理解したと思ったらあっさり魔灯が出来てしまったのだ。


しかも市販品よりも数段、能力も見た目も上等なものが。


耐熱布なんて必要なかったわ。丸い棒に巻きつけて固定しただけで出来た。


魔道具屋で一度実演してもらった魔灯より3倍ぐらい明るいし。


更に見た目は、こんな感じのがセンスいいかな~とか言いながら細工してたらイメージ以上のものができた。


能力は錬金術師の理解力と技術、見た目は細工師や鍛冶師の匠の技。


レベルを上げれば能力がついてくるのはわかるが、あっさりと出来るとなんというかピンとこない、納得できない部分がある。


俺の色んな過去の努力はなんだったのか、と。


まあそれはいい。まだクラスの恩恵で理解できるから。


更におかしいのはエルフの髪の毛じゃなく俺の髪の毛で作ってるのに、オリジナルより能力が高いってことだ。


思うに、エルフの髪の毛はエルフそのものが魔法のセンスが高く、髪の毛の魔力の伝導率も高いのだろう。


ということはだ、エルフではなくランクの高い魔法使いの髪の毛でも代用できるってことだ。


そして本に載ってる通りに作ってるのに、俺の魔灯がオリジナルの光量を超えるってことは、エルフの髪の毛よりも俺の髪の毛の方が魔力の伝導率に勝ってるってこと。


魔道具屋で見たものが同じ機構ともエルフの髪の毛が使われてるとも限らないが。



で──つまり俺の魔法使いのランクは相当高いって予想にたどりつく。


そういえば最近は〈ライト〉が異様に眩しくなったんで調整しながらやってるけど。


格闘がMPいらずの使い勝手最高だったんで試してないが、今度っから魔法も狩りに使ってみるか。


さて次は〈すらいむばすたー(棒読み)〉の起案にとりかかるぜ!





深夜、丁度ガキらの狩りが始まる時間に呼びにこいといい、今、例の広場についた。



「あの、今日は何を……」


「ああ、ちょっと待て」


お手製の魔灯を取り出し、パープルウルフの核をセットする。


たちまちのように薄暗い広間は少しまばゆいぐらいの光に照らされた。


驚くガキらを尻目に、まとめ役2人とガキどもを促し、広間より奥の道へと移動する。



ちなみに広間の既存の魔灯はガキらには触ることが出来ない。


これも核を入れれば使用できるようだが、流石に高価な値段の魔道具を気安く使用したり、取り外されたりしないように厳重にカギがかかっている。


そりゃそうだ。核を入れる部分なんて機構の中核だからな。



がきども全員を広間以降に連れようとしてるのだが、どうも様子がおかしい。


怯えている子供までいる。


一応わけを聴いてみるとやっぱりと言えばやっぱりか、


何度か広場以降へと狩場を拡大しようとしたが、最初はうまくいってて、


そして油断して2人が死んだ。そしてそれっきりらしい。



(トラウマか……)



だが精神に傷があるといってもそれを許すわけにはいかない。



優しい人間に説得されて、戦場にいき死んでいく人間は少ないが、


徴兵と言う権力が背景の暴力で、戦場にいき死んでいく人間は数知れなく居る。



優しさと言うものは本当に弱い。


今は俺の言うことを聞いているこいつらも


ほんのわずかなきっかけで反抗をする。


全員に優しくし続けるなんて個別に対応するのは不可能に近い。



暴力は本当に強い。


内心ではどれだけ文句を言おうが、


一度命令されれば忠実な機械となる兵たち。


どんな人間も肉体への暴力には抗えない。


たまに反抗する人間も、死んでしまえば逆に他へ見せしめとなる。



とはいえ、それはあくまで行使する側が圧倒的な力を持っているからだ。





最も重要なのは、理解できていないから。


何故、自分らがこうなったのかが。


結局、敵の大きさがわかってないだけだ。


そしてそれに対応する気構えも足りない。


敵が自分の想定した大きさでなければすぐ逃げてしまう者ばかりだから。


闘う者に、敵を前にした不明や撤退など必要ないんだ。


だから、俺が本当の敵の姿、現実と言うものを見せてやらないと。





 


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