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第32話 希少

 

 

 

通常、戦闘系のクラスを持っていない、もしくはそれのランクが低いものはこのダンジョンでは5階で詰むと言う。


どれだけ良い武器を持っていても、6階と言うものは魔物の住む階と言われる。


そもそもどこもダンジョンは魔物だらけだが。


あえて言うなら、精神の中の魔物、死の恐怖をあおられるほど厳しい階ということか。



6階を通るものの半端な強さの人間の多くは、


もしくは亀狩場にあぶれて4階では満足できず上位階に移動しようとするものは、


出来るだけ重装備をしてPTを組んでから突破するのが定例らしい。



そこで俺が出した結論としては、今無理に6階に行っても得られる物は少ないと言うこと。


しばらくは3階のパープルウルフ廃狩りで様子を見て、レベルや装備やスキルやらを整えてからと、連日のように自分ですら呆れる程の数のパープルウルフを狩っていた。





「ハハッ!」


笑い声では無く掛け声である。


ちなみにハに1回の蹴りが対応している、ただの2連撃だ。



俺の目の前の道には、一面に無数の核が転がっている。


何故こうなったかと言うと、



最初は「もう核なんてとるの面倒じゃね?」



ということでレベルあげを重視で、人のめったに来ない4階奥の袋小路近くで一心不乱に狩っていた。


そうするとだ、なんと! ある程度時間が経った魔物の死体は核だけ残して消えているではないか。


そしてそれを拾いながら時々沸く魔物を個別に倒している。というわけだ。


今更だけど────これっていちいちもぎりとるより早いよね?





「ハッ!……ん?」


反射的に蹴りを入れたパープルウルフ、


いや、そういうには色が黒すぎて体躯が小さい個体。


それはほぼ確実にパープルウルフを一撃で倒してきた俺の蹴りを受けても────


わずかによろめきながら立ってきて、こちらへと攻撃をしてきた。



「なんー!っと」



戸惑いながらももう一度蹴りを入れる。


今度は立ち上がってこなかったが、それでもまだ息はあるようだ。



「なんなんだ? これ……」


俺は震える黒い小さな個体を上から見下ろし疑問の声を呟く。


そして幼女神様も興味を持たれたのかポケットから顔を出してくる。



《あっ、このこ地獣だ~》


《ん?地獣ってなんですか?》


《たまーにでてくるこなの》


《レアってやつですか。幼女神様、倒しちゃだめだった?》


《たまに属性が聖に反転するの~》


《じゃあ、良い魔物ってこと?》


《うん! そのうち聖獣とか天獣とか神獣になる!》


《ええっ、じゃあ俺そうなったときに仕返しされるんでは……》


《だいじょぶ。ほら!》



子猫さまの目線の先には、さきほどの黒い小さな狼が這い蹲りながらも、尻尾を振って仲間にして欲しそうな眼でこちらを見ている。



《たぶんたおして殺さなかったから!》


《んー、負けたのは自分が弱いせいだと思ってるから恨まないで、なおかつ殺さなかったことで感謝、いや平伏してるってことかな》


《うんうん》


《そういう精神なら確かに邪じゃなく聖にちかいのか。なんか急展開だがとりあえず回復してあげとこう》





「おーい、おちびー、動くなよ?────百の神の慈悲と千の眷属の業が我が手に宿る。〈マイナーヒール〉」





 


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